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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 為替の予想は当たらない (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

為替の予想は当たらない

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/04/04

「なんだそうなのか経済入門」という本のエッセンスをご紹介していますが、今日は「為替の予想は当たらない」というお話です。

皆さんはドルの値段が高くなるか安くなるかということに興味はありますか?
輸出や輸入の仕事をしている人はもちろんですけれども、そうではない方でも、ドルが高くなると分かっていれば買うでしょうし、安くなると分かっていれば売りたいと思うのではないでしょうか。予めどうなるかが分かるものなら知りたいという方は多くいらっしゃると思います。
しかし、こうした予想は非常に難しいのが現状です。ドルが高くなるか安くなるかというのは非常に多様な要因がからんでいます。例えば、輸出が増えれば輸出企業がドルを持ち帰り銀行に売りに行くため、ドルが安くなるだろうなとか、日本のお金持ちが日本の銀行から貯金をおろしてアメリカの銀行に貯金するために、銀行で円をドルに替えるとドルが高くなるだろうなど様々なことがあるわけです。
しかし、圧倒的に分かりにくいのは、人々が「ドルは高くなる」と予想するとみんながドルの買い注文を出すため、実際にドルが高くなってしまいます。逆に、みんなが「ドルは安くなる」と思うと一斉にドルの売り注文をだすため、実際にドルが安くなるのです。何か特別な理由があるわけではなくても、一度「ドルが高くなりそうだ」という噂が流れると実際にドルが高くなるということが起こるため、非常に予想が難しいのです。ケインズの美人投票という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、みんなが上がると思うと本当に上がるよということを表した言葉なわけですね。

こうした経済予測の専門家でさえも、今後ドルがどうなるのかという判断は非常に難しく、こんなことを言うと怒られるかもしれませんけれども、ドルが高くなるとか安くなるとか言っている専門家も実はそんなに当たっているわけではありません。今のドルの値段というのは、売っている人と買っている人の注文数が一致しているから成り立っている値段なのです。つまり、今の値段より下がると思って売っている人と、今の値段より上がると思って買っている人が同じ数だけいるということです。専門家の半分はドルが安くなると思って売り注文をだしているし、専門家の半分はドルが高くなると思って買い注文をだしているわけです。そんな時に専門家にドルはどうなりそうですかと聞いても、上がりそうだという人と下がりそうだという人が半分ずついることになります。

天才的な方でたまによく当たる人がいるのかもしれませんけれど、普通のプロはそんなに当たりません。
私も景気予測を専門にして、大学で金融論を教えていますが、やはり予測はそううまくいくとは限りません。そもそも私の予想が常に当たっているのであれば、今頃もっとお金持ちになっているはずですよね。時々私に為替の予想を聞いてくる方がいらっしゃるんですけれども、そういう時はまず、私が金持ちかどうかを聞いてくださいとお伝えしています。私が金持ちではないと分かったら、その質問を私にしても無駄ですよというふうに、半分冗談も交えてお答えしています。

では、プロの予想を聞いてもしょうがないのか、というと決してそうとも限りません。
例えば、私が自動車会社の社員だったとして、自動車を輸出して外国からドルが送られてきたとします。上司から、「君、君。このドルを今日売るべきかね。来月まで待ってから売るべきかね」と聞かれた場合、部下である私はなんと答えたらいいでしょうか。確率は5割ですから、今すぐ売りましょうと答えても、来月まで待ちましょうと答えても、5割の確率で失敗して怒られるわけですね。こんなこと容易には答えられませんよね。そういう時に「私には判断できませんからテレビでドルの話をしているプロの意見を参考にしましょう」とか、あるいは「メインバンクの為替の予想をしている担当者に教わってきましょう」とプロに依頼すると、仮に失敗して損をしても「やあプロが間違えたんでしょうがなかったですよね、私としてはやるべきことはやったんですけど」と怒られずに済むため、プロを利用する価値はあると思います。
担当者として責任逃れに使うことができるわけですが、ただ問題はその参考にしたプロの過去の予想が当たっているかどうかです。過去の予想が当たっていないプロにアドバイスを求めに行ったりすると上司に怒られることにもなりかねませんが、実際にはそういう心配はあまりありません。なぜかというと、これまで予想を外し続けていたプロというのはマスコミに呼ばれませんから、マスコミで為替の予想についていろいろコメントをしている人というのは、今までの予想が当たっていた人ということになります。

そのため、上司に「この人に意見を聞いてきましょう」という際に、その人がマスコミによく出ているかということが上司を納得させられる材料の1つではあるということです。

しかし、ここでも問題になるのは、恐らくその人も予想が上手いから当たっていたということではなく、過去たまたま当たっていたという要素が大きいため、テレビで為替の予想をしている人だからと言って次も必ず当たるとは限りません。ただし、そういう材料がある方が上司には怒られずに済むというのもまた事実であり、サラリーマンの処世術というのはこんなものかなと思うわけですね。

マスコミでよく見かける人といっても運の部分が多く、やはりそれだけ為替の予想というのは難しいものだといえます。本当に天才的な人でない限りは確率5割だと思った方がいいと思いますね。

では、今日のまとめです。

為替の予想はプロでもなかなか当たりません。それでもプロの言うことが大事なのは、自分で判断して損をするよりも、プロの言うことに従って損をする方が、上司に怒られないで済むからということなのです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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