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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(12)NIHシンドローム (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(12)NIHシンドローム

永田晃也 技術経営、科学技術政策

16/01/21

 前回に引き続き、イノベーションを追求する組織のコミュニケーションに関連するキーワードを取り上げます。今回は、NIHシンドローム(症候群)です。

 NIHといっても、アメリカの国立衛生研究所ではありません。これは、Not Invented Here、「ここで発明されたものではない」という英語の頭文字をとった語です。研究開発プロジェクトのメンバーが、長期に亘って固定されると、プロジェクトの外部から得られるアイデアが採用されなくなる傾向を意味しています。
 このような現象は、ラルフ・カッツとトーマス・アレンという2人の研究者が1982年に発表した論文で指摘しました。彼らは、ある企業の研究開発組織に所属する研究者から得られたデータを分析した結果、このような現象を示すとともに、それに伴ってプロジェクトの業績が低下するという傾向も指摘しています。彼らによれば、メンバーの在職年数が2〜4年のときにプロジェクトの業績は最も高くなり、5年を過ぎると低下するというのです。
 実は、この論文で行われている分析の手続きには、いくつか腑に落ちない点があるのですが、プロジェクトのメンバーが固定されることに伴う弊害の指摘には、直観的な分かり易さがある所為か、NIHシンドロームという語は、その後、自前主義を意味するものとして広まっていきました。

 実際、プロジェクトのメンバーが長い間変わらないと、自前主義に陥ると言われてみれば、誰でも思い当たるところがあるのではないでしょうか。プロジェクトの初期段階では、まだメンバーがどのような知識を持っているのかが互いに分かっていないため、外部情報源から得られる情報やアイデアが活用されるでしょう。しかし、時間が経つにつれてチームワークが強化されてくると、メンバーは組織内部で互いに知識を補い合い、協力的に仕事を進めるようになります。この傾向が行き過ぎると、必要な知識は組織内部に全て保有されているかのような思い込みが生じ、外部情報源への接触を怠るようになるわけです。

 ただ、問題は自前主義そのものにあるのではなく、それがプロジェクトの業績を低下させるという点にあります。組織の業績が4〜5年をピークとして、それ以後低下するという傾向は、既に1960年代にドナルド・ペルツとフランク・アンドリュースが行った研究の中でも指摘されていました。
 こういう傾向が、避けられないものであるならば、プロジェクトのメンバーを定期的に組み換えることが、イノベーション・マネジメントにとっての課題となります。

今回のまとめ:NIHシンドロームとは、研究開発プロジェクトのメンバーが長期的に固定されると、外部情報源からの情報やアイデアが採用されなくなり、プロジェクトの業績が低下する傾向を意味しています。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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