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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 不確実な未来に備えるシナリオ・プランニング(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

不確実な未来に備えるシナリオ・プランニング(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

16/08/23


・前回は、シナリオ・プランニングによって、バイアスや固定観念を排除した複数のシナリオを描き出せることを説明した。今回は、具体的な事例を通じて、シナリオ・プランニングの使い方の理解を深めたい。

・例えば、「未来の農業」について考えてみよう。検討にあたっては、異なる視点から多様な意見やアイデアを出すことが望ましいので、グループワークで検討を行うことが望ましい。
・まずステップ1。「10年後の農業の姿」を、グループでディスカッションし、描き出す。10年後の農業や食料では、どのような価値が重視されているか?世の中を覆う明るい展望は何か?逆に、暗い閉塞感は何か?従来の農業従事者はどのような姿になっているか?逆に、どのような人や企業が新規参入を果たしているか?技術革新は、未来の農業にどんな影響を与えているか?
・こういった事柄を、「マインドマップ」を使って大きな模造紙に描き出していく。付箋紙を使うと、後で似たアイデアを集めてグルーピングして整理しやすい。
・次に、ステップ2では、ステップ1で描いた「10年後の姿」に対して、どのような「外的な力」が影響を及ぼしうるかを抽出する。例えば、消費者の農産物に対する価値観はどう変化しているか?また、農業に対する政府補助のあり方はどのような姿へと変化しているか?TPPを始め各国との貿易に関する国際的な取り組みはどの程度進展しているか?それによって、国内農産業はどんな影響を受けるか?農業を巡る技術革新は10年でどこまで進展するか?
・このステップ2では、農業関係者が自ら変革(コントロール)できる要素は除外し、あくまでも「10年後の農業の姿」を描く際の岐路となるような「外的な力」に着目することが重要だ。
・次に、ステップ3では、ステップ2で抽出した「外的な力」を、インパクトと不確実性の2つの軸の上にマッピングし、共に高いものの中で特に重要と思われる2つの力を選択する。
・次に、ステップ4では、選択した2つの力を軸に、2☓2のマトリックスを構成し、その象限ごとに特徴を整理する。例えば、「植物工場の技術革新が進展する/さほど進展しない」の軸と、「TPPによって貿易自由が進む/さほど進まない」の軸で整理してみよう。すると、以下の4つのシナリオが出来る。
①技術革新が進み、かつ自由貿易が進む 
→シナリオ:日本の高い技術を活用して安定的に付加価値の高い農作物を栽培し、他国に積極的に輸出する「高付加価値輸出型」
→想定されるビジネス:植物工場の開発販売ビジネス、新鮮な農作物物流ビジネス、等
②技術革新が進むが、自由貿易は進まない 
→シナリオ:植物工場で都市農業が発達する「大都市地産地消型
→想定されるビジネス:ビルのフロアを活用した植物工場向けの不動産仲介ビジネス、等
③技術革新はさほど進まない一方、自由貿易は進む
→シナリオ:既存の農地に対して、農地再編や新規参入の圧力が高まり、農業の生産効率が上がり、農業が輸出産業化する「農地再編・効率化型」
→想定されるビジネス:既存農地の集約・再編ビジネス、等
④技術革新はさほど進まず、自由貿易も進まない
→シナリオ:ゆっくりとしか農産業が変化しない「現状維持型」
→想定されるビジネス:JAや農業法人に対する農業経営コンサルティングビジネス、等

・ポイントは、4つのシナリオを特徴づけて理解できるよう、わかりやすい名前をつけることだ。それによって、各シナリオでどんなビジネスが展開できそうか、イメージが膨らみやすくなる。また、抽出した2つの軸を、別な「外的な力」に置き換えることで、全く異なるシナリオについて更に検討してもよい。そのあとは、4つの異なるシナリオで、どんなビジネスが出来そうかをブレーンストーミングなどで幅広に検討した後に絞り込んでブラッシュアップするという、新規事業検討の通常のプロセスを経る。

・このように、シナリオ・プランニングの手法を用いることで、既存の延長や古いマインドセットによる固定観念を壊し、全く新しい視点で未来の選択肢を描くことができるようになる。
・固定観念に囚われていることで、ありがちな未来しか描けずに悩んでいる組織の方には、ぜひ取り組んでみて頂きたい。

【今回のまとめ】
・シナリオ・プランニングを実行するときのコツは、未来に影響を与える「外的な力」を幅広く検討し、インパクトも不確実性も高い2つを選ぶことと、4つのシナリオ各々にわかりやすい名前をつけることだ。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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