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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ベンチャー・キャピタリストは女性創業者を軽視するのか (イノベーション・マネジメント、国際経営/朱穎)

ベンチャー・キャピタリストは女性創業者を軽視するのか

朱穎 イノベーション・マネジメント、国際経営

16/08/03

今日は、「ベンチャー・キャピタリストは女性創業者を軽視するのか」という話題についてお話します。メリカの女性創業者基金の最近のレポートによれば、女性創業者のスタートアップ企業がベンチャーキャピタリスト(以下、VC)から融資を貰う事は難しく、しかもそれは男性よりも難しいという結果が示されています。たとえば、昨年シリコンバレーで創業した200社のスタートアップ企業の中で、女性ファウンダーの企業はVCから融資を貰ったのは僅か8%であり、これは一昨年の30%より更に下がった結果となりました。

ニューヨークの女性創業者スタートアップ企業の場合では、13%とわずかに高かったという結果もありますが、全体的に見れば低い水準に留まっています。また別のデータによれば、アメリカのスタートアップ企業の38%が女性創業者により創業されており、これは非常に高い数字だと思いますが、その中でVCから初期の融資を獲得出来たのは、やはり10%未満でした。シリコンバレーのハイテク企業の中で女性経営者の企業として有名な企業は多々あります。たとえば、YAHOO!のCEOや、FacebookのCEO、HPのCEO等です。このように、世間でよく知られている企業もありますが、女性経営者ではなくて女性創業者の特にスタートアップ企業を前提にみると、男性より多くのハードルに直面していることが分かります。

では、女性創業者が今から新しい新規事業を始めようとする場合、そのハードルが高いのはなぜでしょうか。

分析によるとその原因は様々です。ここで2点挙げるとすると、まずほとんどのVCが男性であるという点が挙げられます。たとえばシリコンバレーでは、白人男性の比率が高いです。彼等はどういう企業に投資するのか、それなりの判断基準を持っています。多くの場合、女性創業者のスタートアップ企業は創業当時の規模は小さくて、どちらかというとサービス業や洋服、食品関連の業種に偏っていることもあり、VCが最も優先順位が高いと見ているハイテク企業の数は少ないというふうに言われています。その背景にあるのは、たとえばアメリカエンジニアリング教育協会のデータによると、エンジニアリングの修士課程に在籍している女子学生の数は、ロースクールに通っている女子学生よりも遥かに低いという結果があります。当然ハイテク産業における女性創業者のスタートアップ企業が全くないという訳ではありませんが、やはり全体の母集団の中で比率が低いということになれば、当然VCの判断基準の範囲内には中々入りにくいという結果になってしまうわけです。ここで1つ面白い例を挙げましょう。シリコンバレーのウッドサイドという場所では、VCがかなり出入りの激しい所として有名で、1つ現地の非公式な文化として、バックスというレストランがあるのですが、そのバックスという所でVCと融資を求めているスタートアップ企業の創業者達と一緒に朝食を取りながらビジネスプランと融資に関する商談を取るというのが、実は非公式のカルチャーとしてあります。

商談の場がオフィスではなく、朝食をとりながらという非常に非公式の場で公式な話をするというのはたいへんユニークな文化ですね。個人的な観察の話になりますが、私は何回かこのバックスで朝食をとったことがあります。その時やはり目にした光景は、こう白髪の生えたVCと一見にしてエンジニア風の若い男性グループ(アントレプレナー)との組合せばっかりでした。私は、VCと女性の組合せっていうのを見かける機会はありませんでした。これは時間帯にもよると思いますが、朝のとても忙しい朝食の時間帯を見れば、やはりこういう様な組合せが多かったという訳です。

そしてもう一つの原因として挙げられているのが、VCが初期段階のスタートアップ企業に投資すれば、当然非常に早いサイクルでリターンを求めている訳ですね。どちらかというとやはり24時間働いて休日もなく、一生懸命働く創業者というのは理想的な人材です。特にハイテクベンチャーの場合では、創業者の殆どはプログラマーのため、映画でもよくあるように、24時間ずっとパソコンの前に座って延々とコードを書き続けるというような創業者はやはりVCにとって非常に理想的な人材です。

やはり早いリターンで回収出来るわけですから、そういう人材に投資をしたいと思うわけですね。そうした中で、どうも伝統的な観点に立ってみても女性のファウンダーというのはこの判断基準から外されてしまうというわけなのです。
たとえば、カフマンファウンデーションのデータによると、女性創業者350名の中、実は80%の人が個人の貯蓄によって創業しています。2013年から14年のデータでは、男性創業者のスタートアップ企業は21%の増大率が見られているわけですけれども、女性創業者のスタートアップ企業の比率はあまり変化がありません。その背景にあるのは、やはりその資金調達難が1つの原因ではないかといわれています。

日本と比べてアメリカでは、女性の社会進出も随分進んでいる様に思いますけれども、それでもやはりまだまだということですね。創業者とスタートアップ企業というカテゴリで見ると、女性は非常に大きなハードルに直面しているということでしょう。

では、今日のまとめです。
社会進出が叫ばれている中で、特に女性創業者スタートアップ企業に対して、どのような育成をしていくのか、その方針について勿論そのVCからの支援も大事ですけども、別の観点で言うならば制度的なインフラの整備も重要ではないかと思っています。

分野: 経営学 |スピーカー: 朱穎

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