QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > VWの排ガス不正 (企業財務 M&A/村藤功)

VWの排ガス不正

村藤功 企業財務 M&A

15/11/24


今日は、フォルクスワーゲン社(VW)の排ガス規制に関する不正について話します。

アメリカのウェストバージニア大学における実験によって、VWの自動車から走行中に基準値の20~30倍のNOxが排出されていることが明らかになりました。この報告を受けた環境保護局によって指摘されたVWは、この事実をすぐに認めました。VWは違法ソフトを使って、試験時のみ浄化装置を働かせることで、NOxやPMの排出量を少なく示していたのです。

その結果、VWの株価は急落し、一時は4兆円以上の株式時価総額を失いました。またさらにアメリカが、2兆円ほどの制裁金を課したり、集団訴訟による損害賠償の金額が大きくなったりする可能性もあります。VWの自己資本は13兆円ほどですので、すぐに経営危機に陥るわけではありませんが、結構大変な状況になっています。マルティン・バンダーコーン社長が辞任し、ポルシェの社長だったマティアス・ミュラー氏が新たにVWの社長になりました。実は、VWが最初に発売したビートルを作ったのは、ポルシェを開発したポルシェ博士です。そうした経緯もあってポルシェがVWの株を所有しており、今回、ポルシェの社長がVWの社長に就任することになったのです。ミュラー氏は以前に、VW傘下のアウディの社長でもありました。

今回の問題について詳しく調べて行くと、約1千万台の試験で違法ソフトを使って排ガス量を減らしていたことがわかりました。さらにNOxだけではなく、11月に入ってCO2の排出量においても不正が見つかりました。日本におけるVWの売上げは9月に10%落ち、10月には半分になってしまいました。また、VWはこれまでディーゼル車のほとんどをヨーロッパで販売しており、これから日本でも売る予定でいましたが、今回の騒ぎでそれも延期となりました。一方で、不正が発覚する以前より、中国におけるVWの売上げは落ち込んでいました。VWは中国へ山のように設備投資をしていましたが、中国の経済成長が減速してきたのです。VWのブランドイメージが落ちている現状、ただでさえまずい状況が、さらに悪化する可能性があります。今年の上半期には、一時トヨタを抜いて、VWの販売台数は世界一になっていましたが、下半期にはトヨタが再び浮上するものと関係者は考え始めています。

そもそも、なぜVWが不正をしなければならなかったのでしょうか。同じくディーゼル車を販売しているベンツやBMWは、何も悪いことをしていません。ディーゼル車とは、環境に悪いガスを出さないようにした車です。しかし環境に悪いガスを出さないようにすると、自動車の性能がとても悪くなります。こうした二律背反の解決が、難しかったものと考えられます。

ヨーロッパでは、大気汚染の原因物質の排出を抑えたクリーン・ディーゼルと呼ばれる低公害のエンジンへの期待が高まっていました。しかし今回の問題の影響もあって、ディーゼル車から電気自動車へ研究開発の軸は移りつつあります。ヨーロッパでは販売される新車の半分がディーゼル車でしたが、これは世界で販売されるディーゼル車の3/4に相当していました。今後は、ディーゼル車そのものを諦めなければならないかもしれないという話になっています。

今日の話をまとめます。
VWが、排ガス試験時のみに浄化装置を働かせて、NOxの排出量を少なくしていたことが発覚しました。株価は4兆円以上下落し、経営者は交替し、世界中でブランドが失墜しました。ディーゼル車が今後ほとんどなくなって行く見通しである現状、VWの環境対応車の軸足はディーゼル車から電気自動車へ移って行きます。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ