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TPP

村藤功 企業財務 M&A

15/12/25


今日はTPPについて話します。
TPPとは、環太平洋連携協定のことです。先日、TPP交渉が大筋合意に至りました。

自由貿易というのは、世界で一番いいものを安く作る人に作らせて消費者に届けようという考え方です。これまで各国は、政治的に自国の生産者を他国の生産者より優先してきました。自国の生産者を守るために関税を設けて、安くて良いものであっても自国へ容易に入って来られないようにしてきたのです。TPPによって自由貿易が進めば、これまでよりも安く国際競争力のある輸入品を購入できるようになります。

今回の合意によって、日本のGDPは2%ほど上がると想定されています。ただ今後、GDPで85%を超える六か国がTPPを批准しないと、発効にはなりません。したがって、アメリカ(60%)や日本(18%)が批准することが不可欠です。

オバマ大統領は、TPA(貿易促進権限)によって、TPPを進めようとしています。しかし来年には、大統領選挙があります。2月から7月まで予備選挙が続き、11月に本選挙が行われます。予備選挙とは、各政党が公認する大統領候補や副大統領候補を選ぶための一連の手続きのことを指します。2月から6月までに投票が行われ、7月に決定されます。ヒラリーさんは民主党の正式な大統領候補にそれまではなれないため、自分を支持する労働組合が反対するようなことを言えません。TPPに反対を唱えているヒラリーさんも、7月以降には、TPPに賛成する旨を発言するようになるかもしれません。2月から11月まで議会は開いていますが、実際には何もやっていない状態になると言われています。したがって、アメリカがTPPを承認する時期がいつになるのか、よくわかりません。

今回、マレーシアやベトナムも含めた12か国がTPP交渉の大筋に合意しました。インドネシアや韓国、タイ、フィリピンもまた、TPPへの参加に興味を示しています。自分たちだけが関税を残しておくと、国際競争力を失くすためです。しかしアメリカがなかなか動きそうにないため、当分はTPPに新たに参加することは難しそうです。

一方で、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)には、中国やインドが入っています。日本はRCEPにも入っていますので、TPPとRCEPの両方を実現して統合する役割を期待されています。しかし今回のTPPの合意では、日本以外の11か国が99%あるいは100%の関税撤廃に至りましたが、日本は95%しか関税を失くしませんでした。農産品の19%、31品目で関税を残したのです。また米や小麦については関税を引き下げることなく、国別枠の設置で凌いでいます。このままでは、日本の農業改革が本当に進むのかどうかよくわかりません。自由貿易のリーダーシップを日本がどれほどとることができるのか、少し怪しくなっているのです。

消費者としては、関税が撤廃されて安くてよいものが入って来るというのは大変に良い話です。しかし農産品をつくっている人たちにとっては、そうは行きません。もともと国際競争力を持っていれば大丈夫なのですが、これまで関税によって守られていたため、国際競争力があるかどうかなどと問われることすらありませんでした。今後は、海外の生産者とも一生懸命戦わなければなりません。農水省はどうやら税金を原資に、過去五年の平均収入の5%程度の保険料を支払えば収入が平均収入の9割を下回った場合に下回った分の90%を補填するという保険を導入しようとしています。また、耕作放棄地の固定資産税を1.8倍にして農地の集約化を進め、農地バンクと呼ばれる農地中間管理機構に農地使用を進めてもらおうとしています。ほかにも、農家や中小企業に農産物を輸出してもらうよう、政府は働きかけて行く予定です。

今日の話をまとめます。
TPP交渉が大筋合意しました。しかし、TPP合意の発効のためには、アメリカの批准が必要です。世界の貿易の自由化のためには、中国やインドが参加するRCEPの内容や、TPPとの刷り合わせが重要となります。今後日本政府は、産業の国際力強化を進め、自由貿易の推進でリーダーシップを果たすことが求められます。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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