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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 戦略って必要? (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

戦略って必要?

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

15/11/09


はじめまして。山口英彦と申します。
私は普段はグロービス経営大学院で経営戦略やイノベーション、サービス経営といった領域の研究や教育に取り組んでおります。実務では、誰でもご存じのような企業グループから新興のベンチャーまで様々な企業の経営支援、特に戦略の立案や実行のアドバイスを手がけています。あるいは自分自身でも企業経営の当事者になったり、立ち上げ期のベンチャーにハンズオンで投資をしたりしてきました。ハンズオンというのは、投資家としてお金を出したら、きちんと経営に口もはさむという投資スタイルです。
長らく企業の戦略作り、特に新製品開発や新規事業の立ち上げに関わってきているので、ここでは、どうやって成長戦略を描いて、そして実現していったらいいのかという話を、経営のセオリーと、実務で得たノウハウを織り交ぜながら、提供していこうと思います。

さっそくですが、皆さんは戦略って必要だと思いますか?
実は現役の経営者の中にも「経営戦略なんぞ要らん」という考えの方は少なくありません。「戦略は不要だ」という方の主張は、典型的には2タイプあって、1つは「現場判断がより重要だ」という見方、つまり「ビジネスの状況は多様なので、本社が作った画一的な戦略など意味を持たない。現場の担当者がその場・その時の状況に応じて判断を下すことが重要だ」と仰います。
ビジネス環境が多様なのは確かです。しかし「現場の判断で十分」という主張は疑って欲しいと思います。もし皆さんが現場のスタッフで、何も戦略が示されないままに「お前が判断しろ」と言われても困ってしまうでしょう。現場の人が判断するにも、指針となる戦略、つまりウチはこういう事業を実現するぞというビジョンだったり、今期はここに重点投資をするぞといった方針がないと、現場を任された人達の判断も揃わなくなってしまいます。
それから現場の判断というのは、どうしても短期的視野だったり、自分が属する部門の利害を優先する、いわば部分最適な判断になりがちです。これまでに存在しない市場を創造するとか、競合に対する持続的な優位性を築くといった長期的な課題には、「戦略」という意思を持って、企業側から仕掛けていく必要があります。現場の都度判断はどうしても受身になりますから、企業自ら環境を変えていくような大きなチャレンジには、やはり戦略というゴールのイメージが先にないとまずいのです。

2つめの「戦略は不要だ」の典型的な主張は、「戦略は外れてばかりいる」、つまり「ビジネスの環境は刻々と変化している中で、戦略はしょせん事前の予想なので、計画通りにはいくわけではない」という見方です。
これに対しては「戦略は外れるからこそ価値がある」と申し上げたい。戦略、特に新規事業の戦略などは、実際にほとんどが外れます。でも予想と現実のギャップがわかると、その原因を突き止めて、戦略に修正を加えて、より優れた戦略に進化させることができます。つまり戦略という事前の仮説があるからこそ、結果が出たときに何が違っていたのかを考えることができるのです。もし具体的な戦略を立てていなければ、新製品が予想以上に売れた、あるいは全然売れなかったときに、一喜一憂するだけで進歩がなくなってしまうのです。
もちろんいかに優れた戦略を描いたとしても、必ず競合に勝てるわけではありません。どうしても不確実性は残ります。それでも1割の勝率しかなかったビジネスでも、戦略を組み立てて実行することで、3割・4割・5割と少しずつ勝率を上げることができます。野球でも3割ちょっと打てれば首位打者ですし、成功した企業でも裏側では数多くの失敗もしています。ですから、5割の打率で競争に勝っていければ、経営としては十分成功だと思っていいでしょう。

この番組を聞いている方の中には、自分で経営をしていたり、あるいは近い将来、自分の意思と力とで、これぞと思う製品やサービスを世の中に出していきたいと考えている人も多いと思います。そんな皆さんに戦略を作る大切さや、そのコツをこれからお伝えできたらと思っています。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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