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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 景気を語る人々 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

景気を語る人々

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/05/16

『なんだ、そうなのか!経済入門』という本のエッセンスを紹介していますが、今日は「景気を語る人々」について話します。景気の話をする専門家はたくさんいますが、大きく分けると3つに分けられます。

1つ目は、景気の予測を専門にしている人々で、「エコノミスト」と呼ばれます。
世の中には、景気が良くなるのか、悪くなるのかを知りたい人がたくさんいます。私は以前、銀行に勤めていて、お客様に景気の見通しを披露するという仕事をしていました。銀行のお客様である企業の方々にとって、景気の先行きは気になる問題です。銀行自身にとっても、景気が悪くなりそうだと貸し倒しが増える恐れなどがあるので、ぜひ景気の見通しを知りたいわけです。そういった人々の需要に応えるのがエコノミストの仕事です。

2つ目は、株価などを予測するために景気について語る人々で、「マーケットエコノミスト」と呼ばれます。
経済指標や金融政策に動きがあると、株価や金利、為替レートなどが大きく変動します。そこで、投資をしている人々には、経済指標や金融政策について知りたい人が多いわけです。そういった人々に予想をお伝えするのがマーケットエコノミストです。
1つ目にあげた「エコノミスト」と何が違うかというと、大きな違いが2つあります。
マーケットエコノミストは、市場参加者が関心をもっている事柄に集中して話をします。たとえば、アメリカの雇用統計や日本とアメリカの金融政策といった事柄は、市場参加者の関心がとても高いので、話が長くなります。アメリカの雇用統計が動くと、それによってマーケットや株価、為替レートが大きく動くからです。エコノミストが何百という経済指標が日本にもアメリカにもあるのを、わりと広く浅くみる一方で、マーケットエコノミストはごく限られた事柄だけを集中的に詳しくみます。雇用統計がでた日には、マーケットはすごく動きます。市場での関心が低い統計の場合、発表されたのがどんな数字であっても市場参加者は見ていないので、株価に動きはありません。そうなると、マーケットエコノミストの関心は雇用統計や金融政策に集中的に向かうことになります。あくまでも、市場がどう動くかに関係するところだけを見ておくということです。
また、もう1つの違いですが、マーケットエコノミストは、経済指標が出る度にすぐに反応します。エコノミストは、景気の大きな流れをつかむことが大事だと、教育されています。つまり経済指標は上がったり下がったりするので、一喜一憂しないで、落ち着いて全体の大きな流れを見るように言われています。一方、マーケットエコノミストは、数字が出るたびに大騒ぎしますが、我々エコノミストは彼らのことを見て節操がないなという風に感じているわけです。逆に彼らはエコノミストを見て、反応が鈍すぎると批判していることでしょう。

さて、景気を語る専門家の3つ目は、「経済学者」です。
経済学者は、理論を述べたり、景気を良くするためには何をなすべきか、という話をしたりしますが、基本的に景気の予測はしません。
景気の動きは非常に複雑で、理屈で説明できないようなことがたくさんあるというのが一つの理由でしょう。たとえば、減税をしたときに、人々はそれを全て貯金するのか、あるいは、全て使うのか、こういったことは経済学理論というよりは、その時々の人々の気分で決まります。経済学者が難しい理論を使っても、そのあたりの予想は難しいのです。
我々エコノミストは景気予測を仕事にしているので、理論だけでは予測が難しいぶん、長年の経験と勘を大切にします。経済学者からは、「カンピュータだ」という批判もいただくわけですが、一方で我々エコノミストは、彼らのことを、「理屈だけわかっていてもなかなか予想は当たらない」というように批判することがあります。お互い批判し合っていますが、やっている仕事が違うわけです。どちらも自分のことを「エコノミスト」と呼んでいるのが紛らわしい点です。

余談ですが、4つ目として「止まった時計」と呼ぶべき人々がいるにはいます。
この人たちは、景気を当てることが目的ではなく、常に「景気は悪くなる」と言い続けています。どういういいことがあるかというと、景気討論会で重宝されます。景気がよい時に、みんなが「景気が良い」と言うと討論になりません。こういう時、「景気が悪い」と言っている人は、必ず景気討論会に呼んでもらえるわけです。景気はいつか悪くなりますから、いざ悪くなったときに、「私が前々から正しく予想していたように、景気が悪くなりました」と言えば、またそこで尊敬を集めるということになり...うまいビジネスモデルだとは思います。

では今日のまとめです。
景気について語る人々は、エコノミスト、マーケットエコノミスト、経済学者に分けられます。エコノミストは「景気そのものを予想する人」、マーケットエコノミストは「株価などの予想をするために景気の話をする人」、経済学者は「理論を探求する人」という違いがあります。

分野: その他 |スピーカー: 塚崎公義

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