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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 宅配便サービス② (国際経営、国際物流/星野裕志)

宅配便サービス②

星野裕志 国際経営、国際物流

16/02/18

昨日は、いわゆるネット通販の成長で、商品を配送する宅配便の役割が、とても重要になっているというお話でした。ヤマト運輸や佐川急便などの日本企業がアジアにも進出しており、これからの成功に期待ということでした。

日本で開発され、次々とイノベーションが蓄積されてきたクロネコヤマトの宅急便をはじめとする宅配便が、海外でもどこまで通用するのか。ネット通販の拡大とともに、成長が期待されるという明るい話でした。

今日は、宅配便ビジネスに逆風とも言える幾つかの問題点も指摘したいと思います。この番組でもお話してきたドライバー不足の問題、環境負荷、ラストワンマイルのサービスについてお話します。

長距離トラックのドライバー不足については、以前にも高齢化や厳しい労働環境で若者のなり手が少ないという説明をしました。それが、フエリーや内航船などの船舶やJR貨物の貨物列車のような大量輸送機関の利用、いわゆるモーダルシフトが求められているとことであり、大変深刻な問題です。最近は同じく人手不足の長距離バスに、トラックのドライバーが移っているという話も聞きます。

次に環境対応ですが、わたしたち顧客の求めるきめ細かいサービスが、非常に大きな環境負荷につながっていることも無視のできないことです。

2014年の12月に日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便の三社が行った調査によると、配達した荷物全体の19.6パーセントが再配達され、0.9パーセントが3回以上の配達を必要としたとの結果でした。配送する荷物の5個に1個は、配達時に不在だったために、複数回の訪問が必要だったということになります。

一つの荷物の配達のために、ドライバーが何度も足を運ぶということは、人もガソリンも無駄であり、環境にも悪影響ということになります。

国土交通省の試算では、再配達のために、年間1億8千万時間が余計にかかり、労働力にすると9万人を必要としているようです。さらに、再配達のためにCo2の排出量は、年間で宅配便全体の1パーセントに相当する約42億トンが余計に排出されているとのことです。これでは、せっかく大量輸送機関にモーダルシフトをさせても、ひとの問題、燃料の問題、環境負荷といった社会的な損失が避けられないという現状が有ります。

配達の日時指定や再配達のシステム、首都圏などの同日のサービスなど、より短時間で配送するサービスなど、わたしたちが当たり前のように享受している宅配便の利便性は、さまざまな負荷を生じさせているということになります。

宅配便をとりまく課題として、ドライバー不足と環境負荷の問題を指摘しましたが、三番目のラストワンマイルとは、宅配便の地域の配送所から最終目的地の家庭までの最後の部分のことであり、もっとも手間がかかると共に、企業の収益性を左右する重要な区間と言えます。

その理由は、先ほど環境負荷でも説明したように、きめ細かいサービスが求められるために、時間指定で配達したり、再配達が求められたりと、大変な労働力とコストが掛かるからです。

そのラストワンマイルには次のような対策がとられています。具体的には宅配ボックスの設置や、コンビニなど指定場所での荷物の受取が薦められていますし、メールでの通知サービスもあります。ドローンなどの無人ヘリコプターの使用などが本気で検討されているのは、このラストワンマイルに、通販の企業も宅配便業者も頭を悩ましているからです。

最近クロネコヤマトの配達には、男性の ドライバーではなく、女性がよく見られるようになりました。これは、従来からのトラックで配達するセールス・ドライバーとフィールド・キャストと呼ばれる集配エリア限定の担当者がチームを編成して、トラックから降ろされた荷物を台車や自転車で配送する方法をとられているからです。

フィールド・キャストという時間限定のパートの社員を雇用することで、子育ての女性や主婦を戦力としながら、サービスを提供することになります。また昨今駐車禁止が厳しくなっている中で、トラックで1軒づつ回るよりも、効率的だといえます。


今日のまとめ:私達の生活にいまや不可欠とも言える宅配便ですが、ますます増加するネット通販への対応の必要性と共に、ドライバー不足の問題、環境負荷、ラストワンマイルのサービスの対応など、なかなか厳しい環境にあることを説明しました。
宅急便の開発以来、次々と商品やサービスの方法に、本当に驚くほどのイノベーションが加えられてきました。ラストワンマイルの対応も含めて、ぜひ新たな工夫を期待しますし、私達も利用者として、利便性と社会的な負荷のバランスを考えなくてはいけないのだと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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