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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(10)イノベーションのジレンマ (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(10)イノベーションのジレンマ

永田晃也 技術経営、科学技術政策

15/12/23

 今回は、「イノベーションのジレンマ」という語を取り上げます。これは、クレイトン・クリステンセンの著書"The Innovator's Dilemma"の邦訳に由来するものです。この本は、イノベーションに関する文献の中では、多くの読者を獲得したと思いますが、その一因は、「優良企業は、その優れた経営ゆえに競争優位を失っていく」という刺激的な命題を掲げている点にあると思います。

 クリステンセンは、これを次のように説明しています。
 ほとんどの技術は、時間の推移に伴って製品の性能を持続的に高めていく性質を持っています。そのような持続的な技術進歩による性能の向上は、市場で求められる最上級(ハイエンド)の性能をも上回ってしまうことがあります。
 既存の技術が、このような持続的進歩のプロセスを辿っているとき、新たな技術が出現したとしても、そのような新技術は当初、市場で求められる最低水準(ローエンド)の性能にも達していないため、既存の技術によって競争優位を獲得している優良企業は、新技術に対して投資を行おうとはしません。
 このような経営判断が間違っているということはできませんが、やがて新技術も持続的な進歩によって、ローエンド・ユーザーの求める性能は十分に満たせるようになっていきます。他方、既存技術による性能がハイエンド・ユーザーの求める性能を上回ってしまうと、それに対する投資はコストにしかならなくなり、既存技術は市場において新技術に代替されていきます。こうして、既存技術で実績をあげてきた優良企業は、新技術に積極的な投資を行うべき機会に後れをとり、失敗するというわけです。
 既存技術も新技術も、ともに持続的に進歩しているのですが、このような場合、新技術は「破壊的な技術」として作用すると、クリステンセンは言います。

 クリステンセンは、このようなプロセスを、主にハードディスク・ドライブの製品分野で起こった変化に即して記述していますが、その他の製品分野に適用した説明も試みられています。分かりやすい例では、真空管に対するトランジスター、コンピュータのメインフレームに対するミニコン、ミニコンに対するデスクトップ・パソコン、長距離用バイクに対する小型オフロードバイクが、それぞれ破壊的技術として作用したとしています。

 クリステンセンは、既存技術で実績のある企業が破壊的技術に直面した場合、業界トップの地位を守るためにはどうしたら良いかについても、処方を書いています。その「唯一の方法」は、完全に独立した組織を設立し、新しい事業を全く新しいビジネスモデルで自由に構築する特権を与えることだと言うのです。そのような方法で効果を上げてきた例として、IBMがミニコンやパソコンの登場に際して、新しい事業部門を設立して対処してきたことが挙げられています。

今回のまとめ:イノベーションのジレンマとは、既存技術で実績を上げてきた企業が、新技術への投資に失敗する要因を意味しています。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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