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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワード26 製品アーキテクチャ (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワード26 製品アーキテクチャ

永田晃也 技術経営、科学技術政策

16/09/02

今回のまとめ:製品アーキテクチャとは、製品を構成する部品と部品のつなぎ合わせ方を意味しています。


 今回は「製品アーキテクチャ」というキーワードを取り上げます。
 東京大学の藤本隆宏教授にしたがえば、この語は「製品機能と製品構造のつなぎ方、及び部品と部品とのつなぎ方に関する基本的な設計思想」と定義されます。要するに、どのように部品と部品をつなぎ合わせて製品全体を構成するかに関する考え方を意味していると言ってよいでしょう。
 このような製品アーキテクチャのあり方は、製品によって異なり、したがって、その製品を生産する組織に求められる能力も異なることになります。
 そこで、まず製品アーキテクチャには、どのようなタイプがあるのかを見ておきたいと思います。製品アーキテクチャの分類は、いろいろな視点で行うことができるでしょうが、藤本先生は部品間の相互依存度と、部品間のインターフェース、つまり接合部が、どの程度業界で標準化しているかという2つの軸を用いた分類方法を提唱しています。
 部品間の相互依存度については、その程度が高く、接合部の設計が製品全体の性能に大きな影響を及ぼす場合と、その程度が低く、別々に設計された部品の寄せ集めでも製品を構成できる場合が考えられます。前者の相互依存度が高い場合の製品アーキテクチャは「インテグラル型」あるいは「擦り合わせ型」と呼ばれ、後者の相互依存度が低い場合の製品アーキテクチャは「モジュラー型」あるいは「組み合わせ型」と呼ばれました。
 一方、接合部の標準化の程度については、業界全体で標準化している場合と、接合部の基本設計が企業内に囲い込まれている場合が考えられます。前者はオープン型、後者はクローズド型と呼ばれました。
 この2つの分類軸を使って2×2の表を構成すると、4種類の製品アーキテクチャが定義されます。
 まず部品の相互依存度が高く、そのインターフェースが企業内に囲い込まれているアーキテクチャですが、これは「クローズド・インテグラル」と呼ばれます。その具体例として藤本先生は乗用車や軽薄短小型家電製品を挙げています。
 次に部品間の相互依存度が低く、そのインターフェースが企業内に囲い込まれているアーキテクチャが挙げられ、これは「クローズド・モジュラー」と呼ばれます。その具体例としては、コンピュータのメインフレームや、工作機械などが挙げられています。
 さらに部品間の相互依存度が低く、そのインターフェースが業界で標準化しているアーキテクチャが考えられます。これは「オープン・モジュラー」と呼ばれ、パソコンなどが具体例として挙げられました。
 この他に、部品間の相互依存度が高く、インターフェースが標準化しているアーキテクチャ、つまり「オープン・インテグラル」を理論的には考えることができるわけですが、藤本先生は現実的にはあり得ないとしています。
 実際、部品間の接合部が擦り合わせ型であるということと、その接合部が業界で標準化しているということは矛盾しているように見えます。しかし、その製品を構成する部品の仕様が、特定企業の内部に囲い込まれているわけではなく、企業グループ内では標準化しているという状態は考えられるので、あながち「オープン・インテグラル」型の製品アーキテクチャも存在しないとは言い切れないと私は思います。

 さて、このように製品アーキテクチャが特徴づけられるとすれば、その特徴に適した企業の能力がどのようなものであるのかも見えてきます。例えば、クローズド・インテグラル型の製品アーキテクチャであれば、数多くの部品が持つ機能を、1つの製品に統合していく能力に長けている企業が優位性を発揮するものと考えられます。このタイプの製品アーキテクチャに属する自動車の分野では、日本のメーカーが競争優位にありました。
 しかし、製品のアーキテクチャは変化していくものです。自動車についても、電気自動車のような製品になると擦り合わせ的な要素が少なくなるため、日本企業が蓄積してきた組織能力の優位性が損なわれることが危惧されています。メーカーにとっては、変化するアーキテクチャに応じた組織能力を構築することが課題となってきます。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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