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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 欲張りは悪か? (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

欲張りは悪か?

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/05/09

『なんだ、そうなのか!経済入門』という本のエッセンスを紹介していますが、今日は「欲張りは悪いことではない」というお話です。

「欲張り」と言えば、良い印象はありません。小学校の道徳の先生ならば、当然「欲張りは悪いことだ」と言うでしょう。しかし、経済学者からすればそうではありません。むしろ、「世の中が上手く回っているのは、人びとが欲張りだから」というのが経済学者の考え方です。

例えば、私がお腹が空いたので大学の近くでパンを買う、という場面を考えてみましょう。
もしコンビニの店長が欲張りでなければ、パンが売り切れていてもパンを仕入れないことでしょう。「パンを仕入れたら儲かるだろうけど、面倒くさいからやめておこう」と思われてしまえば、パンの棚は空いたままになり、私はパンを買うことができません。つまり、私がパンが買えるのは、コンビニの店長が欲張りで、もっと儲けようとしてくれたからなのです。そもそもその前に、大学の近くにコンビニがあること自体がありがたい話です。コンビニの社長が、「ここに店を出せば儲かるだろう」と欲張って考えて出店してくれたおかげです。もっといえば、パンの会社の人が「パンを作れば儲かるな」と欲張って考えたからパンを作ってくれたわけです。もし、「パンを作れば儲かるだろうけど、面倒くさいからやめた」とさぼっていたら、私が食べるパンは作られなかったことになります。

実はこの仕組みを使って、物の生産は実にうまく調整されています。
例えば、あるアイドルが「私、こういうパンが好きです」と言ったとします。そうするとそのパンの人気がすごく高まります。そしてみんながそのパンを買うようになる。そうすれば「そのパンを作れば儲かる」とパン屋が考える。「そのパンを仕入れれば儲かる」とコンビニが考える。このようにして、人気が出たものはたくさん生産されて、たくさん棚に並びます。逆に、人気がなくなったものは、あまり生産されなくなって、棚に並ばなくなります。非常に理にかなった話です。

社会主義・共産主義の計画経済であれば、政府が何を作るか決めるというシステムなので、人気が出たものをたくさん作ろうということには、必ずしもなりません。政府が、「このアイドルがこういうことを言っているので、きっとこのパンの人気が出るだろうから、たくさん作りなさい」という命令を出すことはなかなか難しいことです。それよりも、人びとの欲望に任せて、「売れそうなものを作って欲張って稼ぎましょう」というシステムにしておいたほうが、世の中の経済は上手く回るのです。資本主義が社会主義・共産主義よりも成功したのは、人びとの「欲張り」を上手く利用したからなのです。
そういうわけで「欲張り」というのはいいことなのです。

では、次のようなケースについてはどうでしょうか。
米が不作の年に、一部の人が買い占めるという事態が起こったとします。これはさすがによくないことだと思う人が多いのではないでしょうか。しかし、経済学の世界では、このような事態も必ずしも悪いことだとは思われていないのです。

具体的にどういうことかを考えていきましょう。米が不作で普段の半分しかとれなかったとします。「きっと米が値上がりするから、今のうちに買い占めておこう」という悪徳商人が出てきます。悪徳商人が買い占めたことによって、米の値段が2倍になりました。そうすると、庶民はいつもの半分しかお米が食べられません。お腹が空きます。お腹を空かせて悪徳商人を恨みながら、毎日半分のお米で我慢をするという生活が1年間続くわけです。次の秋になれば、新しいお米がとれるので、我慢するのは1年ということになります。

ではここで、欲張りな商人がいないと何が起きるかを考えてみましょう。誰も米を買い占めないので、米の値段は上がりません。そうすると庶民は、いつも通りの値段でいつも通りの分量の米を買ってきて、いつも通りに食べます。この年は不作で米が半分しかとれなかったにも関わらず、庶民がいつも通りに米を食べていると、半年経ったときに国中の米が全部食べられてしまいます。そうするとあとの半年はどうやって過ごせばよいのか、という問題が起きます。つまり、悪徳商人が米を買い占めてくれたおかげで米が値上がりし、人びとが半分しか米を食べずにすみ、次の秋までに米がなくなってしまうという事態を避けることができたのです。お腹は空いているけれども次の秋までなんとか生きのびることができます。
そういうわけで、やはり経済学の世界では「欲張り」は悪いことではないのです。

では今日のまとめです。
欲張りなことは悪いことではありません。コンビニでパンが買えるのは、コンビニの社長や店長が欲張って利益を稼ぎたいと思っているからです。また、経済を上手く回すという意味においては、不作の年に米を買い占める悪徳商人でさえも、世の中の役に立っていると言えるのです。

分野: その他 |スピーカー: 塚崎公義

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