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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 企業文化としての「最小不幸追求型」と「最大幸福追求型」 (戦略思考/荒木博行)

企業文化としての「最小不幸追求型」と「最大幸福追求型」

荒木博行 戦略思考

16/04/08

企業が何らかの戦略を実行しようとする際、障壁になるものがあります。中でも最も厄介なものは「企業文化」です。
この企業文化というもの、実際には目に見えません。見えないからこそ、把握することが難しい。
そこで、ここではシンプルに、大きく2つの方向で企業文化の分類方法を提示したいと思います。その2つとは、「最小不幸追求型」の文化と、「最大幸福追求型」の文化です。

最小不幸追求型というのは「マイナスを減らしていく」、「ネガティブ要素を減らしていく」ということの優先順位が何よりも高い状態を示します。つまり、お客様からのクレームを出さない、ということや、不満に感じる人を一人でも減らしていく、ということを最大限優先する、というモデルです。もちろん、クレームが出てきてしまう、ということはどのような企業文化の組織においても良いことではないでしょう。しかし、この最小不幸追求型組織の場合は、そういったネガティブ要素を減らすことを何よりの優先事項にする、ということです。たとえばお客様の満足度を10段階(10が一番満足)に分けたときに、この組織においては最高評価である「10」が何人いるかというのは二の次、三の次。とにかく「1」や「2」などの低評価を無くすことを最優先にするということです。
一方で、「最大幸福追求型」はその逆です。つまり、「1」や「2」が出ても残念だけれども仕方がない。とにかく「10」をたくさん出すことを優先的に考えろ、という組織です。どれだけ嫌われてもいいので、特定のお客様からは徹底的に好かれる状態を目指す、ということが、最大幸福追求型です。

そして、ここで関係してくるのが、前回お伝えした「ターゲットの絞り込み」ということです。
ターゲットが絞れていない、つまり優先順位がつけられていないと、多くのお客様に対して等しく相手にしなくてはなりません。当然様々な声が出てきます。何でこういう機能やサービスはついていないのか、とか、この文字小さすぎて、老人には読めないとか・・・。このような些細な対応が続くと、トラブルシューティングで現場が疲弊してしまうわけです。そして、その小さい経験の積み重ねが、「とにかく文句を言われない商品・サービスを作ろう」という圧力となり、知らず知らずの間に「最小不幸追求型」になっていくのです。最初の段階で中途半端にターゲットを広げてしまうことが、結果的には意図しない形の企業文化を作ってしまう、ということでもあります。よく「最初は尖がったアイディアが、結果的には角が取れた丸いものになってしまう」という組織があると思いますが、これは別に敢えて足を引っ張ろうとしているのではなく、単に経験から学習してきた結果なのです。

実際に怖いパターンは、トップは「最大幸福追求型」でいるつもり、でも中堅以下現場のメンタリティは「最小不幸追求型」にどっぷり、というようなことです。トップが「イノベーションだ!」という掛け声をかけているのだけど、現場はトラブルシューティングに疲弊していて、クレーム対応などネガティブなことばかりが想像できてしまう、というような組織ではうまくいきませんよね。いくらいい戦略を立てても、体質に合っていないために実行につながらないわけです。
戦略ばかりを考えて、企業文化を考慮しない・・・。これではうまくいくはずがありません。戦略を考える、ということは、企業文化の深い理解が大前提となります。その理解に向けた第一歩として、この「最小不幸追求型」と「最大幸福追求型」という2つの企業文化のパターンを頭の中に入れておくとよいのではないでしょうか。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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