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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マイナス金利 (企業財務 M&A/村藤功)

マイナス金利

村藤功 企業財務 M&A

16/04/12

今日は、日銀によるマイナス金利導入の経緯と見通しについて話します。

日銀の黒田総裁は、これまで大胆な金融緩和を行ってきました。はじめは1年あたり50兆円購入していた国債を、2014年末には80兆円購入することに決め、今も継続しています。こうして日銀の国債保有高は300兆円を超えました。日銀が国債を民間銀行から買い取ることで何が起こっているかというと、「マネタリーベースは増えているが、マネーストックは増えない」という状況が起こっています。

「マネタリーベース」というのは、日銀が民間銀行に供給するお金のことです。一方、「マネーストック」というのは、現金および事業会社や家計が、銀行に対してもっているお金のことです。つまり、日銀を含む金融部門全体から、経済に対して供給される通貨が「マネーストック」です。これは、以前は「マネーサプライ」と呼ばれていたものです。

日銀が民間銀行から国債を買うと、銀行が日銀にもっている当座預金口座にお金を振り込むわけなので、「日銀は銀行にお金をあげた」ということになります。ところが、インフレに対して本当に問題になるのは、銀行が事業会社や家計にお金を貸したかどうかです。事業会社や家計が銀行からお金を借りて、いろいろな経済活動をすると、経済が活性化されます。

現状としては、マネタリーベースは日銀一つの力で増やすことができるので、実際増えているのですが、肝心のマネーストックが増えていないという状況が起こっています。銀行が事業会社や家計に対して貸し出しを大してしていないからです。2016年1月末において、マネタリーベースは359兆円で、マネーストックはM2という定義でみると924兆円です。

では、なぜ日銀がそれだけお金を供給しているのに対し、銀行から事業会社や家計へお金が回らないのでしょうか。事業会社も家計もお金を借りたがらない、ということがあります。事業会社はバブル崩壊後、自己資本が足りなくなり、借り入れが山のようにありました。そこで借り入れを減らして自己資本を増やしてきたのです。また、家計としては、マイナス金利の結果、預金金利は下がり、給与も増えていないので、消費に慎重になっています。

そういうわけで、日銀がいくらお金を銀行に供給しても、銀行から事業会社と家計に対する貸し出しが増えないという現状があります。メガバンクなどは、日本国内にはもう期待できないということで、企業のアジアをはじめとする海外進出費用を貸し出すといったことをしています。

金利への影響もみてみましょう。
マイナス金利導入の結果、国債の金利もマイナスになっています。
貸し出しの金利はどうなったかというと、大企業向けの変動金利は下がっています。しかし、中小企業向けの貸し出し金利である、短期プライムレートは変わっていません。銀行としては、預金金利をもう引き下げられないのに貸し出しのレートを下げると、利ざやが縮みます。地方銀行の多くが、預金と貸し出しの利ざやを収益としているため、なかなか金利を下げられない、というのが銀行経営の状況です。

また、日銀にしたところで、山のように抱えた国債を将来どうするのかという問題があります。300兆円少々の国債を保有し、これを売り出したときに誰も買わなければ金利がどんどん上がります。そうすると保有している国債の価値がどんどん下がるので、巨額損失を計上しないといけなくなります。

今日の話をまとめます。
日銀が1月にマイナス金利を導入しましたが、企業や家計の経済活動は日銀が期待したようには活発化していないのが現状です。日銀が国債を買ったところで、企業や家計が銀行からお金を借りるということにはなかなかつながらない。日銀によるマイナス金利導入だけで経済を活性化させようとする発想が、そもそもおかしいのだといえます。

分野: |スピーカー: 村藤功

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