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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ターゲットってどう決める? (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

ターゲットってどう決める?

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

15/12/07


戦略を作る上で欠かせないのが、その戦略で市場の中のどういうセグメントを狙うか、いわゆるターゲットの設定です。

ターゲットの話をする時に、よく聞かれる疑問が「自社の製品は多様なお客様が買ってくださっている。本当にターゲットを絞った方がいいのだろうか?」というものです。
気持ちはわからないでもないですが、資金や人材といった企業が使えるリソースは限られていますから、最大効果を狙うならば、やはり範囲を絞るべきです。それからターゲットを絞りこんで具体的に考えないと、製品も、プロモーションも、エッジのないつまらないものになってしまいます。仮に全社では広いターゲットをカバーするにしても、1つ1つの製品やプロモーション施策は、対象を絞り込んでいくべきだと思います。
1点誤解があるとすると、ターゲットを絞るというと「ターゲット以外の人は購買対象から外す」ように聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。特にプロモーションのターゲットと購買のターゲットは異なるのが普通なので、狭い範囲を対象にプロモーションを行っても、実際の購入層はもっと広く呼び込む戦法はよくあることです。

さて具体的なターゲット設定ですが、みなさんはどんな切り口を思い浮かべますか?よく見かけるのが、男女の性別とか、年齢層とか、所得の多寡とか、家族構成や職業といった人口動態変数あるいは英語でデモグラフィック変数と呼ばれる属性で、顧客をタイプ分けするやり方です。
ターゲット設定の切り口には、他にもライフスタイルや価値観といった心理的変数や、購買動機や使用経験といった行動変数など、他の属性もあります。にもかかわらず、なぜデモグラフィック変数が多く使われるのか?
実はデモグラフィック変数は、他の心理的変数や行動変数に比べて、精度がいい訳ではありません。むしろ心理的変数や行動変数の方が、顧客のニーズや購買パターンに直結しており、ターゲットの精度としては高いくらいです。それでも実務でデモグラフィック変数が頻繁に利用されるのは、1つにはデータの取り易さという点があります。年齢や家族構成や所得といった統計データの多くは細かい分類を含めて整備されており、かつ公開されていて無料で使うことができます。
もう1つは、リーチのし易さです。例えば、小売店のターゲットを「接客の丁寧さを重視する人」という行動変数で設定しても、そういう人が一体どこにいるのか判別がつかず、どの媒体に広告を出せばいいのかもわかりません。デモグラフィック変数であれば、例えば男女や年齢層によって読んでいる雑誌も異なるので、プロモーション戦略が立てやすくなるのです。

ただし、最近はターゲット設定の考え方が一部で変わりつつあります。

1つは、個人や企業といった顧客単位ではなく、製品が必要とされる状況によって市場を区分し、ターゲットを定めるやり方です。例えばスターバックスのターゲットは働く女性、ドトールのターゲットは煙草を吸うサラリーマンと聞いたら、皆さんは違和感を覚えませんか?例えば私は男性だし、煙草も吸わないけれど、時と場合によってスターバックスにもドトールにも入ります。正確に言えば、美味しいコーヒーを飲みながらゆっくり本でも読みたい時はスターバックス、ちょっとコーヒーでも飲んですき間時間をつぶしたい時はドトールという感じです。つまり同じ人が競合する複数の製品やサービスを状況によって使い分けているのですから、顧客単位ではなく、製品が必要とされる状況によってターゲットを定めるべきだという考え方です。
営業活動や広告のプランニングをする時には、デモグラフィック変数のような従来区分に解釈し直す必要はありますが、製品開発、特に斬新なコンセプトの製品を開発する時ほど、顧客単位ではなく状況による区分でターゲットを見ていくことをお薦めします。

もう1つは、ターゲットを予め企業側が決めてしまうのではなく、プロモーションに実際に反応した人を事後的にターゲットと見なす考え方です。
従来のターゲット設定は、製品を売りたい企業側の想いであって、実際にターゲットと見なした人達が、企業側の広告にポジティブに反応してくれたのか、想定通りに動いて製品を購買してくれたのかは、戦略を全部実行した後に相当詳しい調査をしてみないとわかりませんでした。つまり、かなりギャンブル的な要素があったわけです。
ところがネットの世界では、企業側のコンテンツ提供や広告などに反応してくれた人がどんな属性の人なのか、比較的容易に把握ができます。そのプロフィールを参考に事後的にターゲット設定することも可能なのです。
テクノロジーの進化と共に、戦略の作り方も少しずつ変わってきているのです。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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