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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 北極海航路-新しい輸送経路の開拓① (国際経営、国際物流/星野裕志)

北極海航路-新しい輸送経路の開拓①

星野裕志 国際経営、国際物流

15/12/14

今日は北極海航路についてのお話です。以前にもこの放送で、これからの世界のトレードの輸送経路としてパナマ運河やスエズ運河の拡張などと並んで、北極海航路について簡単にご紹介したことがありました。地図や地球儀を思い浮かべてみてください。北極海航路とは、その名称の通り、ロシアの北にある北極海を船で航行するというルートです。

先日開催された日本海運経済学会の大会で、北極海航路についての研究報告がありましたが、既に実用段階にある構想として、今後日本との貿易にも関わってきますので、今日と明日の2回に分けて、説明をしたいと思います。

氷の海であるはずの北極海や氷山もあるようなところを貨物船が通ることは、ちょっと考えづらいのですが、現実的に2013年には71隻が航行しています。

なぜこのようなことが可能になったのかというのは、地球の温暖化の影響で、最近は北極海でも結氷する範囲が小さくなってきているということです。北極海の氷の面積は、一年でも9月が最も小さいようですが、それは自然現象の結果ですから、年間で通行できるのは、年によって3ヶ月から7ヶ月程度とばらつきがあるようです。

気象条件によって、船が通れるかどうかが左右されるということです。そういう意味では、必ずしも安定的とはいえません。実は北極海航路は、旧ソ連の1980年代には、軍事的な理由もあって、国内航路としては非常によく利用されていたものが、2010年頃になって再びクローズアップされてきたようです。そして今回は、外国航路の貿易ルートとして注目されています。

北極海航路は気象条件以外にも制約はあります。例えば、この地域を航行する際には、やはり危険があるので、砕氷船が先導するとか、航行に料金が課されるとか、航行する複数の船が一緒になって船団方式を組むといった輸送体制など、様々な要因があります。その結果、2010年頃から航行ができるようになってからも、2011年は41隻、2012年は46隻で、2013年には71隻だったのですが、昨年は53隻だったようです。

現在、北極海航路ではいろいろな実験がされています。例えばコンテナ船で言えば、北部ヨーロッパから日本までの輸送を想定すると、スエズ運河経由で30日とすれば、北極海経由であれば、20日を少し切るくらいですから、約10日間短縮できます。これは、様々な貨物をアジアからヨーロッパへ、ヨーロッパからアジアへ輸出入する企業としては、大きな利点です。但しコンテナ船は、途中で寄港する場所がないことや、航路上に水深13メートルの海峡があるために、4,000TEU以上の大型船が運航できないという制約はあります。

次に考えられているのは、例えば日本からヨーロッパに自動車を輸送する自動車専用船と言われる船ですが、これであれば途中で寄港する必要がないことと、水深が比較的浅い船なので、良い方法かもしれません。それに最近人気のクルーズ船には、最適かもしれません。特にアラスカ・クルーズは、アラスカ沿岸を航行しながら、氷河が崩れ落ちるのを見たり、動物や鳥を眺めるのが人気のあるツアーですから、北極海となれば行きたい人は多いでしょう。

そして何よりも期待されているのは、液化天然ガス=LNGの輸送です。それはノルウェーやロシアがヴァレンツ海で、ロシアがカラ海のヤマルというところにガス田を開発しているので、その天然ガスを輸送するとなれば、まさに距離も最短と言えます。実際に、2012年にはノルウエーのハンメルフェスト港から北九州市戸畑港の九州電力のターミナルまで、液化天然ガスが運ばれています。

今日のまとめ:ヨーロッパとアジアのトレードに北極海航路を利用するという構想は、実用化段階にあります。今後の日本のトレードにも影響する可能性もあり、北極海航路の可能性と制約を説明しました。

明日は、液化天然ガスの輸送を中心にお話したいと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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