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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マーケティングにおける製品デザイン(Product Design) ③ (マーケティング/岩下仁)

マーケティングにおける製品デザイン(Product Design) ③

岩下仁 マーケティング

16/05/19

今日も製品デザインのお話です。デザインというと見た目重視というイメージが強いですが、最近は見た目以外の要素も求められているというお話です。今日は中でも産業のインパクトも大きい自動車を例にとって、どんなデザイン、視点が重視されているかというのをお話をしていきたいと思います。

自動車のデザインを評価する世界レベルの賞として、「ワールドカーデザインオブザイヤー」がありますが、それをベースに、近年どのような自動車が受賞しているのか、どのようなところが評価されているのかを見ていきましょう。今回は、2013年、14年、15年の3年間の受賞作品を見ていきます。

まず2013年には、ジャガーのFタイプという自動車が最優秀賞を受賞しました。
この自動車は、見た目も非常に優れていて、パッと見ると見た目のカッコよさに目がいきがちですが、実はそれ以外にもこの自動車の優れた要素が隠されています。それはどこかというと、自動車には後ろの排気ガスを出すバルブがありますよね、実はこの自動車はこの排気口のところに特殊なパイプバルブを採用しているんです。それによって何が変わるのかと不思議に思われるかもしれませんが、これにより深くドラマティックなサウンドを生み出します。エンジン音や排気音、よく耳にするあのブーンという音が好きな人にとっては非常に堪らないようですね。やはりこの辺が、見かけのデザインではなく、どちらかと言うと感性ですよね。こういった目に見えない感性の部分も、デザインに入ってきているということです。

エンジン音以外にも、例えばドアを開けてバタンと閉めた時の音や、どのぐらいの重さかなどという感覚の中にも心地良さがありますよね。昔トヨタがアメリカで作ったレクサスの話が有名ですが、通常ドアを閉める時の重さは車体の軽量化を考えて、軽くしようという傾向がありました。しかし、トヨタのレクサスはわざと重くしました。それによって、重厚感出て、より高級感増すのです。デザインの視点を考えた場合、一見重量化することはネガティブに考えがちですが、このマイナスの要素によってプラスの効果を出すということをやる訳です。見かけだけではなく、ここでのキーワードは快楽性ですよね。
こういった気持ちいいかどうかという「快楽性」がデザインの評価基準の中に含まれてくるというのは少し不思議な感じもしますが、この自動車がワールドカーデザインオブザイヤーの中でも最も権威のある賞を獲っているということからも、快楽性が重視されているということが分かりますよね。


続いて2014年には、BMWのi3が受賞しました。
フォルムは丸くて柔らかい感じがする自動車です。これ実は今流行りの電気自動車です。通常、自動車の前にグリルがついており、そこからエンジンが温まった時に熱を逃がすようになっているのですが、電気自動車ではどうなると思いますか?本来、必要ありません。しかし、この自動車を実際に見ていただいたらわかるのですが、いわゆるそのグリルがついています。必要が無いのになぜわざわざ穴開けてこういったものをつけるか。実はBMWはすべての車種にキドニーグリルをつけています。キドニーとは、日本語に直すと肝臓です。肝臓の形をしているグリルをつけるのです。要はそれがBMWのシンボルなのです。
自動車の前の顔を見た時に「あ、BMWだ」とわかるということですね。

ですから、電気自動車にもかかわらず、i3にもつけているわけです。それによってブランド価値とか、BMWの受け継がれている伝統を伝えるという意味合いがあります。

このキーワードは「継続性」と言えるかもしれませんね。そういった視点もデザインには重要だということが分かります。
最後は2015年です。この年はシトロエンのC4、「カクタス」という車種が取っています。
この自動車は、通常ドアの内側についているようなクッションが外についてます。通常内装についているエアクッションの原理を、ボディのアウターパネルにもつけているのが特徴です。乗っている人ではなく、当たった時の人の安全性を考えているのです。
あってはならないことですけれども、万が一ぶつかった時にも、外側にもクッションがあることで防げますよね。通常だと歩行者のことは、そこまで配慮がいかないケースが多いのですが、今評価されるものは周りの人の配慮まで気を配ることが非常に重要なわけです。

「安全性」ですね。この自動車はその辺をうまく取り入れて、エアクッションをアウターのパネルをつけつつデザインもうまく溶け込んでいる訳です。

ここまで三車種見てきましたけれども、今回、ワールドデザインカーオブザイヤーを通して、近年自動車の重視される視点が見かけだけではなくて、ジャガーで出てきた「快楽性」ですとか、BMWで出てきた「継続性」、シトロエンで出てきた「安全性」と言った見た目以外の部分が重視されてデザインが評価されているというお話でした。

参考資料
「製品デザイン要素の解明―自動車産業に対する定性調査による考察―」『マーケティングジャーナル』岩下仁、大平進、石田大典、外川拓、恩藏直人、第34号第3巻、99-116頁、日本マーケティング学会、2015年。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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