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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 大企業とスタートアップのコラボレーション(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

大企業とスタートアップのコラボレーション(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

16/03/02


・前回は、近年増加している大企業とスタートアップとのコラボレーションについて、オープンな仕組みの連携が増えている背景を概説した。今回は、その連携が上手くいくコツについて考えてみたい。

・コツの一つ目としては、「透明性の高いプロセス」が挙げられる。大企業とベンチャーとのオープンイノベーション・プラットフォームを事業運営するcreww(https://creww.me/ja)では、スタートアップ向けのページと大企業向けのページがそれぞれ分けて作られており、いずれの立場でもプラットフォームをどのような手順で利用し、どのような恩恵が得られるのかが解りやすく解説されている。具体的なプロセスは、「オリエンテーション」→「エントリー」→「ブラッシュアップ」→「一次セレクション」→「プレゼンテーション」→「二次セレクション」から構成されているが、途中段階で、相互のアイデアの実現性を検証するための独自のコミュニケーション・ツールがcrewwから提供され、crewwが適切に介在することによって、両者の円滑なコミュニケーションが図られる仕組みになっている。
・また、crewwのホームページでは、現在開催中のコラボ案件や、過去の実績が公開され、初めて取り組む大企業やスタートアップにもイメージし易い工夫がなされている。

・二つ目は、「大企業/ベンチャー共に、相手の文化や価値観を理解すること」の重要性が挙げられる。前述のcrewwでは、スタートアップからの最終プレゼンテーションは、大企業側の経営幹部に対して行われるのだが、その時は、大企業側の担当者があたかもスタートアップ側の担当者のように振る舞うという。コラボ開始の当初、大企業側の担当者は、必ずしもスタートアップ特有の事業の進め方や速い意思決定、それらを含む文化や価値観について理解が十分というわけではない。しかしながら、コラボ期間を通じて徐々にそれらの理解が進み、creww曰く「Startup readyな状態」へと変化するのだという。つまり、大企業側の担当者が、スタートアップと違和感なく対話し連携できるほど、相手への理解が進んだ状態へと変化するのだ。
・多くのオープン・イノベーションでは、本質的な事業内容よりも、それを取り囲む担当者や組織の文化や価値観の違いが障害となることが多い。大企業とスタートアップのコラボレーションの場合は、規模の大小や社歴の長短などに起因して、文化や価値観が大きく異なる組織が協働しなければならず、放っておけば両者の隔たりは大きい。従って、そのギャップを両者が正しく認識し、乗り越える努力をしなければ、せっかくのコラボが「同床異夢だった」という不幸が生じかねない。お互いの文化や価値観の違いを十分に理解することが極めて重要なのだ。

・そして最後は、「楽しめるイベント(お祭り)」にすること。「祭り」という特別な場として設定することによって、「いつもと違っていても許される」という安心感がもたらされ、新しい挑戦に対する不安や疑心暗鬼を取り払うことができる。楽しみながら何度か経験するうちに、未知の挑戦に対するハードルが自然に下がり、「案外、上手くやれるじゃないか!」という実感が伴ってくる。それを繰り返すことが、ひいては組織の文化や価値観をも変えることにつながる。

・さて、「西鉄オープンイノベーション・コンテスト」だが、計56社から応募提案があり、プレ審査を経て1月29日の最終審査会には11社のスタートアップが選ばれ、それぞれ工夫を凝らした西鉄とのコラボレーションのアイデアを披露した。会場は200名ほどのオーディエンスで埋まり、晴れやかでリラックスした雰囲気のなか、プレゼンテーションと審査員(ベンチャーキャピタルなど外部3名、西鉄の関連事業の責任者など3名の計6名)との間で質疑応答が行われた。
・提案内容は、女性に特化したマーケティング、音声認識を活用したクーポンメディアサービス、独自センサー技術を活用した見守りサービスなど、身近なものから高度なものまで、幅広い事業領域に渡るものであった。その中から、最優秀賞は、ディープラーニングによるデータ解析と西鉄のICカードサービス"ニモカ"のデータを組み合わせたマーケティングを提案したLeapMind株式会社が受賞した。(詳細の結果は、Startup Go!Go!のサイトを参照 http://startup-gogo.com/archives/1442)

・大企業とスタートアップのコラボレーションによる新しい価値創造は、これからまだまだ伸びる余地がある。福岡でも、今後このような取り組みがあちこちに増え、継続することで、社会に変革をもたらすユニークなイノベーションが生まれることを期待したい。

【今回のまとめ】
・大企業とスタートアップのコラボレーションが上手くいくコツとして、「透明性の高いプロセス」、「相手の文化や価値観の理解」、「楽しめるお祭り」などが挙げられる。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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