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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 北極海航路-新しい輸送経路の開拓② (国際経営、国際物流/星野裕志)

北極海航路-新しい輸送経路の開拓②

星野裕志 国際経営、国際物流

15/12/15

昨日はロシア北部の北極海を貨物船が航行する北極海航路が、間もなく実用化という話で、特にヨーロッパとアジア間の貿易には、距離も時間も短くメリットが有るという話でした。

世界のコンテナ船による輸送量を考えてみると、世界最大のトレードはアジア域内、2番目がアジアと北米の間、そしてアジアとヨーロッパは世界で3番目の規模に有りますから、非常に重要な貿易の大動脈と言えます。

そのアジアとヨーロッパのトレードは、通常はスエズ運河経由の海上輸送が主たるルートであり、最近はシベリヤ鉄道や中国を経由した鉄道の輸送路も注目されてきました。そして、最近急速に注目されているのが、北極海航路というわけです。

北極海航路に期待がかけられているのは、コンテナ船、自動車船、クルーズ船、中でも特に液化天然ガスを輸送するLNG船ですが、国内にエネルギー資源を持たない日本、韓国、台湾が、天然ガスの輸入量では世界のトップスリーです。アジア・プレミアムとも呼ばれていますが、これらの国はかなり価格の高いLNGを買っていると言われています。

価格の高さは、これらの国々のLNGの依存度が高いことや産地からの輸送距離が遠いことも、その要因として挙げられます。そうなると、少しでも安く安定的にLNGを輸送できることは、大きな意味を持つことになります。北極海には、昨日お話したように、ノルウエーやロシアの開発したガス田があります。ロシアは世界最大、ノルウエーは、世界で3番目の天然ガスの輸出国ですから、これらの天然ガスが輸入されることが期待されます。
そのような輸送の可能性のひとつとして、ロシアの西部の北極海に面したヤマル半島の天然ガス田があります。ここから西のヨーロッパに向けては、パイプラインで天然ガスが輸送され、アジアに向けては天然ガスを液化してLNGという形状で輸送される計画が有り、まさに北極海航路が最適と考えられます。

ヤマルから日本までの距離は、スエズ運河経由と比較して約4割ですから、時間短縮効果や燃料の使用量でも利点は多くあります。一方で、LNGという危険物を持って北極海を航行する船舶ですから、氷に対する耐氷性能が求められるので、船価=船の価格が通常よりも高くなります。

その船価の高いLNGを北極海航路の航行できない季節にも、スエズ運河経由の航路で使うのか、あるいは積み替えるのかという論議もあるようです。

さらには、自然の影響の大きい地域の航行には、特殊は砕氷能力をもった船舶のエスコートや、現地を熟知した水先案内人を乗船させることの義務付けや割増の保険料も考える必要があるので、全体のコストとの比較になります。

このようにまだまだ解決すべき難しい問題もありますから、現在は実用化に向けていろいろな取り組みがされている段階といえます。例えば、そのひとつとして、日本の海運会社の商船三井が、中国の企業との合弁で、ヤマルLNGの中国向けの輸送プロジェクトに参画しており、北極海航路の可能性について学習をしようとしています。最終的に実用化のめどがたった時には、あらたな貿易路として北極海航路が加わることになります。

今日のまとめ:北極海航路には、コストやロシアの政策など未知の部分もありますが、実用化されることで、LNG輸送をはじめとして、日本にも大きな利点をもたらせる可能性があります。今後もぜひ注目していきたいと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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