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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 事業コンセプトの基本技 (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

事業コンセプトの基本技

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

15/12/18


今回は事業戦略の核となるコンセプトについてお話します。

事業コンセプトとは、その事業がどんな価値を提供するのかという企業側の意思です。もっと簡単に言うと、「我々は何屋さんか?」という問いに対する答えです。
皆さんは「あなたは何屋さんですか?」と尋ねられたら、自信をもって、すぐに答えを言えますか?簡単そうで意外と難しいのが、事業コンセプトの明確化なのです。

コンセプトを決める際に、絶対に欠かせない要素が3つあります。
1つは、ターゲットです。ターゲットは前回話した通り、誰のための製品なのか、です。
2つめは、その製品やサービスの差異化ポイント、つまり競合製品と比べて、どこがユニークかです。
3つめが、その製品やサービスの差異化ポイントがもたらす便益です。その製品やサービスのおかげで、顧客のどんな問題が解決するのか、利用者がどんな気分になれるのか等を定義します。

コンセプトに関してよくある勘違いの1つとして、広告のコピーだと思っている方がいますが、そうではありません。確かに最終的にはワンフレーズで言い表す場合が多いのですが、その前に先ほどの3要素をじっくり考える必要があります。
もう1つの勘違いとして、2軸の座標軸で描くポジショニングマップのことだと思っている人も多いようですが、これも違います。ポジショニングマップというのは、先ほど紹介したコンセプトの3要素のうち、競合製品との差異化ポイントがわかるように図示したものに過ぎません。
あと新事業開発を何度か経験するとわかりますが、本当にユニークな事業や製品は、ポジショニングマップを描く必要がありません。例えば、自動で動く掃除機のルンバは「世界初の家庭用ロボット掃除機」というワンフレーズで伝わります。それだけ独自性のある製品だからです。でもこれから類似製品が増えてくると、「家庭用ロボット掃除機」ではどの製品だか認識されなくなってしまうので、競合製品よりも消費電力が少ないとか、クールなデザインだとか、何らかの軸を決めて自社製品の優れている点を強調する必要があります。実は企業が2軸のポジショニングマップを描かざるを得ないというのは、類似の競合がいて苦しい場合が多いのです。

事業コンセプト作りには色々とコツがあるのですが、今日は1つだけご紹介します。それは便益のタイプを見分けて絞り込むことです。

製品やサービスが我々消費者に提供してくれる便益には、大きく分けて2種類あります。1つは、顧客が代価に対して当然受けられると期待する便益です。このタイプの便益は、欠けていると顧客の満足度が下がりますが、強化してもマイナスの満足がゼロになるだけです。もう1つは、顧客は当然と受けられるとは思わないが、あれば嬉しい便益です。こちらは直接顧客満足の向上に繋がります。
ホテルで言うと、前者の「あって当たり前の便益」とは、部屋が清潔とか、セキュリティがしっかりしているなど。一方の「あると嬉しい便益」とは、建物のデザインの美しさとか、レストランの食事が美味しいなどです。
コンセプト作りが上手い企業は、後者の「あると嬉しい便益」を1つか2つ決めて、きちんと尖らせています。一方、コンセプト作りが下手な企業は「あって当たり前の便益」を数多く揃えることに力を入れています。先ほどのホテルの例で言えば、清潔とか、安全とか、騒音がしないといった当たり前の便益は、いくら並べられても大きな魅力的には聞こえないでしょう。それよりも1つでいいから、地元の食材を使った朝食が美味しいとか、本格的な温泉がついているとか、際立った特徴が分かる方が、コンセプトとしては優れています。

コンセプトを尖らせる意味で言うと、コンセプト作りの最初の段階で「盛り込まない機能や便益」を決めておくのも効果的です。いざ事業開発を進めていくと、社内の関係者やインタビューをした潜在顧客の方から「新製品にはこういう機能も盛り込んで欲しい」という要望がひっきりなしに飛んできます。そういう声にいちいち振り回されていると、最終的な完成品が、機能盛りだくさんで誰のどういうニーズに応えたいのか、よくわからない製品になりがちです。コンセプトも「高品質で、多機能」だとか、サービスだと「ワンストップソリューション」だとか、ちっとも惹かれないコンセプトに落ち着きがちです。そういう誘惑に打ち勝つためにも、最初から「今回の製品開発では、このニーズに応えることを最優先して、あの機能とあの機能は捨てる」とはっきり決めておくことをお薦めします。

本日のまとめ。
事業戦略作りの初期に、誰に対して、どんな特徴ある製品を通じて、どんな便益を提供したいのか。企業としての意思を明らかにするのが、コンセプト作りの基本です。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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