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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ASEAN経済共同体(AEC)とベトナム① (国際経営、国際物流/星野裕志)

ASEAN経済共同体(AEC)とベトナム①

星野裕志 国際経営、国際物流

16/10/12

8月に、ハイフォンにあるベトナム国立海事大学で、国際経営の2週間の集中講義をしてきました。これからもホーチミン、ハノイと、この夏はベトナムに合計3回出張してきました。福岡からは、ハノイへもホーチミンへも、直行便で繋がるとても便利なところです。

ベトナムを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10カ国が、昨年末に域内の貿易自由化や市場統合などを通じて成長を目指す広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(AEC)」発足させました。今日と明日で、AEC発足の影響について、お話をしたいと思います。

もともと1967年にASEANが発足し、1993年にASEANの経済連携の仕組みができた当時までは、オリジナル・メンバーの5カ国であり、その後ブルネイを加えて、加盟国は6カ国でした。タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールとブルネイですね。現在10カ国が加盟することで、域内人口はEUを上回る計6億2000万人で、域内総生産が2兆5000億ドル(約300兆円)に達する巨大な経済圏になります。

EUに匹敵する経済圏が、アジアに出現するということで、これらの6カ国の中では、既に域内の関税が品目ベースで、98パーセント自由化されていますが、この広域の10カ国の中でも、2018年までの関税の撤廃が目指されています。

チャイナ・プラスワンと言う言葉を聞かれたことがあるかと思いますが、この2018年のASEAN10カ国による経済統合と関税撤廃で、タイ・プラスワンということも良く聞かれます。これがベトナムにとって良いことなのか、どうなのかとても気になります。

中国はかつて世界の工場として、日本を含めて多くの国が中国に投資を集中させてきました。その後、中国が世界の市場としても大きく成長したのは良いのですが、賃金の上昇や為替の問題や政治リスクといったさまざまな投資リスクが生じた結果、中国への投資の集中を回避する傾向が出てきました。その対象として、考えられたのがベトナムです。

ベトナムは刷新政策=ドイモイ政策以後、政治的にも経済的にも安定しており、世界の生産拠点としても、適切な存在と考えられたからです。これが、チャイナ・プラスワンとして、ベトナムがクローズアップされてきた理由です。

ところが、今回クローズアップされているのは、今まで東南アジアで日本の自動車や機械、家電などの産業集積地となっていたタイから、ASEANの中に、次の進出先を考えるということで、それがタイ・プラスワンという考えかたです。

その理由は、タイの人件費が上昇しており、ASEANの中で関税が撤廃されるならば、より人件費の安い地域で生産の分業をするという考え方です。部品でこちらで生産して、最終的にはタイで組み立てるといった方法が、考えられています。このタイ・プラスワンには、カンホシアやラオス、ミャンマーなどが候補に挙げられています。

ベトナムの人たちは手先が器用であり勤勉であり、今までも様々な加工型の産業を得意としてきました。実際に、サムスンの携帯のギャラクシーはベトナムで組み立てられていますし、日本で販売されるスーツや洋服類の多くが海外から原材料を持ち込まれて、ベトナムで縫製して輸出されています。

ただ、ミャンマー、カンボジアといった同じASEANの中に、さらに人件費が格段に安い国が出現すると、ベトナムの優位性が損なわれる可能性が出てきます。今までも日本企業のベトナム進出の理由として、カントリー・リスクの低さと人件費の安さと勤勉さというのは、有りましたが少し環境が変化しつつあるように思えます。


今日のまとめ:昨年末にASEAN10カ国で発足した広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(AEC)」では、2018年までに域内の関税の撤廃が目指されています。そうなると、域内の労働力の低いところで部品などを生産をして、タイなどで完成品に仕上げるといった生産分業が考えられます。それによって同じ域内での競争で、ベトナムの強みが損なわれる可能性があり、今後のベトナムの工業の高付加価値化が求められています。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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