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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > サンクコスト (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

サンクコスト

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/02/04

「なんだ、そうなのか!経済入門」という本のエッセンスをご紹介していますが、今日は「払ってしまったお金は戻らない」というお話をします。

サンクコストという少し難しい言葉が使われているのですが、平たく言えば、「使ってしまったお金は戻らない」ということです。
以前、食べ放題のお店に入ってとてもまずかったら食べずにお店を出てきましょう、という話をしました。払ってしまったお金は戻らないわけですから、払ってしまったお金のことは忘れて、今現在、このまずいものを食べるか、うちに帰ってお茶漬けを食べるか、どちらがハッピーだろうかということだけを考えて、未来志向で判断しましょう、ということでした。

これと同様のことが結構あります。

本を買ったらとってもつまらなかった。途中まで読んで、もう読みたくないと思ったけれどもお金を払って買ったので、読まないともったいないから最後まで読もうという人が結構いますけれども、そういう場合にはすぐ読むのを止めるのが正しいです。

せっかくお金を払ったのだからといってつまらない本を最後まで読むと、結果として本の代金を損するだけではなくて、読んだ時間も損をすることになるわけです。

こうした判断というのは、お金を払うとどうしてももったいないという心理が働き、謝った判断をしてしまいます。

何度も繰り返しますが、本を最後まで読んでも、払ったお金が返ってくるわけではありませんから、その時点では払ったお金の事は忘れて、今から本を読むのとゲームをするのと、どちらがハッピーだろうということだけを考えて行動しましょう。

また類似する話として、株についての話があります。

買った株が下がったのでどうしましょう、という相談を受けることがあるわけです。
私はその株が上がるか下がるか予想しろと言われても、なかなか予想できませんし、下手に予想して外れて恨まれてもいけませんので、そういう答えでなく、私が質問を返すことにしています。「あなたが今から新しく株を買うとして、あなたはその株を買いますか、買いませんか?」と聞き返します。「この間高いお金を出してこの株を買ったという話は、私には関係ないので、その後半の部分だけ考えて下さい」と問いかけます。今から新しく株を買うとして、その株を買いますということであれば昔買った株をそのまま持っていればいい。でも今から新しく投資するとしたらこんな株は買わないよということであれば、とっととその株は売ってしまった方が良いですよね。損を確定するとかしないとかではなくて、未来思考で、その株を持っていても儲からないなら売りましょう、というのが正しい行動です。

払ってしまったお金ですから、あまり固執してもしょうがないので、未来思考で行動しましょうということです。
特に自分が判断を間違えた、という事で自分を責めてしまうことになるので、損が確定するということを人間は嫌うように脳が出来てしまっています。
以前もお話をしましたが、自分が損をしたというのを思いたくないという、それを認めたくないという心理が働くのです。

株の世界には、「損切りは急いでせよ」という格言があります。先ほどお話したように、損を確定したくないということで売るべき株を売らずに持っている人が多いですが、これは運が悪かっただけで自分がバカだったわけではないと自分で自分を思いこませて、えいっと売るというのは正しい投資のやり方ではないかと思います。

株の話だけではなく、例えば工場を建てようという会社の場合にも同様のことが言えます。
新しい10億円の工場を建設するとします。7億円分の工事が終わり7億円払った時に突然リーマンショックのような事件がおこり、景気が悪化。もう工場は建てても使い道がないという場合があるとします。7億円も払ったのだから、あと3億円追加で工場を完成させようという意見と、どうせ工場が完成しても使わないのだから、3億円がもったいないから止めようという意見があるわけです。この場合、これも未来思考で考えると、今から更地に3億円で工場を建てるとして、あなたはその工場を建てますか建てませんかという質問をすると、その答えが出るわけです。払った7億円はどうせ戻ってきませんから、追加で3億円出せば、工場が出来るし、追加で3億円出さなければ工場は出来ません。
今から3億円で工場を建てるか?と聞けばいいわけです。しかし実際には、不況の時には3億円でも建てないというのが正しいにもかかわらず、7億円払っちゃったから完成させようという意見が通ることが多いようです。

特に気を付けないといけないのは、工場建設を決めたのが社長や専務だったりすると、社長がバカで間違った判断をしたから7億円損したでしょという風にとられたくないということで社長の顔を立てて、3億円だして工場を完成させましょうという話になりがちです。自分がバカだったと思って反省したくないという気持ち以上に、上司の顔を潰したくないというのか会社のサラリーマン根性としては働きやすいのです。

冷静にそして客観的に考えると、今から3億円払って建てても意味がないと思いますが、当事者になると、もう7億円払ったし上司の顔があるし、といろんなしがらみがあったりして、更に投資をして、結果として誤った判断をしてしまうということです。

では、今日のまとめです。

意志決定をする時には、すでに払ってしまった代金の事は忘れて、未来志向でどうするか決めましょう。払ってしまったお金はどうせもどってこないのですから、判断を間違えた場合には、そのまま突き進むのではなく、素早く方向転換を図りましょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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