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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(13)リードユーザー (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(13)リードユーザー

永田晃也 技術経営、科学技術政策

16/02/22

 今回と次回は、MITのエリック・フォン・ヒッペルという研究者が提唱したコンセプトを取り上げてみたいと思います。
 まず、「リードユーザー」というコンセプトです。これは、イノベーションの源泉は何かという論点に関連しています。

 イノベーション研究の領域では、古くからイノベーションの源泉となる要因が探索されてきました。その要因に関する伝統的な仮説の中には、新しい技術の出現を重視する「テクノロジー・プッシュ」と、市場における需要を重視する「ディマンド・プル」があるということは、前にも触れたことがあります。
 ヒッペルの研究は、イノベーションの源泉としてのユーザーの役割の重要性を指摘したもので、その意味ではディマンド・プル仮説を支持する事実発見のように見えますが、実は重要な点で伝統的な仮説とは異なっています。

 ヒッペルは様々な製品を対象とした調査を行った上で、ユーザーの要望やユーザーなりに工夫し、対処した具体的な解決方法や、解決方法のイメージが新たなアイデアの源泉となったイノベーションが、かなり高い頻度で発生していることを発見し、そうしたイノベーションを「ユーザー・イノベーション」と呼びました。
 例えば、理化学機器のイノベーションのうち77%はユーザー・イノベーションだったことが報告されています。また、半導体のプリント基板を設計するためのCADシステムの事例では、システムのユーザーのうち87%が内部開発したCADを保有していたことが報告されています。

 このように有益なアイデアをもたらすユーザーを、ヒッペルは「リードユーザー」と呼んだのです。このリードユーザーとは、将来の市場で一般的になるようなニーズに、数ヶ月もしくは数年先駆けて直面しており、また、そのニーズに対する解決によって、自ら大きな利益を受けるといった特性を持つものとして定義されました。

 ヒッペルによるリードユーザーの発見は、顧客というものが市場調査の機会でもなければ要望を表すことのない受動的な存在ではなく、ときに自らアイデアを創出し、次世代のイノベーションのイメージを展開する積極的な存在になり得ることを示唆しました。その後、顧客ニーズを把握するための市場調査には、この観点が考慮されるようになり、リードユーザー調査という手法も開発されています。

 しかし、あらゆる製品・サービスの分野で、リードユーザーを源泉とするユーザー・イノベーションが発生するわけではありません。次回は、ユーザー・イノベーションが発生しやすい条件を記述するためのコンセプトを取り上げることにします。

今回のまとめ: ユーザーのアイデアが源泉となるイノベーションを「ユーザー・イノベーション」、特に有益なアイデアをもたらすユーザーを「リードユーザー」と呼びます。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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