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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 超高齢化社会を支える新たなビジネスモデル(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

超高齢化社会を支える新たなビジネスモデル(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

16/04/06

・日本では、65歳以上の高齢者が既に25%に達し、20年後の2035年には35%を越えると推計されている。つまり、20年後には、2人で1人の高齢者を支える「超高齢化社会」を生きなければならない。当然ながら、医療や福祉サービスへの公的予算は増大の一途を辿っている。
・我々国民としては、国や地方公共団体の財源の制約が大きいため、十分な公的サービスを受け続けられるのか、懸念も大きい。従って、予防医療や介護予防のように、高齢者がいつまでも健康で日常生活をおくれる環境づくりが重要となり、それは、従来のように公的負担のみに依存するのではなく、民間がビジネスとして果たす役割も大いにあるはずだ。しかしながら、その絵姿を描ききれていないのが現状だ。

・そのような時代背景にあって、北九州地域で地元に根ざし、超高齢化社会を見越したビジネスを展開している企業がある。北九州市門司区に本社を置く調剤薬局・ドラッグストアをチェーン展開する(株)サンキュードラッグだ。
・高齢化という面で"先進都市"ともいえる北九州地域を舞台とした同社の取り組みを整理しながら、超高齢化社会を支える新しいビジネスモデルのあり方について考察してみたい。

・同社の創業は1956年。店舗立地は北九州と下関の半径25km圏内に集中しており、41店舗のドラッグストアと25店舗の調剤薬局を展開している(2014年3月末現在)。ちなみに、平野社長ご本人もMBAホルダー(サンフランシスコ州立大学)である。
・平野社長によると、高齢者は、一人平均3.5件の医療機関にかかっているのだそうだ。従って、その全容を把握してはじめて、薬の飲み合わせの評価やアドバイスが適切に行えるようになる。また、高齢者といえども85%は健常者なので、歩ける人には、健康維持のために歩いて買い物に出てもらったほうが良い。とすると、昨今話題になっているスーパーやコンビニの日用品配達事業なども、健常者を敢えて対象から外すといったことを考慮する必要がありそうだ。単に「便利だから」という理由でサービスだけが一方的に発展すると、高齢者が出歩かなくなってしまう恐れもある。高齢者の日常生活は、半径400m以内でほぼ完結しているとのことで、日用品の販売店はその範囲内に立地し、高齢者が歩いて買い物に来ることを前提に、ビジネスモデルを考える必要がある。
・近年ではネット通販が発達し、水やオムツなど定期購入が必要な一方、重たくかさばるものを、インターネット上で購入する人も増えている。更には、顧客の徒歩圏内にはコンビニも多く立地し、また、大型ディスカウンターも依然として存在感が大きい。地域のドラッグストアの競争環境は厳しいと言わざるをえない。

・このようななか、サンキュードラッグでは、「狭小商圏対応・高家計支出・高来店頻度」を兼ね備えた店舗を「強い店」として位置づけ、店舗あたりの収益性を高めるというビジネスモデルを構築している。具体的には、高齢者の身近な存在、つまり物理的な身近さのみならず、心理的にも身近な「かかりつけ店舗」の高密度出店を目指しているとのことだ。この点が、規模拡大を目指す大手チェーンの戦略とは大きく異なる。

・では、ドラッグストアは、顧客の何を知っていたら「身近な存在」になれるのか?平野社長は、「例えば、来店されるお客さんが、病歴などの個人情報をいちいち店舗ごとに言わなければならないのは心理的に負担ですよね。言いたくないことを二度言ってもらわなくても済むように顧客情報をきちんと蓄積して、お客さんに役立つ情報を返すことが出来てはじめて、店舗はお客さんにとって身近な存在になれるのです」と語る。そのため、同社では、店舗間で顧客の薬歴共有を行い、例えば薬の重複購入の防止や、飲み合わせの確認など、顧客ひとりひとりに合わせてアドバイスを行っている。これは、顧客情報の管理と高い接客レベルが両立して初めて成立する。

・次回は、サンキュードラッグが顧客の身近な「かかりつけ店舗」であり続けられるのか、その背景を探ってみたい。

【今回のまとめ】
・サンキュードラッグでは、地域に高密度出店し「かかりつけ店舗」となることによって、顧客の来店頻度や「ついで買い」によって店舗あたりの収益性を高めている。

分野: |スピーカー: 高田 仁

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