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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 熊本地震の影響 (企業財務 M&A/村藤功)

熊本地震の影響

村藤功 企業財務 M&A

16/06/01

今日は、4月の熊本地震の影響――どういう被害がでて、どういうふうに復興にむかっているか、ということについて話します。

4月14日夜9時過ぎ、日奈久断層帯の北側部分、震源の深さ11キロでマグニチュード6.5の地震が発生しました。これにより、熊本県益城町は震度7を観測しました。通常地震は一回起こると、その後は余震しかこない場合が多いです。ところが、4月16日午前1時過ぎに、今度は布田川断層帯でマグニチュード7.3という、前よりも大きい地震が発生しました。益城町で再び震度7を観測したほか、西原村でも震度7を観測しました。これが本震であると、気象庁は後ほど発表しました。2回大きな地震がきて、その後も山のようにたくさんの地震が続きました。震度1以上は5月12日までに1400回も、震度5弱以上は4月29日までに18回発生しました。このように大きな地震が何度も発生しています。

さて、いったいどういう被害がでたのかをみていきましょう。まず人的被害として5月15日段階で死者49名、行方不明者1名、震災関連死19名、そして負傷者が約1700名にのぼりました。また、車などに避難して動けずにいるためエコノミークラス症候群にかかった人が50名余り入院しているという状況です。財務上の被害をみてみましょう。損失額は阪神大震災よりはひどく、東日本大震災ほどまではいかない、というものになりそうです。とはいえ、地震保険の加入率は阪神大震災のときに比べて3倍らしいので、かなりすごい金額の支払いが発生するようです。

避難者の状況はどうでしょうか。地震直後のピークでは、約20万人が避難したということです。5月18日時点でようやく1万をきったということですが、1万人がどうにもならない状況にあるということです。みんなが避難所に入れたわけではなく、多くは車の中やテントで過ごしています。また、避難所といっても大きいものから小さいものまでいろいろあり、大きい避難所には救援物資が届くけれど、小さいところや車やテントには届かないという状況が起こっています。

政府も尽力はしました。東日本大震災をうけて、2012年に災害対策基本法が改正され、被災自治体からの要請を待たずに物資を届ける「プッシュ型支援」が盛り込まれました。この支援方式のもと、政府は3日で9万食を届けようとしました。しかし、大きな避難所には物資がいくものの、車やテントにはどうやって届ければいいのかわからない、という状況でした。自治体の人も避難者なので届けられないのです。「プッシュ」しようと思ったけれど、末端まで支援が届かないという状況で、だんだんと改善はされてきたものの、とくに最初はどうすればいいかわからない、という状態でした。

廃棄物などもすごい量がでました。災害廃棄物が130万トンと言われていますが、これは一般廃棄物の約2年分にあたります。自分たちだけでは処理できないので、他の自治体にお願いしたり、民間企業を利用させてもらったりしていますが、処理するのにあと2年くらいはかかるだろうと言われています。

ライフラインについてみてみましょう。電気はわりと早く復旧しました。ピーク時には約47万戸が停電していましたが、4月23日ごろには復旧しました。ガスは一時、約10万5千世帯への供給を停止していたのが、4月30日ごろには復旧しました。水道はまだ断水しているところがあります。ピーク時には約44万戸が断水していたのが、300くらいになってはいますが、南阿蘇や益城町で断水しているところがあるという状況です。熊本は降水量が多く、阿蘇山の噴火で貯水能力が高い地層が形成されているので、飲料基準を満たす湧き水がたくさんあり、今まで飲料水にはあまり困っていませんでした。しかし、今回の地震の影響で地下水が汚濁し、なかなか元に戻らないという状況になっているようです。

また、建物はかなり被害をうけました。建物の耐震基準は、震度6強に1回耐うることを想定しているのですが、今回は震度7が2回あり、大きな揺れが連続してあったので、被害が大きかったわけです。損壊家屋は5月21日時点で9万を越えました。そこで仮設住宅が問題になってきます。仮設住宅に入るためには被害認定と罹災証明が必要になります。しかし、罹災証明を出してくれるはずの自治体もやられているので、なかなか仮設住宅への申請に対して対応が追い付かないという状況になっています。役所や病院、学校は建物が被害をうけましたが、少しずつ再開し始めているようです。学校などは、避難所として避難者がいたり、体育館が壊れていたり、といったところもありますが、とりあえず授業はやるという状況です。

政府の対応についてもみてみましょう。阪神大震災の際問題になった二重ローンの問題を避けるために、300万の生活支援金を支払うという法律ができています。また、野党はその金額を300万から500万に引き上げる提案をしましたが、これが通るかはまだわかりません。とりあえず政府は、当初3500億円の予備費を使い、その後5月17日に補正予算7780億円を通し、1兆円くらいの予算を作って対処しようとしています。また、地方自治体の対応について、一つ良かったと言えるのは、過去の経験の教訓として、「被災者台帳システム」ができていたことです。これは、被災者建物の被害を一括管理するようなシステムです。これによって、どれくらいの人と建物が被害をうけているかというのを把握し、対応しようとしている状況です。

それでは今日のまとめです。
熊本地震により、いろいろなところに被害がでました。一旦は機能が停止した新幹線や高速道路、飛行機、電気、ガス、小中学校、小売り流通、製造業などは復旧してきました。しかし、水道、鉄道、道路、橋、農業、中小企業といったように、復旧していないものもまだまだあります。また、「危険判定建物」というのが4月末時点で、東日本大震災を越える1万2千棟に上がるようです。東日本大震災の際は、こうした建物は津波で消えてしまいましたが、今回はかなり危険な建物がたくさんあります。建物にも入れないし、仮設住宅に入るためには様々な手続きが必要だということで、心配事はたくさんあるという状況です。

分野: |スピーカー: 村藤功

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