QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 仮説ドリブンが武器になる(1) (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

仮説ドリブンが武器になる(1)

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

15/11/19


今回も戦略作りに役立つ仕事のスタイルを紹介します。
今日のテーマは、仮説ドリブンです。

まず言葉の意味ですが、ナントカ「ドリブン」という時のドリブンとは、そのナントカを中心に据えて進めるというニュアンスです。例えば、カスタマードリブンという時は、顧客のニーズや都合を最優先で考えようという意味ですし、データドリブンという時は、データを蓄積、あるいは分析して、その分析結果を活用してビジネスを組み立てていこう、という意味です。
ですから仮説ドリブンというのは、仮説主導で仕事を進めるスタイルを指しています。仮説を構築して、検証作業を行い、その結果の積み上げで戦略を作っていくやり方です。

仮説ドリブンで進める仕事の特徴は3つあります。

まず1つめは、限られた情報から、重要な問いとそれに対して仮説、つまり現時点で最も正解に近いと思われる答えを、先にイメージしてしまうことです。新サービスの開発に取り組む時に「ニーズがよくわからないから、ひとまず市場調査をしてみて、顧客の声を探ろう」と結構なサンプル数を集めて、いきなりアンケート調査から始める企業があります。残念ながらそういうリサーチは、お金も時間もかかる割に、有益な示唆はほとんど出てきません。
仮説ドリブンの場合は、簡単に手に入る基本情報をざっと理解したら、まず問いを絞り込みます。問いの例としては「○○市場の未利用者が求めているアンメットニーズは何か?」と。「市場ニーズは何か?」ではないことに注目して下さい。市場ニーズを全部洗いだそうと思ったら何週間もかかるでしょうが、「誰の」は「未利用者の」、そして「どんなニーズか」は「既存サービスでは満たせていないニーズ」という風に絞っています。
そしてこれまでの経験からの類推や、ラフな調査、例えば周囲にいるターゲットユーザーや取引先に数件インタビューをしてみて、その問いに対する答えを、例えば「既存のサービスでは、突発的に生じたニーズに対応できておらず、ユーザーは家族や知り合いの手を借りて、やむなく対応しているようだ」と、現時点で正解に近いと思われる仮の答えを予めイメージしてから、本格的な情報収集に入るのです。

このように問いと仮の答えを先に設定して取り組むことで、色んな無駄が省けます。
例えば、新規事業の戦略立案に必要な問いというのは、経験的に言って最重要のもので5つくらい、細かくしてもせいぜい20個くらいです。仮説ドリブンで動く人は、情報収集や分析に入る前に、何が答えるべき重要な問いなのかを見極めてから動き出します。一方、仮説ドリブンでない人の場合、答える必要のない問いにまで作業を拡げてしまって、やっているうちに何を結論にしていいか、ご自身でもわからなくなってしまいます。
また同じ問いに対する答えを導くにしても、仮説ドリブンで動ける人は、仮の答えが見えているので、情報収集の局面でも、その仮説が成り立つか否かだけに集中して調べます。一方、仮説ドリブンでない人は、データがあれば何かヒントが見つかると期待して、関連しそうな情報を手当たり次第に集めて、だんだんとデータの洪水に溺れていってしまいます。皆さんの中にも、心当たりがある人は多いんじゃないでしょうか。

仮説ドリブンの2つめの特徴は、わからない数字は自分の頭で推定するという習慣です。仮の答えを出すにしても、統計情報などが不足していて、肝心の数値がわからない場合があります。多くの人が「わからないから無理」と諦めてしまうのですが、仮説ドリブンの人は「分からない数字は自分で推定すればいい」と捉えます。基本のテクニックはフェルミ推定と言って、最近はいくつもの書籍が出されているので、詳しくはそちらを参照してください。フェルミ推定を使って、2つ以上のアプローチで推定し、その結果がケタ違いじゃなければOKです。例えばお弁当販売の市場規模が分からない時に、商圏のターゲット人口×購入割合×単価など、こういったモデル式を2つ以上作ってみて、1つの結果が30億円と、別の式で算出した結果が70億円だったら、だいたい50億円前後だろうとみなします。逆に言えば、最初の推定はそのくらいの粗さでよいのです。もし2つの結果が30億円と300億円とケタ違いでしたら、どちらかのモデルがおかしいと考え、モデル式を再検討してください。

仮説ドリブンの最後の特徴は、検証してみて「違うな」と思ったら、躊躇なく最初の仮説を壊して、次の新しい仮説構築に取り掛かる潔さです。慣れない人の中には、実際に情報収集してみたら仮説と異なる傾向のデータが見つかったのに、(自分の仮説ではなく)データの集め方や分析方法がおかしいと見なしてしまう人がいます。さらに、仮説が証明されるよう、都合のよいデータだけを採用するのは以ての外です。自分の仮説が間違っていると思ったら捨てる、この潔さを忘れないでください。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ