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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ASEAN統合とベトナム② (国際経営、国際物流/星野裕志)

ASEAN統合とベトナム②

星野裕志 国際経営、国際物流

16/10/13

昨日は、ASEAN10カ国で発足した「ASEAN経済共同体(AEC)」が、加盟国のひとつであるベトナムにとってどのような影響があるかという話をしました。中国に世界中からの投資が、過度に投資が集中した結果、これがチャイナ・プラスワンとして、政治的にも経済的にも安定しているベトナムに投資先がシフトしたわけです。ところが、AECの発足で、2018年までにASEAN10カ国内で関税が撤廃されると、ベトナムの人件費の安さという強みが、ミャンマーやカンボジアに移りかねないということを指摘しました。これが、タイ・プラスワンです。

今まではベトナムの投資先の魅力とは、人件費の安さにあり、それが全てではありませんが、人件費もその強みの一つでした。
ダボス会議で有名な世界経済フォーラムが、毎年国際競争力ランキングを発表しています。昨年のランキングによると、ベトナムは調査対象の140カ国の内で、56番目に評価されていました。

少し内容を見てみたいと思います。まずベトナムで評価されている点ですが、まず健康と初等教育の高さがあります。しばしばベトナム人は勤勉といわれるだけ、ベトナム人の高い向上心は、とても高く評価されています。次が市場の大きさです。ベトナムの現在の人口は、9,300万人ですから、いずれ人口減少の日本と逆転する日も来るのではないかと思いますが、ベトナムも単に工場としてだけではなく、市場の大きさとしても評価されています。そして労働力と労働者の質の高さが、評価の高さに繋がっています。ベトナムは、単に生産拠点だけではなく、市場としても期待できるということです。

国内に1億人弱の人口を有していて、購買力が着実に伸びているというのは、進出企業にとっても大きな魅力です。ベトナム国内には、現在290を超える工業団地が点在していますが、ベトナムは生産拠点として、また市場として成長が期待されています。

一方で、国際競争力ランキングにおいて、評価が低い点を挙げてみると、イノベーションや技術的な集積が弱点になっています。先ほど携帯やパソコンなどもベトナムで組み立てられているとお話ししましたが、ほとんどの部品や原材料が海外から輸入されて、加工して海外に輸入されており、国内で高い付加価値がつけられているとは言えません。それもその輸入と輸出を行なっている多くは、外資系企業です。

ベトナムの成長は確かに、外資系の依存状態にあることは否定できません。外資系企業は移ろいやすいですから、他に競争優位性があると考えるならば、投資先をシフトします。

外資系の企業が進出するビジネス環境も、まだまだ準備と言えません。今回ハイフォンにあるベトナム国立海事大学で集中講義をしましたが、ここは国際教育学部という名称で、4年間の授業がすべて英語で行われていました。僕と同時期に、教えていたのはデンマーク人とアメリカ人の先生ですが、学生のみなさんは、英語ができることでこれからのベトナムで様々なチャンスを得ることになるのかもしれません。

昨年のベトナム共産党全国代表者大会で、「三つの戦略的突破口」ということが言われました。市場経済体制の整備、人的資源の形成、インフラ建設の 3 つの方針のことですが、
やはりベトナムの成長を阻害する交通や社会インフラの整備と並んで、イノベーションの能力を高めるべく、個人と企業と組織の能力の向上が重視されています。高度な人材育成も、グローバル人材の養成も、これからのベトナムには不可欠と言えそうです。


今回のまとめ:世界経済フォーラムが、毎年発表している「国際競争力ランキング」に沿って、ベトナムの強みと弱みを分析しました。優れた人材と市場の大きさは魅力ですが、外資頼みであれば、それこそAECの域内関税の撤廃で、投資先をシフトする可能性が否定できません。国内で高いイノベーションと付加価値を高める努力と高度人材の育成が、これからの重要な課題と言えそうです。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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