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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本は金持ち国か? (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

日本は金持ち国か?

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/05/10

『なんだ、そうなのか!経済入門』という本のエッセンスを紹介していますが、今日は「日本はお金持ちの国なのかどうか」についてお話します。

本題に入る前に、みなさんは「お金持ち」というとどんな人をイメージするでしょうか。

一般的には、「年収の高い人」をイメージするかもしれません。しかし、一年に一億円稼いですごく贅沢な生活をしている一方で、貯金が全く無いという人はお金持ちといえるでしょうか。また逆に、年収は少ないけれど、すごく倹約して貯金の残高が一億円あるという人はどうでしょうか。後者は、やはりお金持ちということになります。

このように、「お金持ちとは何だろう」と考えてみると、これは意外に難しい問題です。日本では、「お金持ちから税金をとろう」という話になると、「年収1000万以上の人はたくさん税金を払いなさい」というように、収入の問題として論じられがちです。しかし、上でみてきたように、「お金持ち」とは一概に収入のみで判断できるものではありません。

以上のことをふまえて本題に入りたいと思います。「日本がお金持ちか」ということを考えるときには、2つの基準で考える必要があります。

1つ目として、日本人が「豊かな暮らしをしているか」を考えてみましょう。
これはもちろん人によりますが、平均すれば日本人は豊かに暮らしています。それを示す統計としては、「一人当たりのGDP」というものがあります。GDPは「国内総生産」といって、国内で生産されたものがどのくらいあるかという統計です。生産されたものがたくさんあれば、その分だけ国民がたくさんものを使って豊かに暮らしている、ということがおおざっぱには言えます。したがって、一人当たりのGDPが大きな国は、国民が豊かに暮らしていると言えるわけです。

ただし、GDPを国民の「豊かさ」の指標として見る場合には、いくつか気をつけなければいけない点があいます。そのことをみておきましょう。

まず、「一人当たりの」GDPを見るという点に注意しなければいけません。国民人口が多いとその分だけたくさんものを作る必要があり、単なるGDPの数値は「豊かさ」の指標になりません。たとえば、中国は日本よりGDPは大きいのですが、人口がもっと大きいので、一人当たりのGDPで見ると、日本人のほうが豊かな暮らしをしていることになります。

また、GDPの数値では見えてこないこととして、次のようなことがあります。南の島で自然になっている果物を食べて暮らしている人は、GDPは0でも豊かな暮らしをしています。一方、北国において、温室で一生懸命果物を育てているという人は、豊かな暮らしはしていないけれどGDPの数値は大きくなります。本当はこういったことを勘案しなければいけません。ただし、どこの国においても、農業以外の産業についてはあまり大きな違いがないので、少し気にすればよいという程度でしょう。

それからもう1つ、気をつけておかねばならないことがあります。それは国民の間での貧富の差です。お金持ちだけがすごく豊かに暮らしていて、庶民がみんな貧しい暮らしをしているという国もあります。ただし、これも日本についてはそこまで気にする必要はないでしょう。確かに最近は、格差が広がってきているという事実があります。しかし、世界の中でみれば日本での格差ははるかに小さいほうです。日本人の平均としては、わりと豊かに暮らしているといっていいと思います。

また、国によって通貨や物価が違う場合、どうやって豊かさを比べるのかという疑問があるかもしれません。そうした問題についても、ここでふれておきましょう。たとえば、日本のGDPは「○兆円」、アメリカのGDPは「○兆ドル」という統計で出てきます。これについては、為替レートをもとに1ドルの値段で割る、というようにしてやれば、日本のGDPとアメリカのGDPを比べることができます。また、たとえば、物価のすごく安い途上国のGDPと日本のGDPをいかに比べるか、という問題もあります。この場合は、「一人当たりのGDPは日本の4分の1だけど、物価が半分だから生活水準としては日本の半分」といった考え方をする必要があります。

しかし、いずれにせよ、日本人の生活水準が世界の中で上位にあることは間違いありません。たしかに、昔ほどの圧倒的な豊かさは感じられないかもしれません。20年前の日本の生活水準は世界の中でも非常に高かったのに対して、バブルが崩壊してからゼロ成長が続いた結果、ずいぶん色んな国に追いつかれ、追い越されてはいます。それでも依然として、日本人の生活水準が世界の中では上位にあることは間違いないです。

さて、ここまでは、日本の「一人当たりのGDPの大きさ」から日本の「豊かさ」考えてきました。一人当たりのGDPが大きいということは、「収入が大きくて消費も大きい」ということになります。

それではここで2つ目として、「貯金の額が多いか」を考えてみましょう。
貯金の額を考えるときには、「毎年の生活が給料の範囲内で出来ているのか」ということを考えます。それを示すのが「経常収支」という統計です。これは、家計で例えると、「毎月の給料を使い切らずにしっかり毎年貯金ができているか」をみるものです。これについては、日本は大幅な黒字になっています。

一方でアメリカを見てみると、収入は多いけれども、それ以上に豊かな暮らしをしていることがわかります。「借金をして贅沢に暮らしている」というイメージです。したがって、第二の基準からすると、日本のほうがアメリカよりもずっとお金持ちだということが言えます。

こういうと、「日本の政府は借金がたくさんあるのに、お金持ちの国だと言えるのか」という疑問がわく人もいると思います。確かに、日本政府はたくさん借金があるのですが、一方で日本の国民はたくさんお金を持っています。高齢者が老後に備えて貯金をたくさん貯めこんでいるので、高齢の国民が政府にお金を貸しており、なおかつ余った分を、銀行を通じて外国の会社に貸している、という形になっています。家計でたとえるなら、「お父さんは借金だらけだけど、お母さんがたくさんへそくりを持っていて、お父さんにお金を貸してもまだ余った分を銀行に貯金をしている」といったイメージです。

では今日のまとめです。
日本は豊かな国です。一人当たりのGDPが大きいので、国民が豊かに暮らしているといえます。対外純資産が大幅なプラスですから、貯金を沢山持っているという意味でも豊かな国です。

分野: その他 |スピーカー: 塚崎公義

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