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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ライフサイクルコストの話 (管理会計、コストマネジメント/丸田起大)

ライフサイクルコストの話

丸田起大 管理会計、コストマネジメント

16/01/12


今回は、ライフサイクルコストについて話します。

ライフサイクルとは、生まれてから死ぬまでのひと回りというような意味です。たとえば、皆さんの会社で何かの設備を購入した場合を考えてみましょう。その設備のライフサイクルは、購入するところから始まります。次にそれを設置して、使い始め、一定の期間使った後にやがて使えなくなり、新しいものに買い替えたり処分したりするまでとなります。あるいは、身の回りの例として、マイカーを挙げましょう。マイカーのライフサイクルもやはり購入に始まり、一定期間、車を使用した後に、処分したり廃棄したりするまでとなります。

それでは、設備や製品のライフサイクルの各段階で、どのようなコストが発生するのか想像してみましょう。

まず、その設備や製品を「購入」するための購入コストがあります。次に、それを「使用」するための使用コストが発生します。マイカーの例で考えますと、車を走らせるためのガソリン代や車を駐車しておくための駐車場代、毎年の自動車税や車検代が、これに含まれます。さらには、長く車を使用していると、メンテナンス費用や修理代もだんだんと必要になります。そして、やがてその製品が使えなくなったりもっと性能が良いものに取り換えたりすることになると、処分のためのコストがかかります。マイカーの場合であれば、廃車にするためにリサイクル料金を負担することが法律で定められています。また、粗大ゴミを出す時にも、処理費用を負担するルールになっています。このように、ライフサイクル全体にわたって様々なコストが発生します。このコストのことを、ライフサイクルコストと呼びます。

皆さんも消費者として物を購入する時には、ライフサイクルコストのことを意識しているものと思います。たとえばマイカーとして中古車と最新のエコカーのどちらを購入するか、検討しているとしましょう。判断材料として、購入価格や燃費、走行距離、税金、リサイクル費用など、様々な情報を集めます。中古車にすれば、購入価格が安い反面、燃費が悪かったり、すぐに修理費用が発生したり、最後には売却できずに処分費用を負担して廃車にするしかなかったりする可能性があります。最新のエコカーにすれば、購入価格が高いものの、燃費が良かったり、故障の心配が当面なかったり、減税措置があったりします。また人気のある車であれば、後々に中古で高く売れる可能性もあります。このように、物を購入する際に、使用する時や処分する時のコストはそれなりにかかるものの購入する時のコストが安いものにするか、それとも購入する時のコストは高いものの使用する時や処分する時のコストが安くつくものにするか、といった形で、ライフサイクルの各段階で生じるコストを踏まえて、意思決定をしていますよね。

以前に品質コストについて話をしたことがありますが、その際に、製品開発や試作などの上流段階で研修や検査などの予防コストや評価コストをしっかりとかけておけば、製造や販売以降の下流段階で不良品やリコールなどの内部失敗コストや外部失敗コストの発生を抑えることができると述べました。これを消費者の立場から見れば、外部失敗コストと呼んでいたものは、消費者が製品を購入した後に使用する段階で生じるコストのこととなります。企業の側は、消費者が使用する段階で生じるコストを減らしておくために、予防コストや評価コストをあらかじめしっかりとかけて、その分のコストを販売価格に反映させて消費者にも負担してもらいたいと考えているはずです。購入価格が高くても、購入者が使用する段階での失敗コストを下げるための予防コストや評価コストが含まれているからだと理解すれば、納得して選択することができそうです。このような買い方は、「損して得取れ」という昔からのことわざがうまく言い表しています。

これに対して、購入価格の安さを優先したために、使用コストや処分コストが予想より多くかかってしまい、ライフサイクルのトータルでは非常に大きなコストがかかってしまったという失敗パターンもあります。これは、「安物買いの銭失い」ということわざが教えてくれているものです。

今日の話をまとめます。
ことわざにある通り、「安物買いの銭失い」ではなく「損して得取れ」となるように、ライフサイクルの視点で、物を買う時、使う時、処分する時のどの段階でコストをどのようにかけるべきかを良く考えている、賢い消費者になりましょう。

分野: コストマネジメント 管理会計 |スピーカー: 丸田起大

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