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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 金融緩和と引き締め (企業財務 M&A/村藤功)

金融緩和と引き締め

村藤功 企業財務 M&A

16/02/25


今日は、金融緩和と引き締めについて話します。
日本とヨーロッパが金融緩和を行っている一方で、アメリカは金融引き締めを行っています。困ったことに、世界が一致した歩調を取っていないのです。

アメリカはずっと、金融引き締めをやりたくてなりませんでした。リーマンショックの際に、FRBは当座預金で国債や資産担保証券を購入し、バランスシートを拡大しました。その結果、FRBの保有資産は、リーマンショック前は1兆ドルだったのに、現在では4.5兆ドル近くになっています。2014年の10月末に国債の購入をやめていましたが、これは、金融緩和ストップのファーストステップでした。セカンドステップが金利の引き上げで、最後のステップがバランスシートの縮小です。アメリカはずっとセカンドステップの金利の引き上げを行いたかったのですが、世界中の景気が悪いために、延々と見送り続けていました。ところが昨年の12月に、ついに金利を0.25%引き上げました。当初はこの後2、3年、1年に4回ほど金利を0.25%ずつ引き上げる予定でした。しかし今年の1月に世界の株価が下がったこともあって、今年は1、2回程度の引き上げに留まりそうです。

この後にはサードステップとして、FRBのバランスシートの縮小が残っています。これには、10年はかかると言われています。リーマンショックの際に世界中に山のように突っ込んだお金を、これから回収して行くのです。その結果、ブラジルや南アフリカといった新興国が困ることになります。既にアメリカで国債やモーゲッジ債の購入が中止されドル金利が引き上げられることで、自国通貨安となり、リーマンショック後に大量に流入した資本が流出しています。既に通貨安の結果、輸入品高でインフレになっており、今後は債務の返済も危なくなるかもしれません。これらの国ではそうした事態に対抗するために、外貨準備を増やして、自国通貨が売られても政府がそれらを買って外貨を売ることで、なんとか耐え忍ぼうとしています。

一方で、日本とヨーロッパはデフレです。両者ともに2%インフレがターゲットでしたが、原油価格が下がっており、まったく達成できていません。日銀の黒田総裁は、当初は50兆円分の国債を購入すると話していましたが、後には80兆円分購入すると言い出しました。しかしそれでもどうしようもないために、マイナス金利を今年の1月末に導入することになりました。これまで民間銀行が日銀に置いていた当座預金の金利は0.1%でしたが、これを今後マイナス0.1%にすることにしたのです。皆さんが銀行に持っている預金の金利がマイナスになったわけではありません。民間銀行は既に日銀に250兆円ほどの当座預金を持っていますので、その金利がマイナス0.1%になったら大変なことです。そこで今回は、これまでの当座預金の金利はそのままにして、これから民間銀行が日銀に新たに持つ当座預金の金利をマイナス0.1%にすることにしました。日銀によれば、これで事業会社に対する貸付や住宅ローンなどの金利が下がり、経済の活性化が促されるはずということでした。ところが、これまで銀行からお金を借りてくれなかった企業や個人が急にお金を借りてくれるわけでもありません。民間銀行はすぐ貸出しできないので、とりあえず国債を購入しまくった結果、日銀の当座預金だけでなく、国債の金利もマイナスになってしまいました。民間銀行の貸し出しの金利は下がるわ、日銀当座預金も国債もマイナス金利になるわで、銀行の経営が厳しくなってきています。そこで、皆さんから預かる預金金利を引き下げたり大企業から手数料をとったりと、いろいろな対策を考えているところです。今回のマイナス金利がどのような効果を生み出すか、日銀が期待しているように経済の活性化につながるのか、これからよく見ておかなければなりません。

今日の話をまとめます。
アメリカは昨年の12月に金利を引き上げました。一方で日本とEUは、金融緩和を継続しています。日銀は、円安と株高を見込んで、今年1月、民間銀行が日銀に預ける当座預金にマイナス金利を導入しました。しかし、中国経済の減速やECBのマイナス金利で中国やヨーロッパは駄目だし日本は比較的ましということになり円高が進みました。日本が比較的ましなのは、原油安で貿易収支の赤字が減少し経常収支の黒字が拡大したためです。円高の結果、輸出している企業の株が下落しています。日銀の思惑とは逆に、円高株安が起こっているのです。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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