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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > インフレとデフレ (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

インフレとデフレ

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/11/17


このたび、拙著『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』が刊行されました。これから数回にわたって、この本のエッセンスを紹介いたします。

今回は、インフレとデフレについて御話します。

総務省統計局が発表している消費者物価指数という統計があります。何千人かの家計簿を見て、買われている物のリストを作り、毎月そのリスト通りに物を買うとして、必要な金額がどれくらい変化するか、という統計です。

この消費者物価指数が下がっていくのがデフレ、上がって行くのがインフレです。原因は様々ですが、主には景気が悪いとデフレ、景気が良いとインフレになる場合が多いようです。

「物の値段は需要と供給が一致する所に決まる」というのが経済学の大原則です。需要というのは買い注文、供給というのは売り注文のことですから、買い注文が売り注文より多ければ値段が上がって行く、買い注文の方が少なければ値段が下がっていく、買い注文と売り注文が同じなら値段は変わらない、ということです。

不景気で物が売れない時というのは、売りたい人が買いたい人より多い、ということですね。そういう時には企業が値引き合戦をしますから、値段が下がります。売れ残ってしまうよりは、少し値引きをしても、ライバルから客を奪って売った方がマシですから、値引きをする企業が出て来るのですが、ライバルも同じように値下げをするので、値段が下がっていく、というわけです。

また、不景気で失業者が多い時には、労働力の値段である賃金も下がりますから、企業にとっては人件費というコストが下がり、値下げしやすくなる事も重要です。

そうでもないのです。物の値段が下がっている時には、「待っていれば値下がりするから、今は買わない」という人が増えるので、ますます景気が悪くなるのです。それによって一層消費者物価が下がる、という悪循環に陥ることもあります。これをデフレ・スパイラルと呼びます。「物が安く買えた」と喜ぶ人もいますが、日本経済を全体としてみると、デフレは困ったことなのです。

ちなみに、「景気が悪いこと」を「デフレ」と呼ぶ人も多いのですが、景気が悪いのは「不況」ですから、区別しましょう。不況の時はデフレになりやすい、という事ですから、大きく違ってはいないのですが、時々問題が起こります。安倍総理が「デフレを止めます」と言ったのを聞いて「景気がよくなる」と考えた人が多かったようで、いざデフレが止まってインフレになると「物価が上がって生活が苦しい」などと言っている人がいますが、それは勘違いというものですね。

そのとおりですね。反対に、景気が良い時には、企業が強気になって値上げをしますから、値段が上がります。また、人手不足になって賃金が上がりますから、企業はコストがあがった分を売値に転嫁しようとします。

物の値段が上がっている時には、「急いで買わないと値上がりしてしまう」と考えて物を買う人が増えるので、ますます景気が良くなり、それにより一層消費者物価があがっていく、という事も起こります。これが続くと、物価の上昇スピードがどんどん速くなっていくので、困った事が起こります。

働いている人は給料も上がるので、物価が上がっても何とかなりますが、退職金を受け取って老後をゆっくり暮らそうと考えている高齢者にとっては、インフレは老後の生活を脅かす大変な脅威となります。景気が良くなるのは嬉しいことですが、やはりインフレも困ったことなのです。

そこで、政府や日銀が物価を安定させるために様々な努力をしているのです。インフレにもデフレにもならないように経済を調整するわけです。

インフレやデフレの原因としては、海外の影響もあり得ます。海外がインフレやデフレになった場合のみならず、ドル高やドル安によっても輸入物価が上がったり下がったりして、国内の物価もそれに影響される、というわけです。

海外の市場で原油価格が値上がりしたり値下がりしたりすると、日本国内のガソリン価格が値上がりしたり値下がりしたりする、というわけですね。

今ひとつ、「世の中に出回っているお金の量が多いとインフレに、少ないとデフレになる」という力が働く場合もあります。たとえば戦後混乱期の日本では、極端な物不足の時に多くのお金が世の中に出回ったために極端なインフレになりました。こうした極端なインフレを、ハイパーインフレと呼びます。

そこで、「インフレとデフレは世の中に出回っているお金の量で決まる」という学説もあり、アベノミクスはそうした学説を参考にしているようです。

もっとも、私が見る限り、そうした事は、戦後の例外的な時期などを除くと、あまり頻繁に起きているわけではなさそうですが。

まとめ:景気が悪いとデフレになり、景気が良いとインフレになります。外国のインフレやドル高円安が日本のインフレの原因となることもあります。世の中にお金が出回るとインフレになる、という理論もあります。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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