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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > エコノミストとマーケット・エコノミスト (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

エコノミストとマーケット・エコノミスト

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/09/23

今日は「エコノミスト」と「マーケット・エコノミスト」についてお話しましょう。前回、景気について語る人々は4つのグループに分けられるというお話をしました。「経済学者」、「景気の予想屋」、「マーケット・エコノミスト」、それからいつも破綻すると言い続けている「止まった時計」です。

今回はその中で、2つ目の「景気の予想屋」と3つ目の「マーケット・エコノミスト」に焦点を当てて比較してみましょう。

前回のお話の中で、私は4つのグループの中では「景気の予想屋」にあてはまるとお話ししました。私自身は景気の予想屋で自分のことを「エコノミスト」と呼んでいます。自分達のことをエコノミストと呼んでいる経済学者もいるので紛らわしいのですが、ここでは「景気の予想屋」のことを「エコノミスト」と呼ぶことにしましょう。

エコノミストは景気そのものを予測するために、経済のことを調べています。工場を建てようか迷っている会社、或いは増産しようか迷っている会社の役に立てばいいなと思って仕事をしているわけです。景気を予想するためには幅広い経済指標をバランスよく見る必要があります。景気は大きな流れですから大局観が必要です。経済指標は時として振れるため、良かったと思ったら次は悪いのがでたというように、様々なことが起きるわけです。そのため、そこで一喜一憂しないようにじっくり腰を据えて長いスパンで景気判断をするように若い頃から訓練をされているわけです。

調査月報を読んでいる側からすると、「前の月と同じようなことが書いてある」、「毎月代わり映えしなくて退屈」という印象を持っておられる方も多いのかといます。しかし、それはそれで書いている側としてはどっしり構えて大きな流れをつかんでいるので仕方のないことといえるでしょう。

その一方で「マーケット・エコノミスト」は、株やドルの売買をする人達のための情報を提供するのが仕事です。株やドルの値段を予想するためには、景気のことも知っておく必要があるでしょう。その為の材料を提供するというわけです。彼らは幅広い経済指標を見るわけではなく、数少ない経済指標などを丁寧に追いかけるのが仕事です。彼らが圧倒的に重要視しているのが日本とアメリカの金融政策です。日本は日銀が行っていますし、アメリカはFRBというところが中央銀行として金融政策を行っているわけですけれど、日銀やFRBの偉い人が講演したりすると、その一言一句を丁寧に分析して、次の金融政策がどのようなものになりそうかを予想しているというわけです。勿論、金融政策だけではなく、経済指標も見ていますが、彼らが圧倒的に大事に扱っているのがアメリカの「雇用統計」という統計です。アメリカの雇用者が前の月と比べて何万人増えたのかという統計ですが、これが注目されます。

実は経済指標を幅広く見る我々エコノミストからすると、アメリカの雇用統計と金融政策をそれほど大事なものとは思っていません。何百個かのものを浅く広く見ているうちの一つという程度です。金融政策だけを特に重視するってことは、我々は必要だと思っていないわけです。アメリカの雇用統計にしても、雇用者の数が増えたとすればそれは景気がいいから雇用者が増えたということですし、消費するだろうから景気はもっと良くなるだろうと様々なこと考えるわけですけれど、企業の生産の統計や個人消費の統計と同じくらい大事ということであり、我々にとってみると他の統計に比べて飛び抜けて大事だということでは、ないわけです。

しかし、マーケット・エコノミストにとっては金融政策とアメリカの雇用統計は重要だというふうに考えているわけです。それは、ドルや株の値段が金融政策と雇用統計で大きく動くためです。ドルの値段、株の値段もそうですけれど、皆が上がると思って買い注文を出すと実際に上がりますし、皆が下がると思って売り注文を出すと実際に下がる、というのがドルとか株の値段です。人々は値上がりすると思えば買い注文を出すし、値下がりすると思えば売り注文を出すわけですから、あとはどういう時に人々が上がる、下がると思うのかということがわかればいいわけです。

これはニワトリと卵みたいな話ですけれど、「他の投資家が買うだろうから値上がりしそうだ、では自分が先に買っておこう」と皆が思うと上がるわけですね。では、他の投資家はどういうときに買うかというと、「アメリカの金融が引き締められると予想されるからドルを買っておこう」、「アメリカの金融が緩和されると予想されるからドルを売っておこう」というふうに考えるわけです。

投資家達はどうして「アメリカが金融の引き締めをするのであればドルを買おう」と思うのかというと、
他の多くの投資家がそう思っているからです。頭の体操をしてみましょう。アメリカが金融の引き締めをしそうだという噂が流れたときに、私は何を考えるでしょうというと、私は他の投資家がドルを買うだろうから、私は先に買っておこうというふうに思うわけですね。他の投資家はどう思うでしょうかというと、○○がドルを買うだろうから、私が先に買おうというふうに私以外の投資家は思っているわけです。
つまり、皆が先に買おう先に買おうと思って買うわけですね。

では、次に「生産統計」が出た時、私は何を考えるでしょう。どうせ他の投資家は生産の統計を見ていないだろう。では今日はドルの値段は動かないだろう。私も生産の統計を見るのは面倒くさいからやめておこう、と考えるわけです。私が見ないということは他の投資家も、どうせ○○が見ていないから、ということで他の投資家も生産の統計を見ないわけです。つまり、誰も生産の統計を見ないのに、雇用の統計ばかりものすごく見るわけです。少し変な話みたいですけれど、彼らは彼らなりにとても合理的に行動しているので、マーケット・エコノミストもそのお客さん達の合理的な行動に応えているわけです。こうしたことから、投資家達は金融政策と雇用統計を予想して他の投資家よりも先に買い注文を出そうと必死なので、それに対して情報提供しているのがマーケット・エコノミストの仕事だということです。

では、今日のまとめです。

エコノミストは幅広い統計などをじっくり見て景気を予想するのが仕事です。マーケット・エコノミストは投資家達が欲しがる金融政策や、アメリカの雇用統計の情報を集中的に詳しく提供するのが仕事です。


分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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