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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ネットビジネス⑩プラットフォームビジネスの弱点を克服するには? (マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)/川上慎市郎)

ネットビジネス⑩プラットフォームビジネスの弱点を克服するには?

川上慎市郎 マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)

16/08/19

プラットフォームビジネスは、インターネット上の基盤となるビジネスですが、どんなに上手くいっている、利益を上げている企業でも、ある日突然競合に飲み込まれてしまう危険性があります。
この「ある日突然」っぷりの激しさがインターネットの世界の特徴の1つですが、それにどう対抗するか、飲み込まれないようにするためにはどうしたらいいか、という話をしたいと思います。

はっきり申し上げると、このビジネスではお客さんが移っていくことが当たり前なので、飲み込まれるか飲み込まれないかというよりも、「お客さんをどうやって引き留めるか」、あるいは「相手に飲み込まれる前に相手を飲み込む」ということが、インターネットの世界では定石と言われています。飲み込まれるか飲み込むか、という戦いがネットの中では常に起きています。

たとえば、「カカクコム」というウェブサイトがあります。
家電を買う時に、各社の製品の値段や評判を比較したいという理由から利用するという人が多いです。
皆さん家電やパソコンを買う時には、必ず価格比較とか、あるいはその商品の性能がどうなのか、何かクレームが出ていないか、など評判をみるために利用していると思いますが、実はあのサイトは、元々秋葉原でパソコンショップを営んでいた人が、周辺のパソコンショップの部品がいくらで売っているのか、ということを毎日自分で調べて、そのリストをネットにアップしていたというのが始まりでした。

それが非常に便利だったため、「あそこに行けば、今日秋葉原のどこのお店で何がいくらで売っているのかということが分かる」とそのサイトが評判になったのが最初でした。その内、みんなが商品を買う前にそのサイトに価格を見に来るようになり、さらにそこに評判も書き込めるようになりました。「この部品はちょっとあまり性能が良くないよ」とか、「結構壊れやすいよ」といったことをみんなが書き込むようになり、この「価格と評判」を利用する人が増えていきました。その次に、ここにパソコン部品を調べに来る人たちがたくさんいるのであれば、いっそのことここでパソコン部品を通販したらいいのではないかと考えて、実際に「一番うちの店が安いです」という通販ショップが値段の広告を出すようになり、その通販ショップから広告料を取れるようになりました。

こうして、「価格の比較」と「商品の評判のコメント」を書き、それを見ながら「実際に安い通販ショップを選べる」というこの3つの機能のセットが出来上がっていきました。これが「カカクコム」というサイトの儲けが出始めた1つの大きな仕組みです。

「通販ショップ」と「商品を安く良い物を買いたいと思っているお客さん」の両者をサイトのマルチプラットフォームに載せた、というのが「カカクコム」の仕組みですが、この仕組み自体は、別にパソコンとか家電製品だけでなく、あらゆる商品にあてはまります。何かの商品の価格を知りたい、評判を知りたい、そしてそれを出来れば一番安い通販ショップで買いたいという、その3点セットが成り立つものであれば、どんなところでも通じるわけです。

つまり、「カカクコム」はどんな商品でも成り立つ仕組みのため、他企業、例えば化粧品会社が化粧品の価格と評判とその店舗の紹介を一緒にまとめたサイトを始めたら、その時点で「カカクコム」としては、女性のお客さんを全部そちらに取られるということになってしまいます。

そのため、彼らは、その後一番の得意分野であるパソコンや家電製品はもちろん、それ以外にもどんどん3点セットを広げようということで、今ではアクセサリ、金融商品、保険、クレジットカード、旅行、レストラン、介護、最近では、自由に購入先が選べるようになった電気料金にまでその手を広げています。その他にも、ふるさと納税の比較も行っています。このように、ありとあらゆる物の「比較と評判と店の紹介」を行っているわけですが、これは、自分たちがそれをやらなければ、どこか他の人たちがこの3点セットを利用して成功して、いつかパソコン・家電になだれ込んでくることを危惧したからなのです。

世の中には、実際に商品の情報とそれに関心のあるお客さんをたくさん持っている会社がそれぞれの分野にあります。たとえば、レストランといえば「カカクコム」は今、「食べログ」というサイトを開設していますが、それに対して、お店の情報をたくさん持っているのは、「ぐるなび」というウェブサイトです。旅行でいうと、「カカクコム」は今「フォートラベル」というサイトを開設していますが、実際には旅行予約のサイトでは「楽天トラベル」が一番大きいですし、海外では「トリップアドバイザー」という旅行先の評判比較サイトなどもあります。

このように、似たようなお客さんを抱え、似たようなビジネスモデルをすぐにでも実現できるウェブサイトがあるため、こういったところに飲み込まれないように、「カカクコム」は先手を打って自分たちでわざわざその人たちの所に攻め込むということを必死になってやっているわけです。以前にご紹介したグーグルも、検索だけではなくて、メール、文書、カレンダー、決裁、地図、動画、スマホ、写真、電話、さらには自動車の自動運転にまでその手を広げています。これもその1つの例ですね。

では、今日のまとめです。
プラットフォームというのは、仕組みを真似し易いため、競合に飲み込まれ易いビジネスでもあります。そのため、飲み込まれないために自社の周辺領域のビジネスに手を伸ばして、競合のビジネスを飲み込み続けるということをやっています。そんなお話でした。

分野: ネットビジネス戦略 |スピーカー: 川上慎市郎

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