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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 会社は株主の物 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

会社は株主の物

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/03/23

「なんだそうなのか経済入門」という本のエッセンスをご紹介していますが、今日は「会社は株主のものだ」というお話をします。

以前の日本では、「会社は従業員の共同体だ」という人が多かったように思います。しかし、最近は「会社は株主のものだ」という人が段々増えてきています。法律的には日本の会社もアメリカの会社も一緒で、株主が金儲けの為に株式会社を作り、経営者や社員を雇うわけですから、会社はもちろん株主のものであり、経営者、あるいは社員は株主に配当できるように頑張るべきだということになるわけです。

つまり、法律的には「会社は株主のもの」なのです。ただし、日本の大企業は実際にはサラリーマンが出世競争して一番偉くなった人を社長と呼んでいるとケースが多いため、仲間意識が強いですよね。そのため、株主にお金を出してもらって「我々が会社を運営している」という意識の人が多いのは確かです。
そのため、日本のサラリーマン社長は株主に配当するよりも従業員に報いたいという風に考える人が割と多いわけです。それ自体は悪い事ではありませんが、行き過ぎると株主がないがしろにされてしまいかねません。そこで、社外取締役とか監査役という制度があります。

例えば、社長にとってみると赤字の部門は本当は解散してそこの従業員はみんなクビにしてしまうと会社の利益が増えて株主に払う配当が増えるわけです。しかし、同じ釜の飯を食った仲間の首を切るわけにはいかないからということで、日本の社長は赤字の部門があってもそこを解散したりすることは滅多にありません。それでは株主の為にならないという事で社外取締役とか監査役が、そろそろこの部署は解散したらどうですかというような助言をするといった仕事が期待されているわけです。

あるいは、もっとひどい場合はワンマン社長が好き勝手したり、仕事をしないで接待ばかりしているということも理屈上は有り得るため、社外取締役とか監査役とかがいい加減にしなさいという仕事を期待されているのです。こういう仕組みの事を「コーポレートガバナンス」とよんでいます。日本語に訳すると、「企業統治」です。少し前まではあまり聞かなかった言葉ですが、最近は「会社は株主のものだ」という考え方が段々と広がってきており、社長さん達も株主の為に頑張ろうと、社外取締役や監査役に言われる前に自分で頑張ろうという人が増えてきているようです。

一番典型的なのは、赤字の部署を解散したりするというのは今でもあまり行われてはいませんが、会社が儲かっても給料を上げないという会社が増えてきました。昔は会社が儲かると従業員の共同体ですから、会社の儲けは給料を上げて従業員に報いようという社長が多くみられましたが、最近は会社が儲かっても株主に配当しようという会社が増えてきています。

しかし、社員としては会社が儲かっているのならば少しくらい給料を増やして欲しいと思うでしょうし、給料が上がれば外でお金を使う様になるでしょうから、景気にも良い影響を与えるような気がしますね。
景気を考えると給料が上がってくれた方が景気はよくなるため、総理大臣は企業の社長に給料を上げてほしいと思っているわけですが、株主はそう思っていません。そのため、社長が従業員の方を向いているのか、株主の方を向いているのかによって社長の行動や給料の決まり方がとても影響を受けるわけです。

さて、少し極端な話にうつっていくわけですが、株主が社長にきちんと株主のことを考えながら経営をしなさいと言うだけではなくて、もっとうまい仕組みはないかと考えました。それが社長に株を持ってもらうという仕組みです。社長が株を持っていれば、株の値段が上がる、あるいは株の配当がたくさんもらえれば社長の得にもなるわけですから、社長が株を上げようとか配当を増やそうという風に考えるだろうというわけです。実際には、ストックオプションというものがあり、社長が株を持っているわけではありませんが、株価が値上がりした分だけ社長にボーナスを払うという仕組みだと思って頂ければ分かり易いと思います。
つまり、ストックオプションという制度があると社長は株価を上げようと一生懸命頑張るということです。これも万能ではありません。時として行き過ぎて失敗することがあります。少し難しい話かもしれませんが、社長が物凄く大きなプロジェクトを計画しているとします。成功すれば株価が2倍になるけれども失敗すると株価が0になって会社が潰れるという大勝負があったとします。社長としては成功する確率が低くてもトライしてみたいわけです。なぜなら株価が下がっても罰金を取られるわけではありませんし、株価が2倍になればものすごいボーナスがもらえるわけです。しかし、株主としてみれば社長にそんな大勝負をされたらたまったものではありませんよね。
そのため、このストックオプションという制度もよく考えられた制度ではありますが、うまく運営していかないと、時として社長がやるべきではない大勝負に出たりすることがあるということです。なかなか世の中にはそんなに簡単な解決方法は無いということですね。

では、株主が自分で社長をやればいいではないかということになるわけですが、これも今度は成功すれば会社の財産が2倍になるけれども、失敗すると会社の財産が0になるという大勝負があったとします。株主にとってみると例えば100万円で会社を作って、100万円銀行から借りて、200万円で大勝負をするという場合、400万円になると自分の財産が300万円に増えますね。しかし、会社が潰れた場合は自分の財産は100万円しか減りません。そうすると株主が自分で社長をやった場合、大勝負をして勝てば財産が3倍になる。負けても財産が1倍しか減らない、となるとやった方が得だということになります。それでは銀行はたまったものではありませんね。これまた難しい問題が残るということです。

では、今日のまとめです。

コーポレートガバナンスの典型は社外取締役、監査役などです。ストックオプションも有効な手段ではありますが、経営者が大きなリスクを取りたくなるという問題もあります。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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