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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ドルへの投資 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

ドルへの投資

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/11/12

今日は、「ドルに投資しましょう」というお話です。日本人は、ドルに投資するのを嫌う人が多いのですが、私は投資すべきだと思っています。
終戦後、1ドルは360円でしたが、ニクソン・ショックやプラザ合意などがあり、ドルの値段は大きな流れとして安くなっていきました。ドル安円高のトレンドが1995年まで続いたのです。
ドル安円高が続くと、ドルを持っている人が損をします。長期間にわたるドル安円高で、損をした人は大勢いましたし、そうした人の話を見たり聞いたりした人も大勢いました。そこで、日本人の間には、ドルを持つ事を怖がる人が増えていったのです。
1995年を境として、大きな流れとしてドル安円高が進むことはなくなり、1ドルが80円から120円あたりで上がったり下がったりを繰り返すようになりました。従って、ドルを持つ事に対する恐怖心は薄れても良かったのですが、リーマン・ショックの後で再び円高となったため、多くの日本人が円高の恐怖を思い出してしまったのです。
しかし、状況は大きく変わっています。第一に、実際のドル相場を見ると、1ドル360円から80円までのドル安円高方向の大きな流れは、1995年に終わっています。
しかも、今後日本は長期的に少子高齢化で労働力が不足していきます。そうなると、現役世代は介護に忙しくて製造業で働ける人がいなくなり、貿易収支は大幅な赤字になるかも知れません。その時には、輸入のためのドルを買う注文によってドルが高くなっていくでしょう。
こうして考えると、短期的にはともかく、長い目で見ると、ドル高円安が進みやすいと言えるでしょう。少なくとも、かつて大きな流れとして360円から80円まで円高が進んだ時のような事は起きないでしょう。ドルを持つ事のリスクはそれほど大きくないのです。
ではドルを持つ事のメリットは、何でしょうか。それは、ドル高によりインフレになるというリスクへの備えです。
将来は、少子高齢化で労働力不足になりますから、数少ない若者が大勢の高齢者の介護に忙しく、製造業で働く若者がいなくなってしまうかも知れません。そうなれば、物不足になり、海外から物を輸入することになります。輸入のためにドルを買う人が増えると、ドルが高くなります。ドルが高くなれば、輸入品の値段も当然高くなるでしょう。
もしかすると、数十年のうちには大災害が起きて、日本の製造業が大きな打撃を受けるかも知れません。そうなれば、輸入が猛烈に増えて、大幅なドル高となり、輸入品の値段が跳ね上がるでしょう。
こうしてドル高になると、輸入品の価格が上昇しますから、インフレになります。その時に、資産のすべてを現金や預金で持っていると、インフレで資産が目減りしてしまいます。しかし、ドルを持っていれば、そのドルを高く売って、目減りした分を補う事ができるでしょう。

つまり、インフレになったとしても持っているドルを売れば利益が出るため、インフレが怖くないというわけです。では、ドル以外の外国の通貨でも良いのでしょうか?ドルでなくとも、他の外貨でも、同じような効果は期待できますが、私としては、ドルをお勧めします。特に、高金利通貨はお勧めしません。
ブラジルやオーストラリアなど、金利の高い通貨は人気があるので、投資をしている方、投資を考えている方は多いと思います。ハイリスクである事をわかった上でハイリターンを求めるのであれば構いませんが、少なくとも老後の生活資金はリスクを避けて安全に運用すべきだと思います。
金利が高いという事は、何か理由があって金利を高くしないとプロがお金を貸してくれないという事です。プロがお金を貸してくれないから高い金利を払って素人からお金を借りよう、というのは高金利通貨なのです。リスクが大きいように見えなくても、プロがリスクがあると判断しているのですから、その事はしっかり理解していただきたいと思います。

外国の株式への投資については、国内と同様に、外貨の一部を株式にも割り振るべきだと思います。考え方も、国内と同様で、現金や預金や国債で持っていると、インフレで資産が目減りしてしまうため、そのリスクを避ける事が必要なのです。
外国の株式は、アメリカのものに限りませんので、幅広く分散投資をしましょう。そのためには、投資信託やETFを活用しましょう。ETFというのは、上場している投資信託で、普通の投資信託よりも手数料が安い事が特徴です。アメリカの平均株価に連動するETFでも結構ですが、広く先進国の株式に投資するのであれば、MSCIコクサイという指数に連動するETFがありますので、これも一つの選択肢になるはずです。

株式投資の時にも御話ししましたが、ドルを買うといっても一度に買うのではなく、買う金額を決めたら、10年くらいかけて、少しずつドルを買って行くようにしましょう。
後から考えて、「ドルが一番高かった時に大量のドルを買ってしまった」という事があると悲しいですから、そういう目に遭わないために、時間をかけて少しずつ買おう、というわけです。

それでは、今日のまとめです。
老後のための資産運用を考えるならば、資産の一部はドルで持ちましょう。様々なリスクに対する備えになりますし、遠い将来にはドル高円安になっている可能性が高いからです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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