QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 英国のEU離脱問題(2) (英文法理論、コンピュータによる英語教育/鈴木右文)

英国のEU離脱問題(2)

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

16/10/03


前回は残留派と離脱派がどのような構図で分かれたかというお話をしました。
今日はイギリスのEU離脱問題について、イギリスの政治家をめぐる動きと国民投票についてお話をします。
イギリスではEU離脱問題のことを「ブレクシット」と呼んでいます。イギリス(ブリテン)がEUを出る(エグジット)でBrexitブレクシットとなります。

前回お話した残留派と離脱派の構図について少し整理しておきます。地理的要因でみると大都市対地方、人的要因でみると知識人対庶民、政治的要因でみるとイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドについて挙げました。そして収入面、年齢層についても挙げました。以上の要因について、いくつか少しだけその理由をお話したいと思います。まずケンブリッジで非常に残留が多かった要因としては、知識人が多いからというのはもちろんのこと、EUから離脱することで教育に回ってくるEUからの補助金が来なくなるため、大学関係者が大変慌てているという話を聞きました。それからこれはよく言われていることですが、移民が入ってくることにより、自国民である自分たち(イギリス人)が働く機会を奪われてしまうことを危惧し、今のEUの枠組みにいることに危機感を抱いている人々が離脱派になりました。この職業が奪われるという切迫感は収入の少ない人々や一般庶民の方に多い傾向があり、こういった人々が離脱派に回りました。しかし、離脱をしたとしてもヨーロッパ内では様々な移民の枠組があるので移民がイギリスに入ってくることがなくなるというわけではありません。年齢層の面で言えば、例えば大都市部のロンドン等で残留が多かったのは比較的若者が集まっている所だからという事も理由としてあると思います。以上のようなことを受けて「EU離脱」という結果になったのではないでしょうか。さらにもう1つ理由として挙げられるのは、政府という多数のエリートを擁する組織があまりにも離脱に反対し、抑え気味にしていたとは言っているものの、強く残留を推すキャンペーンを張って庶民の反発を買ったこともあります。政府とは違う方向に投票しようと考えた人達もいると、現地の人々が何人か取材で答えてくれていました。イギリスでは内閣の4分の3は残留派だったため、今回の「EU離脱」は非常にショックな結果だったと思います。しかし、今後はこの結果に沿って政治を進めていかなければならないので大変な事だろうと思います。
なぜ、このEU離脱問題Brexitが国民投票になったのかという事は前回少しお話をしましたが、保守党の中で、この問題について国民投票に掛けなければ離党するという人々が出てきたため、キャメロン前首相もやむを得ず国民投票を行ったということになります。
イギリス国内では前ロンドン市長のボリス・ジョンソンのように離脱派と残留派を行き来する人がいて、まさか離脱派が票を取るとは思わなかったでしょう。ボリス・ジョンソンは元々離脱派ということで動いていましたが、現地の人たちが言うには元々大陸との繋がりが深かった人なので本当は離脱派が勝ったらいいと思っていなかったかもしれないという風に話していました。このように元々複雑なところがある問題ですが、財務大臣になれたので政治的にはボリス・ジョンソンは勝ったと言われています。しかし、先日、9月5日には彼が提言した移民制限策をメイ首相に拒否されてしまい、その辺の力関係も1、2年は先が見えない、政治的には興味深い状態になっています。
今回のイギリスでの国民投票で非常に危険を感じた事があります。イギリスでは今回はEUを離脱するか残留をするかという選択肢でしたが、例えばこれを日本国憲法の改正に当てはめて考えてみると、9条を変えるか・変えないかという聞き方であれば、どのような変え方をするのかという提案もなく、変えるかどうかの投票をするということはおかしいことではないでしょうか。個々では考えている事が違うのに、変えるということでは意見が一致している人々が全員「変える」方に投票することになります。離脱か残留かということで国民投票を行うと、離脱ならば、その後について提言するべきですし、残留に反対する人でも個々に意見があるので、現地の学者を中心に、この国民への問い方は本当はおかしいのではないかと言う人達が結構いました。ですから、今回の国民投票自体、もちろん法的拘束力を持たないうえに、実際問題としてもおかしいという人もいます。ですから、今回の国民投票の結果を覆したい・覆せるのではないかと思う人達も多くいます。そして種々の利益について、それらを代表する人達が、離脱か残留かで各々の損得があります。大学については先に述べた通りですが、農業や漁業については、補助金がEUから来ているのでこれらに関わる人々は割と残留派が多いということも言われています。懸念される問題としてはヨーロッパ統一市場からの孤立や関税の問題が挙げられます。また、イギリスのEU離脱に係り、産業がどうなるかという問題もあります。EUとの貿易の関係がどう変わっていくかという事も見えてきません。ですから、離脱の形はとるかもしれませんが実際問題は影響が少なくて済むような枠組みをまた新たに作り直すという事も言われており、今後どのような形に落ち着くのかがこの2年間で注目に値するのではないかと思います。日本と関連させて言えば、EU離脱問題に係り、英国の国力が衰退することで、英国進出を考えている日本企業への影響も懸念されます。
これからも一連の動きをみていきたいと思っていますが、皆さんも楽しみに見ていてください。

それでは今日のまとめです。

新しいブレクシット、つまり英国のEU離脱問題は今後2年間目を離す事が出来ない状態にあります。今回はブレクシットに係り、現地で取材をしてきました。現地の専門家の方・庶民の方が見た事を皆さんに御報告しました。どうぞ今後の御参考にされて御自分のビジネスに活かして下さい。仮に今回の国民投票の結果通り、離脱という選択肢が確定しても何かしらの妥協案はあるかもしれません。しかし、離脱派においても残留派においても方針決定後の具体的プランがないため、しばらく混乱は続くかもしれません。EU離脱問題後に控える政治的課題に関して言えば、イギリス議会で加盟当時のECに合わせてイギリスで制定された人権法の廃止についての議論が注目されます。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ