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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > プラットフォームブランディング⑤ (マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)/川上慎市郎)

プラットフォームブランディング⑤

川上慎市郎 マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)

16/05/20

前回は、ブランドづくりの成功例として、アップルの事例を詳しくみていきました。今回は、「どうやったら、アップルのようにブランドづくりにおいて成功できるのか」という話をしていきます。

確かに、ブランドづくりにおいてセンスの良い人がいるにこしたことはありません。しかし、「あなたもスティーブ・ジョブズになろう」という話になると身も蓋もなくなってしまうので、別の方法についてお話したいと思います。センスの良い人がいなければ成功しないのかというと、必ずしもそうではありません。

たとえば、以前シャープの事例を話しましたが、この会社がもともと成功したのは、誰か一人のセンスによってというわけではありませんでした。確かに、液晶を売ることを決めたのは当時社長だった町田さんでしたが、この会社のブランド自体は、彼一人のセンスがつくったのではなく、みんなでつくってきたものでした。日本企業はどちらかというと、「みんなでつくるブランド」のほうが得意だろうと私は思っています。ブランドづくりのポイントを間違いさえしなければ、スティーブ・ジョブズがいなくても、我々にも素晴らしいブランドをつくることが十分可能だと思っています。

それでは、そのポイントについて述べていきましょう。
最も重要なのは、「生活者を主語にする」ということです。よくあることなのですが、企業は自社製品のいいところなど、製品の話ばかりしてしまいがちです。そうではなく、「お客さんの生活の中に、どういう風にこのブランドをとけ込ませるのか」ということを考えることが大事です。お客さんが、生活のなかで「こういうことに困っている」、あるいは、「こういうことをしたい」という気持ちがある、ということを考えます。こうしたお客さんの希望や期待をくんで、そこに自社のブランドを「こういう風に使ってもらうといい」という提案をすることが、良いブランドづくりをするための最大のポイントです。

そして、生活者を主語にしたとき、集中して力を入れるべきところがあります。力を入れるところを間違えてはいけません。では、どこに力を入れればよいのでしょうか。

力を入れるべきところの1つめは、なるべく投資効率が良いところです。自社製品がたくさんある中で、「ここにお客さんの体験価値が蓄積していけば、他の商品ラインナップでも、似たようなイメージを広げていけるのではないか」というところを見つけます。「プラットフォーム」という言葉は、実はその意味としてもあるのですが、「共通要素=プラットフォーム」になるところを、自社製品のどこかに見つけ、そこに投資をしていくことが大事です。
マツダを例にとってみましょう。自動車が好きな方はとくに、「マツダ」と聞くとすぐに「スカイアクティブ」という言葉が思い浮かぶのではないでしょうか。いま、マツダの車のほぼ全てに、このスカイアクティブという技術が搭載されていると言われています。スカイアクティブテクノロジーというのは、実は特定の技術を指すわけでなく、自動車の色々な部品におけるマツダ独自の技術群の総称なのですが、マツダはあらゆる車種にこの「スカイアクティブ」を搭載していることをアピールすることで、あらゆる車種の価値を高めています。デミオからアテンザまで様々なランクの車がありますが、「全てマツダのスカイアクティブなので最高なのだ」というメッセージをお客さんに植え付けることに成功しているわけです。マツダの場合はスカイアクティブというものを共通要素と見立て、ここに徹底的に投資をしています。

2つめとして、生活者にとって最も接点の多いところに投資するという手があります。
たとえば、アップルだとiPhoneがそれにあたります。もともとアップルはパソコンの会社ですが、アップルのパソコンとiPhoneだと、iPhoneを持っている人の方がおそらく圧倒的に多いでしょう。そこで、iPhoneを認知してもらえれば、自動的にアップルというブランドを知ってもらうことができ、実はパソコンもあるということを知ってもらえる、というようにつながります。iPhoneのイメージが良くなれば、Macのイメージも良くなります。お客さんにとって最も親しみがあるところのイメージを徹底的に良くするために、集中的に投資をすることがもう1つの戦い方です。

3つめとして、お客さんの体験に隣接するところに投資するという方法もあります。自社製品と、お客さんの体験のつながりが一番深いところに力を入れるということです。
具体的にはどういうことか、アップルを例にとってみましょう。お客さんの「電子機器を買う」という体験の価値を高めるために、「アップルストア」という綺麗な店を作ったことや、包装を綺麗にするといったことが、その一つの例です。ただし、ここではとくに、アップルのサポートのことを挙げておきたいと思います。それまで、アップルのイメージを悪くしていた一番の原因は、サポートの悪さでした。これが全体のイメージを落としてしまってはいけないということで、直営のアップルストアの中に「ジーニアス・バー」というサポート窓口を設置するようにしました。サポートスタッフとしては、アップルの商品が大好きで、それについてすごく詳しいお客さんを雇いました。彼らは正社員ではありません。アメリカではボランティアの人もいるようですが、「ここに来るとアップルの商品が自由に使えて楽しいから来ている」という人もいるようです。こうして、お客さんがお客さんのサポートをするという仕組みを作り上げていきました。
アップルは、こうした仕組みを作ることによって、「サポートが悪い」と言われていた今までのイメージを一新することに成功しました。お客さんの体験の中でどうしても必要になるところ、ここにきちんと投資をしていくことが、ブランドを良くするためのポイントの1つになります。

今日の話をまとめます。
ブランドづくりにおいては、「生活者を主語にする」こと、そして、「自社製品の共通要素」、「お客さんとの接点の多いところ」、「お客さんの体験に隣接するところ」にとくに投資をしていくことが重要です。

分野: ネットビジネス戦略 |スピーカー: 川上慎市郎

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