QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マイナス金利について(1) (企業財務管理、国際金融/平松拓)

マイナス金利について(1)

平松拓 企業財務管理、国際金融

16/08/30


 今日は、マイナス金利政策についてお話します。日銀がマイナス金利政策に踏み切ってから大凡半年が経ちましたが、このマイナス金利政策のお陰もあって住宅ローン金利などは目に見えて下がっています。一方、もともとゼロ近辺にあった預金金利はマイナスになっている訳ではないので、個人にとってはメリットを感じることもある状況です。しかし、メガバンクの頭取よりは、銀行の経営を圧迫するなど景気浮揚効果より弊害が大きいということで批判も出ています。マイナス金利政策とは一体どういう政策で、何を狙っているのか、ここで改めて確認しておきましょう。

マイナス金利政策とは
 本年1月末、日銀は金融緩和政策を強化するため、それまでの国債等の大量購入に加えてマイナス金利政策採用に踏み切りました。このマイナス金利政策は、個人や企業の預金や借入金利をマイナスにしようという政策ではありません。何をマイナスにするのかというと、日銀は中央銀行なので銀行のための銀行の役割を担っている訳ですが、その一環として預かっている銀行の預金(日銀預け金)の一部にマイナス金利を適用するという政策です。

 この日銀預け金というのは、「金融政策」と「銀行間の決済」を主たる目的とするものですが、預金種類としては当座預金なので、一般的には利子はつきませんが、この預け金に限っては2008年以降、一部に利子がついていました。それが今度は、一部に対してプラスではなくてマイナスの金利が課すことになったもので、銀行はその部分については日銀に預金すると逆に利子を支払わねばならなりました。

銀行へのインパクトと政策効果
 日銀は金融緩和政策遂行のために、銀行が保有している国債を大量に購入し続けていますが、その購入代金はそのまま各行の日銀預け金に払い込まれ、そこに蓄積されているため、多くの銀行でその残高が巨額となっています。そこに一部とはいえマイナス金利が適用されるという話なので、銀行にとっては馬鹿にならない収益悪化要因となる訳です。

 それなら、日銀預け金からお金を引き出せば良さそうなものですが、個人が銀行からお金を引き出すように簡単には行きません。それは、銀行のための銀行は日銀しかないからです。方法としては、日銀から国債を買い戻すか、現金で引き出すか、或いは他行への支払いとして振替えてもらうか、これらのどれかしかありません。

 最初の国債の買戻しは、金融緩和政策でやっていることに逆行することになるので、日銀が取引に応じる可能性はまずないでしょう。次の現金の引き出しは、銀行が通常必要とする現金よりも遙かに多額の現金を引き出さねば残高を減らす意味がありませんが、使い道のない多額の現金は、移送や保管のための費用が嵩み、始末に困ることになるでしょう。

 消去法的に言えば、最後の他行への振替しかありませんが、他行に資金が振り返られれば、自行の日銀預け金残高は減少するので、その分、マイナス金利のデメリットを避けることができます。しかし、他行への振替は、裏付けとなる取引がなければ、単に銀行が資金を失うことになります。裏付けとしては、銀行自身が他行に資金を貸し付ける、他行から証券を一時的に購入する―――などすれば良さそうですが、それがマイナス金利を避けたいという狙いに基づくものであれば、取引条件に反映され、マイナス金利でなければ取引が成立しないでしょうから、結局、収益へのマイナスインパクトを避けることには繋がりません。

 残るのは、銀行自身ではなくて、その預金客が他行に預金を移し替える、他行に口座を持つ第三者への支払いをする―――といった場合です。このうち、預金客に他行に預金を移してもらうのは、顧客を失うことにもなりますので、銀行としては取りがたい手段でしょう。結果、最後に残るのが、預金客による他行に口座を持つ取引先への支払いということになります。ただ、これについても預金客の取引なので銀行がコントロールできないという難かしさがあります。唯一銀行にできるのは、与信判断を緩める、融資条件を緩める―――などにより貸し付けを増やしてやることですが、その結果、融資を受けた顧客の資金が事業に使われば、他行に口座を持つ取引先に支払われる形で、銀行間の資金の振替が生じます。実は、広く金利の低下を図るばかりでなく、このように銀行の融資姿勢が積極化することもマイナス金利政策の一つの狙いなのです。

課題
 しかしながら現実は、元々潤沢な資金を抱える企業が多く、また、企業経営者は経済の先行きについてそれ程楽観的になっていないこともあって、期待した程には銀行融資は伸びていません。一方で、貸出金利の低下と預け金の金利支払いというダブルパンチで、銀行の収益は圧迫され、本年度第一四半期にメガバンクは揃って大幅な減益となりました。こうしたことから、マイナス金利政策の効果については、評価が分かれているのが現状です。

まとめ:マイナス金利政策というのは、銀行が銀行のための銀行である日本銀行に置いている預金(日銀預け金)の一部に対して、マイナス金利を適用するという政策です。現状までのところでは、市場金利は低下したものの銀行融資を増やす効果は限定的で、逆に銀行の収益圧迫が景気にマイナスの影響を及ぼすとして、批判の声も上がっています。

分野: ファイナンス 国際金融 |スピーカー: 平松拓

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ