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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 緊急支援物資の供給① (国際経営、国際物流/星野裕志)

緊急支援物資の供給①

星野裕志 国際経営、国際物流

16/06/29

4月に発生した熊本地震では、被災地にある多くの企業が生産停止の状況に追い込まれましたが、それ以外にも企業のサプライチェーンの途絶ということが問題になりました。例えば、被災地にある部品のサプライヤーが被災したために部品供給が止まり、福岡のトヨタ九州でも大分県の中津にあるダイハツ九州でも、全面的に工場の稼働が停止しました。企業にとって、安定的に部品を供給することは、大変に重要な問題であることは言うまでもありません。

今日は、その製造業のサプライチェーンのことではなく、被災地に救援物資を供給する「ヒューマニタリアン・ロジスティクス(Humanitarian Logistics)」というお話です。これは、以前にもこの番組で取り上げたことがありますが、人道的な物流システムというのか、自然災害や紛争などの緊急時に、被災地や被災者に向けた緊急支援物資の供給システムを意味します。

九州でも様々な災害が発生すると、避難所が作られ、救援物資が送られています。これは全国の数字ですが、平成27年版の防災白書によれば、2004年から2014年までの10年間で、自然災害による死者・行方不明者数は、2007年と2010年の2年を除いて、毎年100人を上回っています。地震、台風、集中豪雨などによる洪水や土砂崩れ、火山の噴火、竜巻など、日本は本当に様々な自然の脅威に晒されていると言えます。

今回熊本地震の後に、震源地の益城町や震源地に近い熊本市の東部を調査で何日か歩きまわりましたが、阪神淡路大震災や東日本大震災と比較して、緊急支援物資の供給に関していくつか感じたことがあります。今までとは違っていることと、変わらないことです。

今回の熊本地震とそれ以前の地震で違っていることとは、まず今回は初動が早かったこと、供給がかなりシステム化されてきたことです。緊急支援物資に関して、国や自治体や企業などが、被災地で必要と考えられるもの、例えば水や食料品、衣料品、医薬品などを想定しながら、被災地からの要請を待つことなく、調達して供給することを「プッシュ型支援」と言います。これが、とても迅速かつ円滑だったように思います。

東日本大震災では、日本中から集まった救援物資が、まったく使われないまま仙台市内の多くの倉庫に眠っているのを目にしました。その主な原因はいろいろな物資がひとつの箱にいれて大量に運び込まれて、かえって大混乱を招いて、それが必要な物資を供給する妨げになっていたように思います。

ここに反面教師として持っている写真がありますが、カーテン、椅子、ベルト、生理用品、サランラップ、おわんが同じダンボールに詰めれた箱が有ります。これは九州のある県が、市民の善意で集めて送られたものを偶然仙台で見つけました。たくさん同じような箱がありました。それが、今回はきちんと優先順位の高いものが選別されて、輸送されたことは大きな変化といえます。

例えば福岡市は、緊急支援物資をウエットティシュ、栄養補助食品、ペットボトル、トイレットペーパー、おむつ、タオル、生理用品の7種類に限定して、熊本に輸送しました。被災者のことを考えて何でもではなく、まずは優先順位の高いものを送るという発想かと思います。

緊急支援物資の集積所に指定されていた見本市会場のグランメッセ熊本、熊本県民総合運動公園内の陸上競技場、県庁や市役所、区役所などを見ていても、以前との比較で、明らかに整然と物資が整理されていました。

子供用下着Sサイズの箱、ロングライフのミルクといった識別しやすく、仕分けをしやすい単位で、在庫されていたことです。それは、やはり過去の災害の経験から学習していることもあるでしょうし、今回は被災地が地理的に限定的だったこともあると思います。

東日本大震災の際に、たとえば石巻市では、震災後一ヶ月間ただの一度も温かい食事が供給されなかったということがありました。ところが、今回の熊本地震では、震災から8日後には被災地に、アマゾンや通販で注文した商品が届けられていたという信じられないことも聞きました。やはりそういう意味では、被災地が限られていたので、外からサポートがしやすかったということが大きいと思います。


今日のまとめ:被災地や被災者に向けた緊急支援物資の供給システムである「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」に関して、今回の熊本地震の際のプッシュ型の支援の状況について、お話しました。

まだまだ改善されるべき点については、明日お話いたします。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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