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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マーケティングにおける製品デザイン(Product Design) ⑦ (マーケティング/岩下仁)

マーケティングにおける製品デザイン(Product Design) ⑦

岩下仁 マーケティング

16/06/07

「製品デザイン」というシリーズでお話をしています。
製品デザインといっても、見た目のデザインだけではなく、デザインには様々な要素があります。自動車業界を対象とした研究から、製品デザインには9つの要素があるということがわかってきました。その要素の中からこれまでに「審美性」、「先進性」、そして「安全性」についてご紹介してきました。今日はその続きの「快楽性」についてお話しします。

マーケティングデザインの枠組みを超えて今非常に注目を集めているのが、この「快楽性」です。これまで目に見える美しさという意味で「審美性」を取り上げてきたわけですけれども、自動車に乗っているときに体感する気持ち良さ、心地よさを総じて「快楽性」というふうに表しています。

具体的には、自動車に乗って座った時のシートの座り心地みたいなこともその一つです。その他にも、車に乗っていると車内の温度とか、臭いって気になりませんか。こういったものも「快楽性」に含まれます。

メルセデスのデザインセンターのインタビューの中でも"Sensual purity" 「官能的純粋さ」という言葉を用いて、全てのメルセデスの自動車の部位が、あなたの心や魂に触れて、その感覚を刺激するという視点をもってデザイン開発しているとお話しされていました。

「感覚を刺激する」。いわゆるこの感覚ですので、視覚や嗅覚、味覚、触覚、聴覚など、こういったものを全部刺激するようなデザインの設計になっているということが、この"Sensual purity"という一つのコンセプトにまとめられているわけです。

例えば聴覚ということで言うと、エンジンの音などが挙げられます。

実際にメルセデスベンツのSシリーズという非常にハイグレードのシリーズがあるのですが、これはわざとエンジン音が大きくなるように設計されています。スポーツタイプのものだと、F1に近いような音の設計になるようになっているわけですね。それが良さを体感させるのです。他にもフェラーリでは、車体を低くすることであたかもF1に乗っているような設計をしているものもあります。高い位置から自動車のスピード見るよりも、低い視線で運転した方が人間は速く感じるのです。これがまさにF1運転するような感覚を体感できるような設計なのです。

今お話ししたのは、どちらかというと高価格帯の車なのですが、例えばトヨタのレクサスのシリーズですと、パワーウインドウのボタン。窓を開けるときに上下に開閉しますよね。ここにも感覚を刺激するような工夫がされています。どういう工夫かというと、窓を開け閉めするスピードが始め速くて最後ゆっくり動くように設計されています。始め少し速く開いて、最後ゆっくりになることによって、高級感を倍増させるわけです。それも適当にこれやっているのではなくて、計算され尽くされているのです。
そのほかにも、自動車には前座席が2つ付いていますよね。その真ん中の部分にセンターコンソールといういわゆる物を入れる所あるがありますが、レクサスの場合では、ボタンを押すと自動で開くような仕掛けになっています。これも先程のボタンと一緒で、始めにちょっと速めに開いて、最後がゆっくり開くわけですね。そうするとやっぱり高級感に重みがありますよね。
ここもスピード感ですよね。スピード感が乗客にとって心地よくなるような設計になっているというとこです。実はこれレクサスMUSTsと言う英語のmustに"S"が付いて複数形になっているわけなのです。
レクサスMUSTsという500項目以上からなる完成品質基準があります。完成品質ですから、その感覚に訴えるもの。今回紹介したようなボックスや窓の開閉スピードのような工夫が他にもたくさんあるということですよね。

有名なとこですと、アメリカでレクサスを売るときに有名な事例として、ドアの開閉音というのがあります。わざと重く設計しているのです。これは普通に考えるとネガティブに見えますが、なぜわざと重くしているのかというと、重厚感出すためです。そういった工夫がレクサスのドアには隠されています。

今日はデザインの要素として、自動車に乗っているときに体感する心地良さとして「快楽性」というものを挙げてみました。非常に五感を刺激する重要なデザイン要素と考えることができるかと思います。

参考文献
「製品デザイン要素の解明―自動車産業に対する定性調査による考察―」『マーケティングジャーナル』岩下仁、大平進、石田大典、外川拓、恩藏直人、第34号第3巻、99-116頁、日本マーケティング学会、2015年。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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