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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 退職金の運用 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

退職金の運用

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/11/13

今回は、一番基本的な退職金の運用方法についてお話します。退職金は今まで手にした事のない金額なので、どう運用しようか戸惑ってしまう人も多いようですが、今日のお話を出発点として、落ち着いて計画を立てて下さい。
退職金が出たら、最初にする事は、借金の返済です。借金の金利は預金の金利よりも遥かに高いですから、借金を抱えたまま、退職金を銀行に預けておくのは勿体ないです。
なお、退職金が出る前でも、老後のために貯金をしている人は、貯金を下ろして借金を返すようにしましょう。もっとも、貯金を全部おろしてしまうと、いざという時に困りますから、手元に数百万円は持っておきましょう。また、最近は非常に金利の低い住宅ローンもありますから、たとえば金利が1.5%より低いならば、退職金が出るまで借りている、という選択肢もあります。その場合、貯金で少しずつ株と外貨を買って行きましょう。
退職金の次の使い道は、生活費です。年金を受け取るのを出来るだけ我慢して、退職金を使って生活するのです。

せっかくの退職金を生活費に使ってしまって大丈夫なのか?将来のために大切に取いた方がいいのではないか?と考えている人が多いのですが、年金の事を考えると、そうとも言えないのです。
年金は、基本的には65歳から支給されますが、年金を受け取り始める年齢は、60歳と70歳の間で選ぶ事ができます。当然ながら、早くから受け取れば、毎月の受け取り金額は減ってしまいます。少しでも受け取り始めるのを待てば、待っただけ支給金額が多くなり、それが一生続きます。
年金は、死ぬまでもらえますし、インフレになれば受取額も増えて行きます。老後で一番心配なのは、長生きをしている間にインフレになって蓄えが底を突いてしまう事ですが、年金はそうしたリスクに対する備えとして大変心強い存在です。少しでも毎月の受取額が増えるように、頑張りたいものです。
ただし、本当に手元の資金がゼロになってから年金を受け取るというのは危険すぎます。手元資金が数百万円になったら年金を受取りはじめましょう。それ以上手元資金が減ってしまうと何かあった時に困りますし、何もなければ葬式代としてそれくらいは残しておきたいからです。

では、老後も持っているべき数百万円というのは、どうすれば良いのでしょうか。
銀行に預金しておくのが最も安全だと思っている方も多いと思いますが、銀行預金はインフレが来た時に目減りしてしまいます。日銀が毎年2%のインフレを目指しているわけですから、全部を銀行預金にしておくのは危険です。
そこで、数百万円を銀行預金などで持つ部分、株式で持つ部分、外貨で持つ部分に三等分しましょう。具体的には、株式で持つ部分は投資信託で持ちます。投資信託で持つのは一つの銘柄の株式で持っているよりも色々な株式に少しずつ投資できる投資信託の方がリスク分散が可能だからです。リスク分散というのは、どれか一つが暴落しても色々な物を持っていれば資産全体としては大きな被害を受けずに済むという考え方です。
細かい事ですが、投資信託の難点は手数料が高いことです。そこで、ETFという金融商品をお勧めします。ETFというのは、投資信託なのですが、株式と同じように売買されているもので簡単で便利で手数料が安いのです。
外貨は、具体的には米ドルのMMFと外国株のETFで持つ事をお勧めしますが、とりあえずドル預金でも何でも外貨で持つと考えていただければ結構です。
投資信託や外貨を買う際に重要な事は、一度に買わずに時間をかけて少しずつ買うという事です。一度に買ってしまうと「たまたまその時が一番高かった」といった事があり得るからです。少しずつ買えば高い時も安い時も買うことになるので、運の要素が減り、堅実な資金運用が出来ることになるのです。

中には、「少子高齢化だから、将来は年金がもらえなくなる」という不安を感じている方もいらっしゃるかと思います。そう考える方のために別のアドバイスをしましょう。
年金が受け取れなくなると思うのならば、年金は60歳から受け取りましょう。受け取れる間に、少しでも受け取っておいた方がお得です。それからもう一つのアドバイスとしては、ドルを買うことをお勧めします。政府が破産したり年金が払えなくなったりするような国では、銀行に貯金しても危ないですし、日本企業の株を買っても危ないです。一方で、外国人が日本にある財産を売ってドルに換えて本国に持ち帰るようになるでしょう。そうなれば、ドルが高くなるはずです。つまり、財政赤字のせいで年金が受け取れないと考えている人は、出来るだけ早く年金を受け取って、それをドルに換えておくべきなのです。繰り返しますが、私は死ぬまで年金に頼ろうと思っていますので、年金の受け取りを70歳まで待ちますが、人にはそれぞれの考え方があります。
それでは、今日のまとめです。

退職金の運用は、「長生きして、その間にインフレになっても困らないように」という事を最優先に考えましょう。借金を返した後は、退職金で生活して、年金の受取をなるべく我慢しましょう。老後の資産は、円とドルと株式で3分の1ずつ持ちましょう。
なお、今日の御話の内容は、番組のホームページに載せるほか、概要を私自身のホームページやFacebookでも御紹介しています。御覧いただければ幸です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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