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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 安全な水の供給① (国際経営、国際物流/星野裕志)

安全な水の供給①

星野裕志 国際経営、国際物流

16/03/08

今日は安全な水を供給する水道事業についてのお話です。

普通、皆さんは海外に行かれて、ホテルの水道水を飲まれることはほとんど無いと思います。海外旅行で、水道水を飲むというのは、一番してはいけない行為のひとつと認識されているように思います。ちょっと古い資料ですが、10年ちょっと前の平成16年の国土交通省の調査では、世界に全土で水道水が飲める国として、15カ国が掲載されています。

日本を含む15カ国には、こんな国があります。アイスランド・フィンランド・スエーデン、アイルランド、ドイツ、オーストリア、スロベニア、クロアチア、アラブ首長国連邦、モザンビーク、レソト、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドです。ちょっと意外な国もありますが、世界の国の数から言えば、8パーセントにもないことになります。

全土でとお話したのは、一部では飲める国の数はもっと多いようです。昨年出張した場所では、パナマでは水道水が普通に飲めたのは意外でしたし、最近はニューヨークではレストランでも、環境を配慮して、タップ・ウォーターとして水道水を選ぶひとが多いようです。かつては、おしゃれにペリアだとかミネラル・ウォーターが当たり前だったニューヨークでは意外です。

そもそもどうして飲めるところと飲めない場所があるのかというと、まず国のインフラストラクチャーとして、水道設備が全土に完備していない国がたくさんあります。また水道に代わるものとして、河川や井戸が利用されたり、人口の集中する地域での小規模の水の供給が主体の国もあります。それから、もうひとつは安全なレベルまでの高度な水処理がされているかどうかになります。
たとえば、地下水を井戸で汲み上げることが一般的なアジアの地域で、最近砒素による飲料水の汚染が深刻化しています。世界銀行の調査では、2004年にバングラデシュ、中国、インド、ネパール、ベトナムなどでは、6千万の人たちが、地下水が砒素で汚染された地域に住んでいると言われているそうです。

日本で砒素中毒といえば、鉱山から流れだす公害などを連想しますが、これらのアジアの国々では、例えばヒマラヤ山系からメコン川などを経て、マグマの中の砒素が運ばれた結果であり、自然界の中に含まれる砒素が、飲料水だけではなく、土壌汚染や農作物を汚染しているようです。

そうなると、ますます安全な水を供給する水道事業が必要になってくるのですが、ただその費用を考えると簡単ではありません。水道事業といえば、従来であれば国や自治体の役割とも考えられていましたが、その水道事業運営のノウハウやインフラストラクチャーの整備の資金不足から、最近は民間企業がコンセッションやBOTなど様々な形態で、世界の水道事業への参入が増加しており、世界の水道事業の民営化比率が、年々高まっています。

コンセッションとは、企業などが浄水場や施設などの公共施設の運営権の譲渡を受けて、運営することです。BOTは、Build Operate Transferつまり、建設、運営、移転の略で、企業が建設し契約期間運営した後に、行政に施設を移転することです。

世界の水ビジネスの需要は、50から60兆円とも言われていて、2025年には100兆円の産業になると予想されているようで、そこには、多国籍企業で活動する企業の存在が見られます。1850年台からフランスで水道事業を行ってきたヴェオリア・ウォーターや同じくフランスで1880年に創業したスエズ・エンバイラメント、そしてイギリスの水道局が民営化したテムズ・ウォーターといった企業が、世界のメジャー・プレイヤーして世界中で上下水道の事業を展開しています。

日本でも、愛媛県の松山市の水道事業をヴェオリア・ウォーターが、2012年から請け負っているようですが、それは自治体の財政難で老朽化した施設への投資が困難であったことやヴェオリアのコスト競争力が評価されたようです。

今日のまとめ:安心・安全な水道水の供給は、世界的に重要な課題ですが、国や自治体の財政難やノウハウの欠如から、世界の水道事業への民間企業の参入が増加しており、民営化比率が、年々高まっています。

まさに水の供給がビジネスになっていますが、明日はそのように、多国籍企業の活動する場での日本の技術の活用についてお話します。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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