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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イギリスのEU離脱 (企業財務 M&A/村藤功)

イギリスのEU離脱

村藤功 企業財務 M&A

16/07/11

今日は、イギリスのEU離脱について話をします。

6月23日にイギリスで国民投票が行われ、EU離脱支持の1714万票(52パーセント)が残留支持の1614万票(48パーセント)を上回りました。たった4パーセントの差ではありますが、国民投票によるEU離脱の選択に、多くの人が驚きました。

アメリカや日本など、イギリスの外の国は当然残留するものだろうと思っていました。それどころか、イギリス国内の人たちも、残留だろうと思っていたようなのです。特に離脱派リーダーであるボリス・ジョンソン前ロンドン市長やゴーブ司法大臣も、離脱派勝利となった途端に顔が青ざめた、と言われています。国民投票までして離脱派が勝ったということであれば、これからEUに離脱の通告をして、通告から2年間で交渉することになりますが、それにあたっては離脱派の中から首相や外務大臣が出て交渉する、というのが当然の成り行きです。残留を支持していたキャメロン首相が辞め、9月初めまでに次期首相を決めるということになり、みんなは当然、離脱派のボリスと残留派のメイが有力候補だと思っていました。ところが、離脱派のボリスが突然立候補をとりやめたのです。

その理由の1つとして、ボリスと一緒に離脱を訴えていたゴーブが突然、首相に立候補したことが考えられます。ゴーブがボリスを裏切ったのではないかという憶測も飛んでいます。また、ボリス自身、本当に離脱になるとは思っておらず、自分が首相として離脱交渉をするのが嫌だったのではないか、という噂もあります。現実問題として、ボリスは立候補しませんでした。ゴーブは立候補をしているものの、人気が無く勝てる見込みはなさそうなので、おそらく残留派のメイが勝つと言われています。そうすると9月初めにキャメロン首相に代わってメイ首相が生まれるわけですが、元々残留派のメイは離脱交渉を急ぐ必要はないと言っています。

普通に考えれば、離脱と決めたのだから、離脱派のリーダーがEUと交渉するのは当然です。しかし、トップリーダーのボリスが首相に立候補しないと言った時点で、国民からすると梯子を外されたという感じです。あまりにも無責任なのではないか、とイギリス国民も海外も「開いた口が塞がらない」といった状況です。

イギリスのEU残留を望んでいたアメリカや日本もショックを受けています。アメリカはこれまで、アングロサクソンのパートナーであるイギリスがEUの一部であり、欧州大陸の方向性に影響を及ぼせることを重大な利益とみなしてきました。日本としても、これまではイギリスからEUの単一市場を攻めるということで、1000社ほどの工場をイギリスに置いていました。日本人は英語しかできない場合が多いので、突然ヨーロッパの拠点をフランスやドイツに移せるかというと、そうもいかないわけです。また、突然、イギリスから輸出すると関税がかかるということになれば、大きな影響がでるでしょう。イギリスとEUが、これからどういう交渉をしていくのか心配でしょうがないという状況です。

それではもし離脱が現実のものとなれば、イギリス国内へはどのような影響があるでしょうか。GDPが相当下がると言われています。イギリスが離脱した場合、ヨーロッパ展開を視野にイギリスに拠点をおいていた各国の企業の多くは、イギリスから離れ、フランスやドイツ、あるいは英語が通じるアイルランドのダブリンに拠点を移すのではないかと言われています。ロンドンの不動産も売られて暴落するのではないか、これからどうなるかよく分からない、ということで、株もずいぶん売られました。イタリア、スペインでは株価が10パーセントほど落ち、日本でもかなり落ちました。イギリスが本当にEU離脱ということになれば、ロンドンの国際的な地位はがくんと下がるでしょう。

さて、離脱は本当に現実のものとなるのでしょうか。
「再投票」という声がよく聞かれますが、国民投票で決まった以上、すぐに再投票というわけにはいかないでしょう。ただし、イギリスでは離脱派の勝利を後悔している方がマジョリティのようなので、事態はまだ流動的だと言えそうです。

それでは今日のまとめです。
イギリスが国民投票でEU離脱を選択しました。移民や難民に対する懸念を抱き、EUの官僚制や規則を嫌い、イギリスの独立と主権を求める国民が多かったということです。しかし、いざ離脱派が勝利してみると、再投票して残留を選択したい、といった人たちが増えてきているようです。また、離脱派リーダーのボリスが次期首相にならないと言っているため、残留派のメイが次期首相になる可能性が強く、EUとの交渉はどのように進むのか、目が離せない状況です。

分野: |スピーカー: 村藤功

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