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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 戦略はQuick & Dirtyで作る (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

戦略はQuick & Dirtyで作る

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

15/11/10


今回は戦略作りの勘所の1つをご紹介します。

戦略作りの腕を上げるには、まず思考のスタイルや価値観から変えていかねばなりません。特に肝になるのは、クイックアンドダーティーというスタイルです。

ご存じの通り、Quickは早い、Dirtyは汚いという意味の形容詞です。2つを並べたQuick & Dirtyを辞書で調べると、恐らく「安く作れる」とか、「質が悪い」といった日本語訳が出てくると思います。が、戦略の世界で使われるクイック&ダーティーは少し意味が違っていて、「完成度は低い、つまりdirtyであっても、Quick、つまり短い時間の間にアウトプットすることに価値がある」という考え方です。

こんなケースを考えてみましょうか。皆さんがもし、新製品のマーケティング戦略の策定を担当していて、今から2週間以内に事業部長の承認をもらう必要があるとしましょう。
進め方は2つ考えられます。
1つは、とにかく情報収集や資料作成に多大な時間を費やし、ぎりぎりまで粘って完成度を上げて、期限直前の13日目や14日目に、事業部長宛に提出するやり方です。
もう1つは、例えば最初の2日間で大まかな情報収集を済ませ、戦略骨子の案を作ってみる。3日目くらいに忙しい部長の時間を何とか10分もらって、自分の案を説明し、ダメ出しのフィードバックをもらう。フィードバックを受けて戦略に修正を加え、また3日後に持っていってみる。そんなことを何度か繰り返して徐々に完成度を上げ、期限までに正式に部長に提出するやり方です。

戦略作りに慣れていない人の多くは1つめのやり方をとってしまうのですが、前者のやり方の問題は、事業部長がイメージしていた戦略と大きくずれた提案をしてしまい、一カ月間の苦労が水の泡になる可能性が非常に高い点です。さきほど「ぎりぎりまで粘って完成度を上げる」と言いましたが、「完成度が上がった」というのはあくまで本人の基準であって、意思決定者や顧客の基準では「2週間かけても完成度が低いまま」ということが往々にして起こります。
Quick & Dirtyを信条にしている人なら、迷うことなく2つめやり方を選択します。後者の方が、望ましい戦略に早く、確実に到達できるからです。
にもかかかわらず、なぜ多くの人が後者を選ばないのか。まず「隙だらけの企画書を他人に見せるのは恥ずかしい」というプライドを持っていると、大いに抵抗感があるでしょう。あるいは減点主義のカルチャーの会社だと、「事業部長のような偉い人に未完成のプランを出したら、人事評価に響く」ことを怖がって、Quick & Dirtyにはできないかもしれません。

それでも戦略を扱う上では、Quick & Dirtyに動く方が圧倒的に有利なのは間違いないです。ですから、個人も組織も、価値観から変えていって欲しいと思います。「2週間かかってようやく90%仕上げる奴よりも、完成度はたとえ30%でもいいから2日でクイックに成果を出せる奴の方がエライ」という価値観です。
もし皆さんが「自力で完璧な企画を作り上げてやろう」とか、「未完成の企画を人に評価されるのは悔しい」といったつまらないプライドを持っているなら、さっさと捨ててしまいましょう。早めに色んな人にレビューをしてもらうことで、自分の発想ばかりでなく、他の人の頭脳も借りることができる。しかも時間を短縮しながら、最終的にはより完成度の高い企画を仕上げることができる。つまらないプライドを捨てることで得られるリターンは計り知れないと思います。

Quick & Dirtyは戦略の立案の時ばかりでなく、実行の場面でも役立つスタイルです。皆さんはMVPという言葉を聞いたことがありますか?プロ野球なんかで最も活躍した選手が表彰されるMVPのことではありません。あれはMost Valuable Playerですが、経営の世界でMVPと言えば、Minimum Viable Product、実用に耐えうる最低限の製品を指します。
最近の事業開発では、すばやく事業を立ち上げるために、仮説検証を繰り返していく「リーンスタートアップ」という手法が支持されていますが、リーンスタートアップの中核になる手法がMVPの活用です。新製品やサービスをお金と時間をかけて完成させて投入し、市場に受け入れられないかもしれないリスクを負うよりも、最低限の要件を満たすMVPを素早く作って顧客に使ってもらい、その反応を見て、修正を繰り返すのがリーンスタートアップでのやり方です。先ほど話したquick & dirtyの姿勢がベースにあることがお分かり頂けると思います。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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