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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 仕事に「意味づけ」をしてみよう (戦略思考/荒木博行)

仕事に「意味づけ」をしてみよう

荒木博行 戦略思考

16/04/22

「仕事に対するモチベーションが湧かない・・・」という悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。私は教員という立場で多くのビジネスパーソンと接していますが、懇親会などの場面でモチベーションに関する悩みを聞く機会は数知れません。人間だから気分の浮き沈みはあって当然。常にモチベーションが高いことは理想ではありますが、乗り切れない時もたまにはあるでしょう。したがって、多くの悩みは相槌を打って聞き流す程度にとどめるのですが、たまにスルーできない時もあります。それは、「上司から評価されない」「マネジメント層が理不尽」「周囲が自分を理解してくれない」・・・といったことがその悩みの中心であるケースです。こういった悩みの場合は、暗黙の前提があります。それは、「モチベーションというのは外から与えてもらうものだ」ということです。たとえば報酬や評価といった第三者による人為的で外的要因によっておこされる動機は「外発的動機」と呼ばれますが、「外発的動機」がモチベーションの中心になってしまうと不満ばかりがたまります。世の中、自分のために動いているわけではありませんから、欲求が一時的に満たされてもそれは長続きはしないのです。したがって、モチベーションを維持していくために大事なことは、「外発的動機」の反対である「内発的動機」を高めることにあります。

内発的動機とは、自分の内側から純粋に湧き上がってくるモチベーションのことです。報酬とかは関係なく、シンプルに「やりたいからやる」ということですね。たとえば勉強をするとしても、「資格を取るため」頑張るのであれば、その源泉は「外発的動機」と言えるでしょうが、「未知の世界が知りたいから」という理由であれば、「内発的動機」となります。
もちろん、ここで言いたいのは「やりたい仕事をやれ」という単純なメッセージではありません。そうなれば理想ですが、そういう「内発的動機」が沸き起こってくる仕事に巡り会えない、という人も多いでしょう。私が言いたいのは、「内発的動機」が起きるようなセルフコントロールをしよう、という話です。

セルフコントロールとは具体的に何か?それは、自分の中でその仕事に対して、「意味づけ」を与えるということです。「意味づけ」というのは、内発的動機を起こす為の一つの大事なキーワードです。

個人的なエピソードをお話ししましょう。
私が以前商社の人事部にいた時の話です。その頃、全社員の健康管理という仕事を担当していた時期がありました。どの部署の方がメンタルダウンしたとか、こういった病名で病気療養中といったことを管理する仕事でした。正直言うと、なぜこのような仕事をやらなくてはならないのか分からず、モチベーションが全く上がりませんでした。ところが、ある日を境にものすごいモチベーションがあがる経験をしたのです。
その頃、私は学生の採用にも関与していたのですが、目をキラキラに輝かせた学生たちが私の前に来て、「荒木さん、仕事の内容教えてください。商社でどんな仕事をしているのですか?」という問いかけを私にしてきたのです。さすがに、そういう学生を前につまらない話はできません。なので、私は担当している仕事の全社的な意味合いを、精一杯話したわけです。
よいマネジメントが行われているかどうかは、社員の健康状態というのが一つのバロメーターになるということ。そして、資産において人が重要な意味合いを持つ商社にとっては、どこかで無理なマネジメントをすると、まず社員の状態に出てくる。そのために、健康管理という業務は、どこで何が行われているのか、ということを見極めるための最初のシグナルを見極めることであり、重要なミッションを帯びているのだ・・・と。
正直話しながら自分の中でよく言うなと思っていたのですが、でも同時に「あ、本質的に、自分はそういうことやっているんだよね」と理解したわけなのです。そうすると、やらなきゃいけないこと、やりたいことっていうのがどんどん見えてきました。単にエクセルを使った無機質な管理をするのではなくて、それぞれの部署で何が起きているのか、という仮説を立て、だからこそ何をしなきゃいけないのか、という提案をする必然性を理解したのですね。そういうアイディアとかが浮かんできた瞬間に、もうモチベーション云々っていうのが吹っ飛んでしまいました。
単純と言えば単純かもしれませんが、これこそが「意味づけ」のパワーです。「意味づけ」ひとつで、自分の仕事に対する見方は変わる、ということなのです。
もちろん「外発的動機」というのも大事ですが、長く続く社会人生を生きていくためには、このような形で「内発的動機」を起こさせることの方が100倍大切です。上司が認めてくれないから、とか、報酬がいまいちだから、といったような「外発的動機」が見いだせないから転職したところで、また結局同じサイクルに陥りかねません。

たとえば隣にいる人がぜひ採用したい人だと想像してください。その人に向けて、あなたの仕事の意味を多少無理してでもいいので語ってみましょう。その口から何が出てくるか。その言葉に気づいて、そして勇気をもらえることはあるはずです。
仕事の意味というのは他人に与えてもらうものじゃなくて、自分が与えることです。モチベーションが上がらずに苦しんでいる人は、是非「意味」を精一杯与えてみてください。そこに道は見つかるかもしれません。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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