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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マーケティングにおける製品デザイン(Product Design)⑤ (マーケティング/岩下仁)

マーケティングにおける製品デザイン(Product Design)⑤

岩下仁 マーケティング

16/05/27

今日は前回に引き続き、製品のデザインの要素についてお話していきたいと思います。
前回までの復習になりますが、製品を開発する際に企業の人がどういう視点を持ってデザイン開発をすれば、より消費者・生活者にうけるようなデザインになるかというお話をしてきましたが、その時の視点として、9つの要素がありました。1つ目が「視美性」といわれる視覚から感じる美しさですね。2つ目が「先進性」、時代の先端を走る技術やスタイルの投入。3つ目が「安全性」。顧客あるいは歩行者の安全を考慮した設計ですね。4つ目が「快楽性」。自動車に乗車している時に体感する心地良い感覚。次が「機能性」です。現在は自動車を対象に見ていますので、燃費効率や空力特性といった言葉が出てきますが、総じて効率性という所です。続いて「操作性」、使う人の使いやすさですね。あと最後の3つが「独自性」という事で他社に見られない個性、あるいは「継続性」、時代を超えて受け継がれるデザインの統一感。最後は「社会性」ということで社会全体に対する配慮、これら9つの要素があるというお話でした。

デザインといっても見た目の要素だけではなくて、色んな要素が今求められているということですが、私たちは今自動車業界というのに着目してこのデザイン要素というのを研究しています。今日からはこの9つの製品デザイン要素を少しずつ具体的により深くお話していきたいと思います。今日は1回目ですので、一番わかりやすい「視美性」から入っていきたいと思います。

例えばホンダのエヌワンってご存知ですか。非常に人気のある自動車で、女性をターゲットにしたマーケティングの事例でも取り上げられますが、そのエヌワンには実は仕掛けがあります。

美しさという点から考えるとどうでしょう。自動車の顔のことをフェイスと言いますが、顔が可愛らしい感じがしますよね。あれには実はホンダの視美性に対する考え方が表されたデザインになっています。フェイスの部分を見て頂きますと、ライトが2つ付いていて、真ん中にナンバープレートが付いていて、更に下の部分の前方にサイドにライトが2つ付いている。こういった並びが上から下にあるわけなんですけが、実は横に十字が出来、そこの比率が黄金比になる設計になっています。エヌワンさんのホームページを見て頂けると載っていますが、人間の顔もそうで、人間の場合、目、鼻、口ですね、ここのところが黄金比になっているほど綺麗な顔に見えるといわれています。つまり、人間が美しさを最も感じやすいバランスの比率を車の設計にも取り入れているというのがポイントです。

その他にもいくつか有名な事例がありまして、ハーレーダビッドソンってご存知ですか。
これにも実は仕掛けがあります。見た目の美しさを感じるまさに視美性の部分に着目したデザインになっているのです。ハーレーダビッドソンのかっこよさがどこから生まれるかというと、実はこのハーレーダビッドソンは横から見ると、前輪の軸線と機体の中心を貫く力線と要は体重がかかるところで構成される部分が直角三角形になっていて、そこが黄金比なので1.618と1になる設計になっています。だから横から見ると実は三角形なっていて、そこは非常に美しい設計になっているというのがヘリテージ・ソフテイル・クラシックと言われる黄金比の存在です。

なかなか皆さんはパッとイメージしにくいかもしれませんが、ハーレーダビッドソンの写真を見たり、実物を横から見たりして、そこに直角三角形が見えるというのを感じて頂ければ、そこからくる美しさだということがわかっていただけるのではないでしょうか。

フェイスで黄金比を利用している例は多いのですが、ハーレーの場合は横の輪郭の部分に黄金比を入れているというのがポイントです。メルセデスベンツというドイツの自動車メーカーにデザインセンターというところがありますが、そこでのインタビューでの言葉を少し引用したいと思います。「メルセデスは車のデザインを開発する際に視美性を重視していて、デザインに官能的な美しさが反映されるように意識していますよ」と仰っていました。

この「官能的な美しさが反映されるように」とはどういうことでしょうか。
メルセデスベンツで最もクラシックなスタイルと言われる自動車に300SLという自動車があります。これは今でも様々なベンツの原型になっているような最もクラシカルなメルセデスベンツのモデルです。実はこれも横から見ると横たわる美しい女性とシルエットが重なるような設計になっています。
やはりある程度の曲線美というものがきちんとあり、それが官能的な美しさというところの艶めかしさや魅力が感じられる形になるように設計されています。そのため、メルセデスベンツを横から見るとあたかも女性が横たわっているような官能的な美しさを無意識に意識させますが、これが実はベンツの原型になっている美しさのデザインの要素なのです。

今日は前回の復習という事でデザインの要素を詳しく見ていきましたが、その中でも一番取り組みやすい部分としてまず視美性というものを取り上げてみました。


参考資料
「製品デザイン要素の解明―自動車産業に対する定性調査による考察―」『マーケティングジャーナル』岩下仁、大平進、石田大典、外川拓、恩藏直人、第34号第3巻、99-116頁、日本マーケティング学会、2015年。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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