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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ターゲットを絞り込むことの効果 (戦略思考/荒木博行)

ターゲットを絞り込むことの効果

荒木博行 戦略思考

16/04/01

ビジネスにおいて戦略を考える上では、「顧客」のことを考えることが重要であることは言うまでもありません。ターゲット顧客を考える上で、大事なことは、「手を広げすぎないこと」「顧客増が具体化できるまで絞り込むこと」ということが鉄則です。この鉄則は、言われなくても分かっているという人が多いはず。でも、企業研修や大学院の場を通じて多くの人と議論していると、このターゲットを絞るというのがいかに難しいか、ということを実感します。ちょっと他人事のように聞こえますが、実は私自身もオンラインMBAというサービスを手掛けている中で、この難しさは身にしみて感じているところです。
では、何が難しいのか?まずその辺を紐解いていきましょう。

たとえば新規事業で20代女性向けのサービスを立ち上げようと検討している会社があるとします。それを提案するとどうなるでしょうか。よくある話は、「20代も分かるけど、20代って狭すぎる。売上を考えるならば、30代後半までは取ったほうがいいのではないか」、とか「女性だけではなくて男性も含めてみては・・・」などというように、「広げよう」という引力が働く場合の方が多いわけです。つまり、「ターゲットを絞る」ということは、「売り逃しが増える」「コストに見合わない」と認識されて、なかなか絞り込むことができなくなります。そして、その結果として出てくるものは多くの年代、すべての性別も視野に入れた、誰がターゲットなのか分からない意味不明なサービスができてしまう、ということです。

よく言えば「全方位型」なのですが、つまるところ、「この商品・サービスは私向けではない」と認識されてしまうということでもあります。たとえばパッケージデザイン、WEBでのメッセージ、店頭でのコミュニケーションなど、消費者との接点は多くのところであるわけですが、その各接点で中途半端に色気を出してしまうため、本来ターゲットにしたかった層からもスルーされてしまう。企画者としてはとても悲しいことです。
実際に街中を見渡しても、そのあたりの絞り込みの部分でブレが見えてきてしまっている商品やサービスというのは本当に多くあります。「おそらく、こういう絞り方をしたかったんだろうけど、社内調整がうまくいかなかったんだろうな・・・」と想像してしまうのです。

ではどうすればいいのでしょうか。「潜在顧客だってたくさんいる。そういうお客さんを無視するのか、捨てるべきなのか?」実務的にはそのようなジレンマで悩むわけなのですが、絞るということは、「捨てる」、というわけではありません。言い換えるならば、「優先順位を決める」、ということなのです。
つまり、「まずはこのお客さんから深く入ってみよう。そのあとにこのお客さんに行こう」という感じで、順番を決めるだけの話なのです。特に、リソースが限られた組織においては、この「優先順位」という発想は極めて重要です。優先順位を決めて、そのお客さんに「深く刺さる」ということが大事なのです。「広く浅く」ではなくて、「狭く深く×順番に」というのがビジネスを考える上で極めて重要です。

さて、この「深く刺さる」という状態を別の言葉で表現するならば、「熱狂的なファンになってもらう」、ということです。
この「熱狂的なファン」になってもらうことは、どの時代も重要なわけですが、現在においてその重要性はますます高まってきています。今多くの企業が悩んでいることの一つに、広告が反応しなくなってきている、という現状があります。テレビからWEBへ徐々にプロモーションの主戦場も広がりつつありますが、実際にWEB上でのプロモーションからクリックして商品やサービスを購入する、ということはほとんどないのではないでしょうか。むしろ、かえって嫌がられてしまう。企業側がプロモーションとして出していると思われた瞬間に、ちょっとイラっときてしまう。もちろんそうは言っても、ある程度面を稼げるからこそ企業側はやっているわけなんですが、情報が溢れすぎの中で効果は期待されたほど出ていない、という現状があるのです。
そこで大事になってくるのが「熱狂的なファン」の存在です。つまり、「熱狂的なファン」を中心とした「口コミ」というのが改めて評価が高まってきているのです。
親しい人から、「この食材は本当にオススメ」と言われたら、知らなくても買ってしまうわけです。知人からの自然な言葉で出されるお勧めというには強力な力があります。特に今はLINEだとかFacebookといったSNSでつながっている友達関係が広がっている世の中だと、その効果はますます高くなってきているのですね。

ただ、一方で、自分自身が知り合いに勧めようと思う商品ってそんなに多くあるわけでもないというのも事実。本当に自分が良いと思わない限り、あまり軽々しく人には勧めません。友人だからこそ、がっかりされたら嫌なわけです。
だからこそ、先ほど申し上げた「深く刺さる」ということが大切なのです。浅く入るだけでは、口コミで展開していきません。深さが重要です。
では深く突き刺さるためには何が必要か。これも繰り返しになるわけですが、ターゲットを絞り込むこと。これに尽きます。万人向け、全方位型なものは、深く刺さりません。ターゲットを絞るというのは売り逃しを増やすことではないのです。むしろ深く刺さることによって新たなお客さんがどんどん開拓される、そういう「順番の問題」なのです。

企業側は、このような「絞り込みの鉄則」を正しく理解した上で、戦略作りを考えていくことが大事なのではないかと思っています。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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