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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 原油安の長期化 (企業財務 M&A/村藤功)

原油安の長期化

村藤功 企業財務 M&A

16/03/30


今日は、原油安の長期化について話します。

原油価格は、2003年くらいまでは1バレル30ドルでした。その後BRICsの経済が盛り上がり、1バレル100ドルにまで上がりました。ところがアメリカでシェール石油の開発が進んだり、中国の成長が減速して需要が減って供給が増えたりしたことで、1バレル30ドルにまで下がりました。現在では1バレル40ドルにまで戻ってきていますが、供給過剰の状況ですので、当分は安いままかと思います。あと5年ほど経つと需要と供給のバランスがとれて、1バレル80ドルくらいになるでしょう。原油価格が安くなったことで、我々が使うガソリンも、リッター150円からリッター100円くらいまで下がっています。運輸業界や化学業界も、その恩恵に授かっています。一方で、石油の元売りでは在庫の価格が下がっているために、大変な損失を抱えることとなっています。

原油価格が下がった背景としては、まず、原油を山のように買っていた中国の経済成長率が10%から6.5%にまで落ちたことが挙げられます。さらにはアメリカでシェール(頁岩)を水圧で砕いて石油を取り出すことが可能となり、シェール革命が起こりました。これによって、アメリカがサウジやロシアと並ぶ石油大国になりました。以前はサウジをはじめとしたOPECによって原油価格が上がり、第一次石油ショックや第二次石油ショックが起こっていました。しかしシェール革命などによって、OPECの売り上げシェアが落ちています。そうした中、サウジなどの産油国は、OPEC内外の主な産油国が足並みを揃えるという条件付きで、増産を凍結する協定を結ぼうとしています。一方でイランは、今年1月にアメリカからの制裁が解除されたことで、原油生産量を制裁前の水準に戻そうとしており、先の増産を凍結するという産油国の協定には参加しないと話しています。イランが参加しないとなると、増産の凍結によってシェアを失って損することを避けるために、各国も協定に合意しない可能性が出てきます。

ロシアは、ウクライナやシリアの問題がために厳しい経済状況下にありますが、石油依存からなかなか脱却できません。昨年の経済成長率がマイナス3.7%で、政府の収入や輸出の半分が石油関連のものから成っています。したがって、減産するつもりはありません。アメリカでは日量1000万バレルを生産していますが、同時に、830万バレルを輸入しています。去年からは輸出も始めており、日本もアメリカから輸入することとなっています。シェールの生産コストは1バレル40~50ドルですので、このまま販売価格が40-50ドルの状況が長く続くとシェール業界が死んでしまうことが危惧されています。アメリカの民主党は、シェールの水圧破砕が環境に悪いとして、規制に動きつつあります。なおフランスやドイツは、環境保護を理由にシェールの開発を認めていません。

世界における原油の需要は日量で9400万バレルですが、3分の1にあたる3100万バレルをOPECが生産しています。そのうち1000万バレルをサウジが作っていますが、その生産コストは1バレル10ドル程度ととても低いです。そこでサウジは、販売価格を下げて、生産コストが高い他国を潰そうと考えています。これまでサウジはあまりに儲かるために、国民にお金をばらまいていました。しかし最近になって、政府の財政に陰りが見えてきました。サウジには、原油輸出で積み立ててきた準備資産が6500億ドルあります。一方で財政赤字が、毎年準備資産の20%ずつ出ています。あと5年間現状の財政赤字が続くと、準備資産がなくなってしまうのです。

今日の話をまとめます。
アメリカのシェール革命や中国の経済減速で、原油価格が1バレル100ドルから30ドルまで下がってきました。原油安は長期化しており、OPECはシェアを失うことを恐れて減産できないでいます。一方でイランはアメリカからの制裁解除を受けて、大量の原油を供給しようとしています。またアメリカは、原油の輸出を始めています。サウジやロシア、ベネズエラが、増産停止に向けて動いていますが、なかなか難しいという状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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