QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > プラットフォームブランディング④ (マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)/川上慎市郎)

プラットフォームブランディング④

川上慎市郎 マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)

16/05/13

『プラットフォームブランディング』という本で書いた内容をもとに、ブランド戦略についてお話をしています。今回は、「アップル」を例にとって、「これから本当に成功していくブランドとはどういうものなのか」という話をしたいと思います。

今では覚えている人も少ないかもしれませんが、90年代の「アップル」は、実は破綻寸前の会社でした。その頃は、秋葉原などで「マッキントッシュ」の在庫が投げ売りされている光景もよくみられました。しかし、スティーブ・ジョブズが経営に復帰して以来、アップルは企業体質を立て直していくことになります。さて、ジョブズが経営に復帰して最初にやったことというと、何が思い浮かぶでしょうか。

iMacの開発だと思うかもしれませんが、実は、彼が最初にやったこととは、流通構造改革でした。
世界中にある物流倉庫を閉鎖し、アップル製品を扱う販売店も大幅に削減しました。当時、日本だけでも、販売店は3500以上あったのですが、それを100以下にまで減らしました。
また、それまで35パーセント前後だった販売マージンを、10パーセントまで引き下げました。これは、「店には10パーセントしか利益をおとさない」ということなので、店員の人件費も出ないことになります。つまり、販売店がアップル製品を値引き販売できないようにしたわけです。これは、「アップルの製品をアップルらしく売ってくれる店にしかもう卸さない」という意味の決定でした。またそれと並行して、世界中に直営店舗である「アップルストア」をオープンさせていきました。

では、ジョブズはなぜ、こういうことをしていったのでしょうか。ジョブズは、お客さんがアップルの製品を正しい値段で買ってくれないのは、そもそも製品を買う瞬間に「このお店でこの商品を買って良かった」と思ってくれていないからだ、というふうに考えたのです。
ここが、「製品が良ければ売れる」と考える日本のメーカーと大きく違うところです。ジョブズは、製品そのものの良し悪しよりも、それを買う際のお店の雰囲気や店員の説明といった、そういうものが製品のブランドに最も大きな影響を与えるのだと考えました。

これは、以前にもお話ししたブランドの「知覚価値」そのものです。アップルは、体験の「知覚価値」を立て直すことから始めました。そして、それができたと判断した頃に、満を持してiMacを投入したというわけです。
ブランドの「知覚価値」とは、製品の品質だけでなく、店での購買体験や知人やネット上での評判といった、その製品にまつわるあらゆる体験を含みます。アップルはそういった「知覚価値」を高めることに大きく成功しました。2000年代にアップルが復活した最大の理由はそこにあったと言われています。

よく、「iPhone開封の儀」という記事がブログに書かれていることをご存知でしょうか。
アップルの製品は包装もとても精緻に、美しくつくられています。それを開けるだけで楽しいと、ユーザーのなかで評判になります。そうして、製品を最初に買って、自分の開封している瞬間を写真にとってブログに載せる人がたくさんいるというわけです。
製品そのものだけでなく、買う瞬間、開ける瞬間といったこと自体が楽しみになるような、そういった体験の「知覚価値」を高め、ブランドを立て直していったのがアップルという会社なのです。

現在、世界でスマートフォン会社は200~300社ほどあると言われていますが、そのなかで利益を上げている会社は、実はアップルしかありません。それくらいアップルの一人勝ちになっています。これがブランドというものがもつ力の恐ろしさです。

今日の話をまとめます。
ブランドは、物の価値だけで生まれるのではなく、体験から生まれるものだ、というお話でした。

分野: ネットビジネス戦略 |スピーカー: 川上慎市郎

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ