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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 戦略提案は共感作り (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

戦略提案は共感作り

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

15/12/29


今日は戦略の提案の仕方について話します。

事業戦略は、最終的には誰かの承認を得て初めて、有効になります。自社の事業プランであれば社長や事業部長、あるいは財務担当の役員に対してプレゼンテーションをして、承認を仰ぐことになるでしょうし、提携候補先の企業相手に提案することもあるでしょう。スタートアップでしたら、ベンチャーキャピタルに「出資をしませんか?」とプレゼンテーションをすることになります。

しかし、戦略提案のプレゼンには様々な誤解があるようです。今日は特に大事な点を2つお話します。

まず、直前の準備について。
皆さんは大事なプレゼンの前日、仮に資料が出来上がっているとしたら、あとはどんなことに時間を費やしますか?
多くの人は、「こんなことも質問されるかもしれない、あんなことも訊かれるかもしれない」と想定質問をあれこれ考えたり、念のために添付する参考資料のページを増やしたりといった作業に取り掛かります。本人は「少しでも良いプレゼンを」と思って努力されているのですが、残念ながらこのアプローチではプレゼンの勝率は上がらないどころか、逆にプレゼンの切れ味が落ちるかもしれません。
「これでプレゼン準備が完了した」と胸をなでおろしていい瞬間は、資料が出来上がった時でも、想定質問を全部カバーした時でもありません。戦略提案のうち、何を言わなくても構わないかが自分の中で整理がついたときです。言い換えると「絶対にこれだけは相手に伝えよう」という究極のメッセージが決まった時です。
我々がプレゼンの直前に準備すべきことは、出来上がった戦略提案のうち、どの部分は言わなくてもいいかを決めることです。プレゼンの資料が30ページあったとしたら、時間が足りない場合にも絶対に触れなくてはいけない数ページを特定します。
こうして話すべき内容の優先度がはっきりしていると、例えばプレゼンの時間が当日の相手の都合で予定の半分しかもらえなかった場合でも、焦らずに話ができます。あるいはプレゼンの途中で、提案とは直接関係のない話題で盛り上がったとしても、冷静に論点を戻して限られた時間でプレゼンを完了できます。

「エレベーターテスト」というのをご存じでしょうか?
これは法人営業やコンサルティングの世界で行われている、プレゼンの事前チェックの習慣です。顧客先のキーパーソンとたまたまエレベーターで遭遇したと仮定し、エレベーターが目的のフロアに着くまでの僅かな時間、例えば20秒で提案内容をきっちりと伝えられるかをテストしてみるのです。
「絶対に言うべきこと」と「特に話さなくてもいいこと」の整理ができていれば、20秒で話すことも苦ではありません。ところが「あれも大事、これも大事」と話の内容を膨らませている人は、しどろもどろになるだけです。
皆さんも大事なプレゼンの前日には、エレベーターテストをしてみて、自分の提案の完成度を試してみてください。

もう1つの誤解は、提案時に相手と論理で真っ向勝負してしまうことです。
例えば相手が「ちゃんと利益が出るのだろうか」と質問してきた時に、予測収支をしたエクセルのシートを見せつけて「この通り計算しましたので、心配ありません」と理路整然と答えてしまう人がいます。質問した人は納得していないばかりか、提案者の態度に不快感を覚えてしまうでしょう。
本来ならば、まず「ご懸念は尤もです」と質問を前向きに受け入れた上で、例えば「この事業では顧客サービスをアウトソースするので、人件費を20%抑えられる」などと、収支を改善できる理由をいくつか示すとよいでしょう。
そして最後に忘れてはいけないのは「私の試算は以上ですが、何か心配な点はありますか?」と確認を入れることです。というのも、質問する人の多くは、本当は質問をしたいのではなく、何か指摘やアドバイスをしたいのです。「原材料の価格変動が激しいから気をつけて欲しい」とアドバイスがあったら。「わかりました。代替できる素材がないか、検討してみます」といった返答ができれば、信頼感もアップするでしょう。
戦略の承認権が相手にある以上、相手を論理で打ち負かしても何も得はしません。戦略提案で勝つには、戦略の内容と同じかそれ以上に、相手から「こいつなら一緒に仕事をしてみたい」とか「コイツなら事業を任せられそうだ」と共感を勝ち取ることが重要です。戦略を作る時は徹底的に論理的であることが求められますが、それを提案する時には、論理よりも共感を目指す、と頭を切り替えてください。

本日のまとめ:戦略提案のコツは、事前に本当に言うべきことを絞り込むこと。そして、提案の場では論理で相手と戦うのではなく、相手との共感の場づくりを目指すことです。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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